NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2021年12月14日火曜日

M&Aの基礎知識:中小M&Aにおけるセカンドオピニオンとは?

M&Aについては本日現在、バリュエーションについての記事を連載中ですが、それとは別に単発テーマを取り扱う「M&Aの基礎知識」のコーナーも不定期で掲載しています。前回の「FA形式と仲介形式」には多くのアクセスをいただき、ありがとうございました。

さて、2020年3月に経済産業省から発表された「中小M&Aガイドライン」で取り上げられたことをきっかけに「中小M&Aにおけるセカンドオピニオン」のニーズが高まっています。今回は中小M&Aにおけるセカンドオピニオンとはどういったものかまとめました。

1.セカンドオピニオンのそもそもの意味は?

もともとは医療の用語として普及したもので、以下のような意味の言葉です。
セカンドオピニオンを簡単に説明すると、日本語では「第二の意見」と呼ばれるように、患者がある病気で診断を下された際に診断結果やその後の治療方針や治療方法について、主治医以外の医師から意見を聞くことを言います。主治医以外の意見を聞くことで、現在の治療が適切なのか、他に良い治療がないのかなど、患者がより納得のいく治療を受けることが可能になります。
(出典:セカンドオピニオン.com Webサイト)

医療の用語としての「セカンドオピニオン」は、自身が大きな病気を患ったり、ご家族を含む親しい方にそういった方がいらっしゃったりする方はご存知であることが多いのではないでしょうか。医療の世界ではセカンドオピニオンを取得することは普通の風景になっているようで、まともな医師であれば自分が担当する患者が他の医師に意見を聞くことになる主治医の立場でも、患者やセカンドオピニオンを取得することに対してネガティブな反応をすることはないそうです。

 

2.M&Aにおけるセカンドオピニオンとは?

中小M&Aガイドラインでは以下のように定義されています。
セカンド・オピニオンとは、中小M&Aを行おうとしている者が支援機関と契約を締結する際や、支援機関から受けた助言の内容の妥当性を検証したい場合等に、他の支援機関から意見を求めることをいう。
同ガイドライン用に定義されている言葉が含まれますので、より一般的な用語で書き直すと以下のとおりです。

中小企業のM&Aにおけるセカンドオピニオンとは、
  • 事業を譲り渡す側(いわゆる売り手)や事業を譲り受ける側(いわゆる買い手)が、
  • M&A助言業務を行うFA事業者やM&A仲介事業者などのM&A専門家と
  • ファイナンシャルアドバイザリー契約(FA契約)や仲介契約を締結する際や、
  • それらのM&A専門家によるM&Aのストラクチャーやバリュエーションなどを含む専門的な助言の内容の妥当性を検証したい場合等に、
  • 他のM&A専門家に意見を求めること
をいう。

先述のとおり、セカンドオピニオンという言葉は、もともとは医療の用語として普及したもので、患者が主治医から説明された診断結果や治療方針・方法について、主治医以外の医師から意見を得ることを意味します。今後の治療などについて、患者自身がより判断しやすくなったり、納得感を高めたりすることが可能になると言われています。その意味合いが転用され、中小M&Aでも使われるようになりました。

3.中小M&Aにおけるセカンドオピニオンの必要性

以下のようなことが言えるため中小M&Aにおいてもセカンドオピニオンが必要です。
  1. M&Aはほとんどの中小企業にとって極めて少ない回数しか経験しないものであるため、日々忙しい経営者や企業オーナーが理解を深めていくことは容易ではない。
  2. 専門家の質やその助言内容がどうかを、その分野の専門ではない者が判断するのはM&Aに限らず容易ではない。
  3. 加えて、M&A助言業務は医療行為とは違い資格や免許が不要なため、専門家が保有する専門性が一定水準以上であることが客観的には担保されていない。
補足すると、まず「1」についてですが、特に「売り手」についてそう言えます。グループ会社をいくつも所有している場合、連続起業家などである場合など、複数の会社を所有しているような例はまだまだ稀ですので、M&Aを経験するとしてもそれは1回きりであるという場合が大半ではないでしょうか。「買い手」の場合は複数回経験することがあり得ますが、それでも回数はそれほど多くはないと言えるでしょう。

「3」についても注意が必要です。たとえ士業専門家がM&Aの助言を行っている場合と言えども当てはまります。その士業専門家は確かに士業資格を保有してはいますすが、M&A助言業務そのものが士業としての本来の業務ではないことが多い(つまりは多くの士業専門家にとってM&A助言サービスは新規事業であったり、付帯サービスであったりする)ため、士業の資格を保有していることが、M&Aについての専門性が一定水準以上であることを担保しているわけではない、というわけです。士業専門家でもそう言えるのですから、それ以外の場合は猶更と言えるでしょう。

これらを解消するために、国も事業承継ガイドラインや中小M&Aガイドラインを定め、中小企業経営者や企業オーナーの理解を促進したり、M&Aに関わる専門家にもガイドラインに沿った一定水準以上の活動を求めてたりしていますし、日本M&Aアドバイザー協会のように専門性向上活動や職業人としての倫理の啓発活動を行っている例もあります。セカンドオピニオンもそういった問題を解消するためのひとつの方法といえます。

4.どういった場合にセカンドオピニオンがあると良いか?

では、M&Aにおけるセカンドオピニオンはどういった場合にどのようなことを確認するために活用すると良いのでしょうか?先述の中小M&Aガイドラインではいくつかの例が紹介されています。
  • M&A助言業務を行うFA事業者やM&A仲介事業者とFA契約や仲介契約を締結する際に、業務の具体的内容や報酬の妥当性について意見を求める。
  • 最終契約(株式譲渡契約や事業譲渡契約など)を締結・調印する前に、その契約内容について意見を求める。
同ガイドライン記載以外の事項でも
  • バリュエーション(企業価値算定)の結果や、その前提条件、算出過程の妥当性について意見を求める。
  • デューデリジェンスの結果や、その調査過程・範囲について意見を求める。
  • その他、専門的且つ中立的・第三者的立場からの各種意見を求める。
といったことが考えられます。

FA事業者やM&A仲介事業者へ支払う報酬は高額になることが多いですし、そもそも会社や事業を譲り渡したり、譲り受けたりすることは多くの利害関係者の人生をも左右する大きな事柄です。事業を譲り渡す側、事業を譲り受ける側、どちらの場合でもセカンドオピニオンの活用が望まれます。

5.その他の重要な注意点 

FA事業者やM&A仲介事業者とのFA契約や仲介契約では専任条項と呼ばれる条項で、実質的にセカンドオピニオン取得が禁止されている場合があります。ほとんどの場合は、M&Aで極めて重要な秘密保持の観点から設けられている条項ですが、そういった場合を含め、まずはFA契約や仲介契約を締結する前に当該専門家に必ず相談しましょう。「中小M&Aガイドラインに記載されていたセカンドオピニオンを活用する可能性も残しておきたい」と伝えれば、ほとんどの専門家が対応してくれるはずです。対応してくれない場合は、他の専門家に切り替えるべきです。特に、M&A支援機関登録制度に登録しているM&A専門家は、「依頼者(売り手や買い手)がセカンドオピニオンを取得することを許容すべきである」としている中小M&Aガイドラインを遵守することを宣言しています。それにも関わらずセカンドオピニオンを取得することを忌避するようであれば中小企業庁の情報提供窓口への相談や、FA契約・仲介契約締結の取りやめなどを行うべきです。

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2021年12月13日月曜日

【再・追加開催】「事業承継などを理由とする会社や事業の譲り渡し」を検討中の長崎県所在企業の方々を対象とした無料相談会(オンライン)

内容を更新する場合がありますので、お申込みにあたっては必ずPeatixのページをご確認ください。


「事業承継などを理由とする会社や事業の譲り渡し」を検討中の方々を対象とした無料相談会の開催日時を再度追加することとなりましたのでお知らせします。以下、開催概要です。

-------

M&Aについてのお悩みについて無料相談を承ります(1日2社まで。1社当たり30~60分を想定)。
お申込みいただいた方の中から先着順で対応させていただきます。

双方のニーズが合致すれば、具体的なM&Aの相手方候補となりうる第三者とのお引き合わせも可能です。お引き合わせの日時は別途の調整とさせてください。また、お引き合わせを確約するものではありませんのでご了承ください。

■お申込みはこちらから

https://www.ngc-partners.biz/cmeeting

■開催日

2021年内開催分については申込受付を終了しております。

■当日のタイムスケジュール(予定)

13:00~ 1社目の企業様の相談時間
14:00~ 2社目の企業様の相談時間

■無料相談会の対象

以下の両方に該当する方を対象としています。
  1. 本社や本店が長崎県内の中小企業で、
  2. 上記企業のオーナー(株主等)、代表者(代表取締役等)もしくは後継者(候補含む)の方

■対応可能なご相談

(1)以下のようなM&Aに関することについて、「まずは何をすればよいか」、「本格的に検討・推進する場合にはどこに相談したら良いか」といった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。
後継者が親族・社内にいないため、現在の経営方針を尊重した上で会社を承継してくれる第三者を探したい。一部の事業について、自社で運営するのではなく、第三者に運営を受け渡したい。有力な他社のグループに入り営業力や企画開発力などの強化を行い、事業を拡大したい。同業他社と経営統合を行い、管理部門などの重複機能の効率化を行うなど企業体力を増強したい。事業承継ファンドに会社を承継することについて検討したい。

(2)すでにM&Aアドバイザーがいらっしゃる方でも、「M&Aのセカンドオピニオン」を得たいが、どう進めていいか分からないといった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。


■遵守事項

  • 無料相談会でお預かりした内容は、秘密情報として取り扱い、御相談者様の方の事前の承諾なく第三者に開示することは致しません。
  • 御相談対象の企業様の具体的な承継先・受け渡し先となりうる企業様とお引き合わせをさせていただくことも可能ですが、その際も相談者の方のご希望や事前の承諾なく当該企業様に情報を開示することは致しません。

■お断り事項

  • Web会議の録画・録音は固くお断り申し上げます。
  • 代理の方のご出席はご遠慮ください。
  • M&Aアドバイザー等の同席はご遠慮ください。
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2021年12月11日土曜日

事業計画の作り方20 後継者の方向け(8) 現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析3 内部環境分析(1)

前回の外部環境分析に引き続き、今回から内部環境分析について解説していきます。

内部環境もいろいろな切り口で分析できるのですが、当シリーズでは以下の3つの切り口について解説します。
  1. 経営面・業務面・人事面に分けた分析
  2. 代表的フレームワーク
  3. M&Aのデューデリジェンスの手法を活用した分析
技術や知的財産権の分析等が抜け落ちていますが、これについては恥ずかしながら私も勉強中のため、当シリーズでは割愛させていただきます。それらの分析については経済産業省の「知的資産経営ポータル」などが参考になります。知的資産というのは同Webサイトでは以下のように定義されており、いわゆる知的財産権によりも広い概念です。
「知的資産」とは、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない資産のことで、企業の競争力の源泉となるものです。これは、特許やノウハウなどの「知的財産」だけではなく、組織や人材、ネットワークなどの企業の強みとなる資産を総称する幅広い考え方であることに注意が必要です。さらに、このような企業に固有の知的資産を認識し、有効に組み合わせて活用していくことを通じて収益につなげる経営を「知的資産経営」と呼びます。
(引用元:経済産業省「知的資産経営ポータル」)
また、今回以降の記事の内容は以前の記事「事業計画の作り方1 枠組み、全体像、基本的な考え方」などと重複する箇所もありますがご容赦ください。以前の説明よりも詳しい内容や、違った視点での説明を心がけます。

(1)経営面・業務面・人事面に分けた分析

 フレームワークとして確立されたものではなく、分析に「ダブり」が出てしまうのですが、比較的「漏れなく」分析できる方法としておススメしています。特に経営面については重要です。内部環境分析において経営者や経営チーム自身の分析や、体制についての分析が抜け落ちてしまうことが多々あるからです。次回(事業計画の作り方21)で解説予定です。

(2)代表的フレームワークを活用した分析

 経営資源の優位性を分析する「VRIO分析」、自社のどの活動で価値を生み出しているかを分析する「バリューチェーン分析」、複数の事業を行っている場合に知っておくべき「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」、「ビジネススクリーン」について事業計画の作り方22・23で解説予定です。

(3)M&Aのデューデリジェンスの手法を活用した分析

 M&Aのデューデリジェンスは「M&Aにおけるリスクを洗い出す」ためのものと勘違いされることが多いのですが、目的はそれだけではありません。「M&A後にどう経営していくか、どうシナジーなどM&Aの目的を実現していくか」ということの計画策定の基礎とすることも同じくらい重要な目的です。そのため、自社の現状分析に応用可能です。伝統的なデューデリジェンスである「事業(ビジネス)」、「財務」、「税務」、「法務」、「人事」、「労務」、「IT・システム」、「不動産」、「環境」に加え、近年重要度が高まっている事項について事業計画の作り方24で解説予定です。
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2021年12月10日金曜日

note転載:「推進力増か抵抗力減か」を考える例え話


既存の企業で何かを変革したり、新しいことを始めたりすると、必ずと言っていいほど、新しい方向に向かうことの妨げとなる事柄が生じます。そのことを前に進もうとする船で例えることがあります。

ある船(企業の例えです)の船長(変革や新規事業を推進したい経営者を例えたものです)は今までの進路での向かう先には明るい未来は待っていないと考え、舵を切り船の進路を変えようとします。しかし必ずと言っていいほど現れるのが、その抵抗となる事柄です。船が前に進むための妨げとなる、船体から飛び出た木の板に例えられます。そのとき、前向きで一生懸命な船長であるほど、スクリューをより勢いよく回して船を前進させようとします。しかし、船体から飛び出た木の板はスクリューの回転が増すほど、船が前に進むのを邪魔する働きを増してしまいます。より多くの水がその木の板にぶつかるからです。

その時、船長か、船長を補佐する副船長が行うべきは、木の板を取り除くことです。木の板を取り除く作業をしている間はスクリューを回すわけにはいきませんので、無駄に時間が過ぎてしまうように感じるかもしれません。しかし、木の板がある限りはどんなにスクリューを回しても前にはなかなか進みません。急がば回れで、木の板を取り除くことを先に行うべきです。

木の板を取り除く、というのは抵抗力になってしまっている既存の仕組みを改めたり、本人が意図しているか意図していないかに関わらず抵抗勢力になってしまっているメンバーに行動変容をしてもらうか、といったことを意味します。言うことを聞かないメンバーを辞めさせることとはイコールではありません。それは最後の手段、伝家の宝刀であり、伝家の宝刀は軽々しく抜いてはいけません。でも、伝家の宝刀を持っていることを忘れてもいけません。

ところで、船長は意外と飛び出た木の板の存在には気が付かないか、気が付いていたとしてもそれを軽視してしまう傾向があることが少なくありません。VCや経営コンサルタントは、飛び出た木の板が船の進行を妨げることがある、ということは知っていますが、具体的なその船でどれが飛び出た板なのか、が分からないことがあります。そういうときには上記の例のような副船長、つまりはナンバー2がいると良いのかもしれません。
石井優 / NGCパートナーズ|note
私見やプライベート寄りの投稿中心です。
https://note.com/ngcpartners

2021年12月9日木曜日

プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会

2019年8月にNGCパートナーズの活動を再開する少し前から、「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」という団体に加入しています(会員番号000178)。個人事業主として活動する方にはとてもお勧めできるサービスが揃っていますので紹介させていただきます。

同協会のWebページには事業概要として、以下のように記載されています。
フリーランス向けベネフィットプランの提供
フリーランス支援・啓発イベントの企画運営
フリーランスに関する各種調査の実施・政策提言
企業に対するフリーランス活用アドバイス・コーディネート
日本でも働き方が多様化してきている一方、法制度、社会制度や民間サービスなどはまだまだその対象を「会社勤めしている人」をベースにしたものとなっています。つまりは、個人事業主などとして独立した場合、様々な面で不利な立場におかれてしまいます。そういった不利な面をサポートするサービスなど、「独立して個人で活動している方」にとってはとても助かる存在ですので、一度Webサイトをご覧になることをおすすめします。

また、政策提言なども積極的に行っており、個人事業主などの働き方の実際に関する調査事業なども実施しています。アンケートへの回答等を通じて協力できますので、そういったことに関心がある方もぜひご覧ください。
フリーランス協会

2021年12月8日水曜日

note転載:「問題の深堀」に関する例え話

「石井優/NGCパートナーズのnote」からの転載。

若手研修や、新任管理職研修などで、「問題の深堀」の重要性について私がよく例に挙げるのが「腹痛」です。トヨタの「なぜを5回繰り返す(なぜなぜ分析)」はあらゆる階層の問題解決の代表的手段ですが、それを分かりやすく説明したいと考え、例として挙げています。

ちなみに、本当のなぜなぜ分析を使いこなそうと思うと、量稽古も必要ですし、要因がどんどん枝分かれしていくことがあるため結構大変です。研修の段階では、表層的な解決策に飛びつかないことが重要、という趣旨で話をしていますので、かなり単純化しています。

よく話をする例は以下のようなものです。

お腹が痛いときに、お腹が痛い理由を考えずにすぐに胃腸薬を飲んでも、そのときは痛みが治まるかもしれませんがまた繰り返してしまう可能性もあります。典型的な対症療法です。ひとまず胃腸薬を飲んで腹痛を抑えつつ、もう少し深堀りして腹痛の原因を探ってみたらどうでしょう?お腹が冷えているのでしょうか?古くなったものを食べてしまったのでしょうか?それが分かるとお腹が冷えない服を着る、食べ物の賞味期限などを確認するといった、薬を飲むだけよりは効果的な対策を考えることができます。しかし、まだまだ対症療法の範囲内です。古くなったものを食べてしまった、という点についてさらに深堀りしてみると、冷蔵庫が故障して充分に冷えなくなってしまっているのかもしれません。そうではなく、いつも買い物をするお店に陳列されている商品は賞味期限間近のものが多いといったことが分かるかもしれません。そうしたら冷蔵庫を買いなおす、他のお店で購入するという手を打つことができます。

このように少し深堀りするだけでもより良い対策を考えることができることが分かります。例がとても単純なので簡単に見えてしまうかもしれませんが、ビジネスの現場で実践するためには訓練が必要ですし、多少の深堀はしていても、自分が見たくない現実を避けたりしているかもしれません。それ以前に、腹痛のときに胃腸薬を飲むだけの方も意外と多いのではないでしょうか。
石井優 / NGCパートナーズ|note
私見やプライベート寄りの投稿中心です。
https://note.com/ngcpartners

2021年12月7日火曜日

事業計画の作り方19 後継者の方向け(7) 現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析2 外部環境分析

前回は「現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析」の全体像について解説しました。今回は、その内、外部環境分析について解説します。

1.外部環境とは?

まずは外部環境とはどういった意味で、具体的にはどのような事項を意味するのでしょうか?前回の記事では単に、「自社の環境のうち、自社でコントロールするのが難しい事項」といった意味合いでご紹介しました。言葉の定義自体としては実務上はこの理解で問題ありません。一方で、具体的に何を指すのか、については基本を正確に理解しておき、且つ自社の場合はそこに過不足がないか、を考えることが重要です。伝統的には以下の事項が外部環境の基本的要素と言われています。
  1. 顧客
  2. 顕在的競合事業者
  3. 潜在的競合事業者
  4. 仕入先事業者
  5. 販売先事業者
  6. 流通事業者
  7. 経済的環境
  8. 政治的・法律的環境
  9. 人口動態的環境
  10. 社会的・文化的環境
  11. 技術的環境
  12. 自然環境
ここに、近年重要性が高まっている「13.経済安全保障」や「14.SDGs」などの横串を通す視点も忘れてはなりません。横串を通すとMECEではなくなってしまいますが、経済安保やSDGsについては上記伝統的要素での分類はうまく対応できませんし、「漏れ」を回避する方が「ダブり」を気にするよりも遥かに重要です。

さて、上記伝統的要素の内、1~6をミクロ的外部環境、7~12をマクロ的外部環境といったようにグルーピングできます。自社でコントロールするのが難しいのが外部環境、と説明しましたが、マクロ的外部環境とミロク的外部環境の間にはコントロール可否の度合いに違いがあります。マクロ的外部環境に自社から働きかける方法は限定されていますが、ミクロ的外部環境についてはコントロールが難しいとは言え、積極的な働きかけが必要です。

(1)顧客

顧客については、起業前の方向けの回でも解説していますので、そちらもご確認ください。
まずは「顧客は誰か」ですが、後継者の方がいらっしゃる企業の場合、すでに顧客が存在しますので、ポジショニングマップをいろいろな切り口で考えることができるはずです。ビジネスモデルによっては「顧客(実際に費用を負担する)」と「ユーザー(利用はするが費用は負担しない)」が異なる場合もありますので、定義をあいまいにしておかないことも大切です。「顧客のニーズ」や「価値提案」についても、知っているつもりにならずに一から分析しなおす、くらい行っても良いと思います。ここがしっかり理解できていないと後々、「自社の強み」を正しく把握できなくなってしまいます。

(2)(3)競合事業者

競合事業者については、「顕在化している競合」と「潜在的競合」を分けて分析することをおすすめします。「潜在的競合」とはファイブフォース分析に出てくる「新規参入者」と「代替品」を合わせたものに近い意味合いです。「自社の製品やサービス」を起点に考えると顕在的競合にしか考えが及びません。ですので競合について考える際には「顧客のニーズ」を起点に考える必要があります。こちらの記事もご確認ください。

(7)経済的環境

マクロ経済学の教科書に出てくるような事項、日本経済新聞で頻繁に取り扱われるような事項と理解しておけば良いでしょう。主なものはGDP、経済成長率、景気動向、消費、設備投資、政府支出、輸出入、税制、物価、為替、株価、金利、日銀短観、失業率、鉱工業指数などです。現在の水準がどうか、だけではなく、今後の推移はどのように予測され、その理由は何か、まで分析しましょう。もちろん、専門家でない限り実際の分析は難しいので、特定のエコノミストなどの発言や見解を追う、といった方法をとることもあります。

GDPや経済成長率といった話は規模が多すぎて自社には関係ないと思われがちですが、それらはたとえば、消費、設備投資、政府支出、輸出入などで構成される総合的な指標ですので、仕組みは理解しておくべきです。大学一年生が読む程度の経済学の基本テキストは理解しておいた方が良いですし、自社の事業にどう影響してくるかの仕組みについても学んでおきましょう。

(8)政治的・法律的環境

政策、規制、法律改正、政権交代、外交などがキーワードとして挙げられます。よほど新しい業界でもない限り、「現在の政策や規制」について知らない、ということはあまり多くはありませんが、内容のアップデートや、改革・改正の方向性などについてはカバーできていないことが多いようです。新聞に目を通すだけではなく、業界団体の勉強会に出席したり、業界紙で情報収集したりする必要があります。また、各省庁の各種研究会の議事録やパブリックコメントなどをウォッチしておくのも良い手段です。

(10)社会的・文化的環境

文化の変遷、教育、犯罪、世間の関心などがキーワードとして挙げられます。

(11)技術的環境

ものづくりの技術などももちろん大切ですが、忘れてはならないのが、IT化、DX化、AIやバーチャル技術、量子関連技術など現在進行形の技術や、その次に高い可能性で訪れるであろう技術についての環境分析です。

(13)(14)経済安全保障やSDGsなどの新しい流れ

複数の上記伝統的要素に関係していますので、「ダブり」を気にすることなく独立した項目として分析を行うべきです。特に脱炭素と人権については急速に環境が変化していますし、個々の事業への影響も大きいので要注目です。新しい流れについては日本国内の論調だけを見ていると、重要性、方向性やスピード感を見誤ってしまう可能性があるので、海外の記事や、国内でも先進的と言われる企業や専門家の動向をチェックしておくことをおすすめします。


2.代表的フレームワーク

外部環境分析のフレームワークとして知っておくべきなのは、マクロ外部環境分析の「PEST分析」とミクロ外部環境分析の「ファイブフォース分析」です。経営に関する書籍などでは必ず触れられているフレームワークなのでご存知の方も多いと思います。

(1)PEST分析

PEST分析は、政治的要因(Politics)、経済的要因(Economics)、社会的要因(Society)、技術的要因(Technology)という4つの要素でマクロ外部環境分析を行うフレームワークです。一般的には「ペスト」と読みます。

各要素については、分類に違いがありますが、上記「7.経済的環境」以降の要素についての説明を参照してください。なお、PEST分析を行う際には、各要素ごとに「自社にとって追い風となる事項」、「自社にとって向かい風となる事項」に分けて整理しておくと後で活用がしやすくなります。

(2)ファイブフォース分析

自社の所属する業界の収益性を決定する要因を分析するフレームワークで、ミクロ的外部環境分析を行うツールとして活用されます。

ファイブフォース分析は「外部環境の中では比較的働きかけがしやすく、働きかけをすべきミクロ的外部環境分析」に関するものですので、単に分析を行うだけでなく、それぞれの要素に適切な働きかけを行うことで、収益性を維持・向上させていくための行動計画立案のツールともなります。

「競合企業」とは、すでに競争が顕在化している「業界内の競争環境」を意味します。業界内の社数が多い、会社規模が似通っている、差別化できる要素が少ない、市場規模が拡大しにくい、撤退障壁がある、などの状態だと業界内の競争が激しいことが多いです。

「サプライヤー」とは供給業者や仕入れ先のことを意味しており、サプライヤーの社数が少ない、サプライヤーの技術や材料が他に替え難い、などの状態だとサプライヤーの交渉力が相対的に自社より強く、高い価格での仕入れとならざるを得ないなどの可能性があります。販売先を意味する「バイヤー」についても同様です。

「新規参入事業者」について考える際には、参入障壁の高さについての視点を持っておくことが重要ですし、「代替品」については、それが存在しないと短絡的に考えずに「顧客のニーズを満たすことができる、他の製品やサービスはないか」を常日頃ウォッチしておくことが重要です。

ファイブフォース分析もPEST分析と同様に各要素ごとに「自社にとって追い風となる事項」、「自社にとって向かい風となる事項」に分けて整理しておくと後で活用がしやすくなります。

次回からは内部環境分析についての解説を予定しています。
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2021年12月6日月曜日

note転載:反省と後悔

「石井優/NGCパートナーズのnote」からの転載。

過去の失敗経験に対するスタンスとして、大半の方は「反省」がベースになっているか、「後悔」がベースになっているか、のどちらかではないでしょうか。「忘却」や「失敗したことはない」というのもあるかとは思いますが、今回は「反省と後悔」について思うことを書きます。

ところで、「忘却」は自分自身が潰れないようにするためなどに活用すべき場面はあろうかと思いますが、「失敗したことはない」というのは完全なる勘違いか、何にも挑戦してこなかったかのいずれかにすぎないのではないでしょうか。同様に失敗を想定していない人というのは、自分の能力を過信している傲慢な人であると感じます。

話を戻すと、私は自分自身を、「反省して成長するタイプ」であると考えており、自身の強みを「同じ失敗を繰り返しにくいこと」と言ったりしています(以前は「同じ失敗を二度としない」と言っていたのですが、言い過ぎでしたので改めました)。ですので、過去の失敗を思い出すのは、目の前の新しい取り組みに活かせる教訓はないか、を思い出すことが目的です。もちろん私も人間ですので、後悔の念に囚われることも少なくありませんが、意識して考えないようにします。

一方で、「後悔」がベースになっている方にお会いすることも少なくありません。何かにつけて「あのとき、ああするんじゃなかった。」とか「こうすれば良かった。」とかおっしゃっています。そこから少し考えを深めれば教訓を得て反省とすることもできそうなものですが、なかなかそこに至りません。

そういう方との仕事の中で、そういう場面に出くわすと「反省は大切ですが、単なる後悔はやめましょう。」と声掛けするようにしていますが、習慣づいた思考を改めるのは、誰にとってもなかなか難しいことですね。

様々な場面で新しいことへの取り組みが求められる現代、「仮説検証」や、「試行錯誤」ができるかできないかは大きな差につながってきます。第一歩として「後悔ではなく反省」というスタンスで物事に取り組みたいものです。
石井優 / NGCパートナーズ|note
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2021年12月5日日曜日

note転載:「最初に仕事の全体像を確認することの大切さ」の例え話


物事の視点として「鳥の目・虫の目・魚の目」という話がありますが、「鳥の目」の意味する「物事を俯瞰的に見る」ということを正確に理解したり実践したりことはなかなか難しいと感じます。

そこで、企業の社内研修(若手研修や新任管理職研修)などで、「仕事の仕方」においての俯瞰的な見方の例として、以下のような話をすることがあります。本来、「俯瞰」とは高いところから見ろして全体像を見ること、といった意味合いですが、ここでは単に「仕事の全体像を最初に確認することの大切さ」の例として話をしています。

さて、あなたの目の前には小高い山があります。その麓には登山道の入り口が見えます。「あの山の頂上まで行ってください。頂上に到着することのみが目的です。」と指示された際、あなたはどうしますか?

Aさんは早速、見えている登山道から登り始め、山頂を目指しました。

Bさんは、山の周りをぐるっと一周するところから始めました。山頂までの交通手段がないかを探すためです。そして、ロープウェイを見つけ、それで山頂を目指しました。

仕事を俯瞰的に見ることの第一歩は、このBさんの行動が参考になります。山の周りをぐるっと一周することにより、仕事の全体像を把握し、目的達成のために効率的な方法を見出して実践する、ということができているからです。もちろん、登山の過程を経験することが目的であったりする場合は、Bさんの行動は仕事の趣旨を理解していないという意味で望ましいとは言えませんが、今回の例はあくまでも頂上に至ることだけが目的です。

仕事をする際に、事前に確認すべきことを何も確認することなく取り掛かってしまうAさんのような方は決して少なくありません。真面目で一生懸命な方なのでしょう。真面目であることは得難い資質であり、決して悪いことではありません。しかし、「仕事の仕方」という意味では、もう一歩成長があるとより素晴らしいと思います。「俯瞰的に物事を見る」は少しハードルが高いかもしれませんが、「事前に山の周囲をぐるっと一周する」ことからは開始できそうです。

ところで、この例を使うと、「目の前に山に登ることが、そのずっと先にある大目標に至るために必要な行動か、と考えるCさん」や「そもそも目の前にあるのは山なのか」と考えるDさんもいるようですが、Cさんは経営者、Dさんは哲学者(?)などにむいているのかもしれませんね。
石井優 / NGCパートナーズ|note
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2021年12月4日土曜日

事業計画の作り方・番外編 起業前の方向け 個人事業主の屋号と独自ドメインはどうすべきか

久しぶりに起業前の方向けの記事です。

今回は「事業計画の作り方」とは少しズレるのですが、起業前の準備として重要且つ少し悩むテーマとして「屋号と独自ドメインはどうすべきか」について解説します。本記事自体は個人事業主として起業する予定の方向けの書き方にしています。なお、屋号とは「ビジネス上の名称」くらいの意味でお考えください。

さて、Web上で検索すると屋号や独自ドメインの問題について解説している記事が多く見つかります。屋号をどうするかという点については、ご自身が屋号にどういう意味を見出すか次第ですのでそれについて解説してくれている記事を見つけ参考にするのが一番です。ここでは「起業後のビジネスのやりやすさ」に絞って解説します。

個人事業主として開業する際に税務署に届け出る開業届に屋号を記入する欄があるのですが、屋号を設けることは必須事項ではありません。ですので必要に応じて屋号を決めるということで問題ない、というのが結論ですが、それだと何の参考にもなりませんので、屋号を設けるか否か、は以下の基準で決めるかたちをおすすめしています。あくまでも屋号に特に思い入れがない場合の話です。私の場合は、屋号に自分なりの想いを込めましたので、最初から屋号を設けていました。
  1. 当面の間、業務を受注する先がすでに既知の事業者のみの場合、屋号は必ずしも必要はない。
  2. 新規開拓営業を行う、新規先からの受注を目指すなどする場合は屋号がある方が良い。
分かりやすい基準かと思いますが、特に「2」について日々の業務に地味に響いてきます。日本の場合は組織に属して働いている方の割合のが多いため、ビジネス上では「〇〇社の〇〇です。」というかたちで、所属組織名→氏名、という順番で名乗ることが一般的です。屋号があると「〇〇(屋号)の〇〇です。」と名乗ることができ、たとえば営業先に電話するときの名乗りとして活用できます。屋号がないとただ自分の氏名を名乗るだけとなってしまい、必要な方に取り次いでもらえなかったり、「どちらの〇〇様ですか?」などと聞き返されてしまい、説明の手間を要することになったりします。同様の理由で、屋号は名乗りやすく聞き取り安いものがbetterかと思います。

独自ドメインや事業用のWebサイトを設けるか、についても同様です。
知り合いのみから仕事を受けるのであればいずれも必要はないと思います。ビジネス上はGmailなどは好ましくない、といった解説記事をよく見かけますが、情報の取り扱いに慎重さを要する場合を除き、知り合いとのやりとりであれば大きな支障はそれほどないでしょう。

しかし、新規開拓を考えている場合はいずれもあった方が良いです。独自ドメインのメールアドレスがないと、ビジネスを行う事業体としての体制などを疑われてしまいますし、Webサイトがない場合でも同様です。ですので、新規開拓を考えている場合は、コストも安いですので独自ドメインとWebサイトは用意した方が良いです。
なお、それらはWeb上での受注を目指す、という位置づけより、「自分が営業した先の事業者がWeb上で自分のことを調べた際に、必要な情報を参照できる。」くらいの位置づけで十分です。Web上で新規受注をしたいのであればプラットフォームなどを利用しましょう。独自ドメインやWebサイトを設けるか否かについて悩む方の場合は、そもそも事業上の必要性が高くない方と考えられますので、自分のWebサイトのコンテンツを必要以上に充実させたり、SEO対策に労力や資金を投入するよりも、プラットフォームを活用する方が効果的です。ただし、事業の拡大などを目指し始める場合は別です。
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2021年12月1日水曜日

事業計画の作り方18 後継者の方向け(6) 現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析1

前回の記事から1年以上空いてしまい申し訳ありません。「後継者向けの事業計画の作り方」について解説を再開します。

さて、前回まで番外編を除く4回にわたって「現状分析」について解説してきましたが、説明が財務分野に偏ってしまっていましたし、時間も空いたこともありますので、これから数回は視点を変えて、「現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析」について解説します。

なお、繰り返しになりますが、後継者にとって「現状分析」はとても重要です。本記事を読み進める前にぜひ「事業計画の作り方1」と「事業計画の作り方14」をご覧くと同時に、以下の図を思い出していただければと思います。

1.現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析とは?

さて、SWOT分析は最もよく使われるフレームワークのひとつと言えますが、多くの場合、「現状分析で真っ先に使うフレームワーク」との位置づけとなっているようです。その場合、研修の中でグループディスカッションの題材として利用した際などに「思い付きしか書けない」、「弱みや脅威は思いつくが、強みや機会が思いつかない」といった事態となり勝ちです。SWOT分析は理解しやすい構造ですが、その活用の仕方には注意が必要です。特に、以下の2点について知っていただきたいと思います。
  1. SWOT分析は、他の現状分析で得られた情報や認識を整理するという「現状分析の総仕上げ」として活用すべきフレームワークである。
  2. SWOT分析は、その応用であるクロスSWOT分析まで行うことで、現状分析を超えた、今後の方針や打ち手を考えるフレームワークとなる。
では、「現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析」とは、どういった意味なのでしょうか。

「事業計画の作り方1」や過去数回の現状分析に関する記事で、代表的な現状分析のフレームワークをいくつかご紹介しました。それぞれのフレームワームは極めて有用なものなのですが、これから会社を経営していく、そのための事業計画を作る、という立ち位置にある後継者にとっては当然ながら「分析」だけでは不十分で、分析結果を今後の計画や行動に反映させていかなければなりません。そういった「現状分析の段階」から、「事業計画策定の段階」に進むために最も活用しやすいのがSWOT分析とその発展形であるクロスSWOT分析なのです。ですので私は、各種フレームワーク等による現状分析をSWOT分析で総仕上げし、それをクロスSWOTに発展させ、事業計画策定の第一歩とする、という流れをおすすめしています。「現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析」についても次回以降、その流れに沿って解説していきます。

ところで、念のためSWOT分析とクロスSWOT分析について、基本的事項をまとめておきますので、あまり馴染みがない方は以下の内容にもお目通しいただければと思います。

2.SWOT分析

SWOT分析は上記の表から分かるとおり、「機会、脅威、強み、弱み」の英語の頭文字をとったものです。自社の環境を外部環境と内部環境に分け、それをさらにプラス要因とマイナス要因に分けます。


(1)外部環境(機会・脅威)
 外部環境、つまりは自社でコントロールするのが難しい事項の内、自社の事業にとって追い風となる事項、チャンスとなる事項をSWOT分析では「機会」と呼びます。逆に自社の事業にとって向かい風となる事項、ピンチとなる事項を「脅威」と呼びます。

さらにはマクロ的視点の事項と、ミクロ的視点の事項に分類が可能です。

マクロ的視点の事項は、代表的フレームワークであるPEST分析の分析結果を活用することで洗い出すことが可能です。PEST分析とは、「事業計画の作り方1」でもご紹介したのですが、マクロ環境をPolitics(政治的要因)、Economics(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)という切り口で分析するフレームワークです。

ミクロ的視点の事項は、ファイブフォース分析や3C分析などの分析結果の一部を活用して洗い出すことが可能です。
ファイブフォース分析は、業界の収益性を決める以下の5つの競争要因を分析するフレームワークです。
 ・競合(業者間の競争関係)
 ・サプライヤー(供給業者)の交渉力
 ・バイヤー(直接顧客または最終顧客)の交渉力
 ・新規参入業者の驚異
 ・代替製品またはサービスの驚異
3C分析は、自社環境を3つの「C」、つまりはCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)に分けて分析するツールです。この内、Customer(市場・顧客)とCompetitor(競合)に関する分析結果は外部環境分析に活用可能です。


(2)内部環境(強み、弱み)
 内部環境、つまりは自社である程度コントロール可能な事項の内、「自社が他社よりも優れた・勝てる・得意なところはなにか?」を明確にしたものを「強み」と呼びます。逆に「自社が、他社よりも劣った・負ける・苦手なところはなにか?」を明確にしたものを「弱み」と呼びます。「ヒト、モノ、カネ、情報・ノウハウ」といった切り口で分析することが一般的ですが、このシリーズでは、内部環境を以下のようないくつかの切り口に分けて解説します。
・切り口1:経営面、業務面、人事面
・切り口2:事業、財務、税務、法務、人事、労務、システム、不動産、環境


(3)外部+内部環境
 外部環境と内部環境を総合的に分析できるフレームワークとして「5C分析」というものもあります。「顧客/市場のニーズ、自社のスキル、競争度合い、協力者、背景」を分析するものです。そのうち、「競争度合い」はファイブフォース分析で、「背景」はPEST分析で代用します。

3.クロスSWOT分析


図をご覧いただけるとわかるとおり、SWOT分析の結果を活用して次の戦略を考えるのがクロスSWOT分析です。

(1)機会✕強み
 積極化戦略と呼ばれ、事業機会に対し、自社の強みを最大限に生かすにはどうしたらいいか?を考えます。

(2)脅威✕強み
 差別化戦略と呼ばれ、脅威に対しても、自社の強みでチャンスに出来ないか?を考えます。

(3)機会✕弱み
 改善戦略や段階的施策と呼ばれ、事業機会に対し、自社の弱みで取り逃がしてしまったことを改善・回復するにはどうしたらいいか?を考えます。

(4)脅威✕弱み
 防衛・撤退と呼ばれ、脅威と弱みが最悪の事態を招かないようにするにはどうするか?を考えます。

次回は、外部環境分析について詳しく見ていきたいと思います。
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2021年11月27日土曜日

【比較】ハンズオンとコンサルティング Ver.2021

(注)この記事は、以前の記事の内容を一部更新・修正したものです。 

一般に、ベンチャーキャピタル(以下、VC)が投資先企業に行う経営支援は「ハンズオン」と呼ばれています。一方で、経営支援を業として行っている存在の代表格と言えば経営コンサルタントとのイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。今回の記事では、ハンズオンとコンサルティングを比較することで、両者への理解を深めていきたいと思います。

内容に入る前に、以下5点について予めご了承ください。

  1. まず、今回の記事はあくまでも「私が考えるハンズオンとコンサルティング」にすぎません。両方の言葉とも、通説と言われるような定義が定まってはいません。全く違うお考えをお持ちVC関係者や経営コンサルタントの方もいらっしゃると思いますし、そもそもVCも経営コンサルタントも多様です。それを強引に比較している記事であるとご理解いただければ幸いです。
  2. 私個人としては、「和魂洋才」のように、ハンズオンのスタンスとコンサルティングのノウハウをうまく融合したいと考えていますので、今回の記事もそういった考えに基づくバイアスがあるかもしれません。なお、NGCパートナーズの事業内容については「経営・財務コンサルティング」と記載していますが、これは投資ありきではないこと、言葉の分かりやすさを優先させたことが理由です。また、「協働型」を謳っているのもハンズオンのスタンスをコンサルティング活動に反映させたいという想いや実践の表れです。
  3. プライベート・エクイティファンド(以下、PEファンド)も経営支援活動を行っており、それもハンズオンと呼ぶ場合もありますが、VCや経営コンサルタントと異なりPEファンドはその仕組み上、持ち株比率(シェア)が高い株主として、実質的に経営の最終意思決定権限を持つことも多いので、その権限を前提としていないハンズオンやコンサルティングとは同列に論じることができないと私は考えます。よって、今回の記事での「ハンズオン」という用語はPEファンドのそれではなくVCが行う経営支援のことを意味するものとします。
  4. 本文中で「支援先企業」という言葉を使用していますが、これはVCにとっては投資先企業、経営コンサルにとってはコンサル先企業を意味します。なお、経営コンサルがコンサル先企業に資金を投じる(出資する)事例や、VCが投資先企業ではない企業に対しコンサルを行う事例などは説明の都合上、今回の記事の対象外です。
  5. VC業界とコンサル業界との間での人の流動性が高まっていますので、お互いがそれぞれの優れたところを取り入れていく流れも強まるのではないかと思います。そのため、ハンズオンとコンサルティングを分ける意味も薄れていくかもしれません。
さて、それではハンズオンとコンサルティングを比較していきましょう。

(1)立ち位置

・ハンズオン
 VCと支援先企業とは原則として株主と発行体の関係であり、また、支援先企業の株主価値が向上することがVCの収益の源泉であるため、「運命共同体(On the same boat)」と呼ばれます。そのため、VCの投資担当者は、支援先企業もしくは経営者とできるだけ近い立ち位置に自分たちを位置づけようとします。どこまで踏み込むかはVCごと投資担当者ごとのスタンスに依るのですが、運命共同体であるという考えが出発点となっているのは多くのVCに共通していると考えられます。但し、運命共同体であっても常に目指すべき方向が常に一致しているとは限りませんし、方向が一致していても時間軸などが一致しないこともありえます。また、投資と出口(EXIT)の場面では利害の調整・交渉が必要となることもあります。

・経営コンサル
 経営コンサルタントはあくまでも支援先企業からの業務委託を受けた立場であり、「同じ船に乗っている」わけではありません。ただし、あくまでも形式上の話であり、経営コンサルタントの中には、支援先企業の経営者に寄り添える工夫をされている方も多くいます。

(2)経営支援の基本的スタンス

・ハンズオン
 VCは支援先企業もしくはその経営者と共に考え行動します。一部の分野については「教える」というかたちも取ります。前例や参考事例がないことが多いスタートアップの世界で求められるスタンスとも言える一方、別に述べるとおりVCは経営支援の専門性が高くないことが多いためにそういった方法を取らざるを得ないという側面もあります。

・経営コンサル
 支援先の経営者や担当者に「教える」というのが基本的方法です。また、多くの場合、特定の専門分野(戦略、人事、財務、会計、営業、業務、システム等々)での支援が中心となります。高い専門性を持っているが故に教えるという方法になりがちであり、また高い専門性を維持するためには分野も限定せざるを得ないということでもあります。

(3)経営支援のチーム

・ハンズオン
 VCの担当者は多くの場合、属人的に活動しており、支援先企業への経営支援も属人的な活動に留まることが少なくありません。シニアメンバーと若手の組み合わせで活動している場合でも、属人的なことには変わりありません。ただし最近では、プロジェクト単位で専門性の高いメンバーを支援活動に参加させる例も増えています。また、第三者(VCでも支援先企業でもない、専門性を保有した別の事業体)の力を借りることには積極的ですし、その第三者の中には専門性の高い経営コンサルが含まれることも少なくありません。

・経営コンサル
 大手・中堅レベルのコンサルファームではチームを組織して、支援活動に必要な専門分野をカバーできるようにしています。中小・個人レベルではチームが組成されることは多くはないようです。

(4)経営支援の範囲

・ハンズオン
 経営全般が対象です。資金を投じている株主であるため、経営のあらゆる面について関心があるからです。VCは支援先企業の株主価値向上が儲けの源泉であり、支援先企業のあらゆる事象が株主価値に影響を与える以上、経営支援の範囲も経営全般とならざるを得ません。ハンズオンを標榜するVCの投資担当者がしばしば支援先企業の取締役などに就任することを考えると分かりやすいかもしれません。但しこのことは、全ての支援先企業の経営全般に常に関わることを意味するわけではありませんし、経営全般について専門性を持っていることを意味するわけでもありません。

・経営コンサル
 あくまでも経営の一部分(戦略、人事、財務、会計、営業、業務、システム等々)のみがその対象です。高い専門性を維持するためには分野も限定せざるを得ないということでもありますし、そもそも支援先企業からの依頼が特定の課題解決であることが多いということでもあります。但し経営コンサルタントが支援先企業の取締役などに就任することもありますが、その際は経営全般に対する助言を行うこともあるでしょう。

(5)視点

この点に関しては、他の項目と比べてもかなりバイアスがかかった見方になってしまっているかもしれません。

・ハンズオン
 「ありたい姿」「あるべき姿」にいかに近づけていくか、ということ軸とし、個別の戦略や戦術について助言するというよりは、仮説検証が適切に行われるようマネジメントサイクルの構築や運用支援を重視することが多いようです。確立されたノウハウがあるわけではないものの将来性のある産業や事業に投資し経営支援を行うのがVCの存在意義ですから、そうならざるをえないとも言えます。

・経営コンサル
 「システム」や「フレームワーク」ありきなことが少なくありません。経営コンサル会社自身が開発したシステムやフレームワークを持っていることもあり、それを売り込む狙いがあったりと、支援のための手段にすぎないはずのそれらがいつの間にか目的化してしまっているのを見ることもあります。また最近は論理的であるだけではいけないということで変わりつつあるようですが、「論理的に正しいかどうか」を重視する傾向があります。

(6)専門性

・ハンズオン
 高くはありません。ハンズオンの能力を高めるために組織的研修や訓練を行っているVCは日本では極めて限られていますし、ハンズオンの内容の妥当性や効果を組織的に検証する仕組みがあるVCも日本ではほとんど聞いたことがありません。そのため、良い意味でも悪い意味でもハンズオンの専門性は投資担当者次第になってしまっています。そもそも、VCの投資担当者は、自身を「ベンチャー投資家」などと定義している方や、投資に重きを置くのかハンズオンに重きを置くのか、といったスタンスが曖昧な方も少なくありません。ですので、経営支援に関する勉強量は多いとは言えない事例も見受けられます。

・経営コンサル
 少なくともVCよりは圧倒的に高いことが多いです。組織的研修や訓練も充実していますし、経営支援に関する勉強量も圧倒的です。

(7)結果責任

・ハンズオン
 経営支援の結果が、支援先企業の企業価値や株主価値を通じて、VCの損益に影響します。そういった意味で経営支援の結果責任を支援先企業と共有していると言えます。投資担当者自身がファンドに出資している場合は猶更です。

・経営コンサル
 法律関係上、結果責任の共有はVCほど明確ではありません。あくまでも業務委託契約の関係であり経営支援の結果責任を経営コンサルは負いません。もちろん、経営支援の結果が出ないと業務委託契約を更新してもらえない、評判悪化により新規契約が獲得できないなどの影響はありえます。

(8)ビジネスモデル上の位置づけ

・ハンズオン
 VCは「経営支援を(も)行う投資家」ですので、株式などに投資を行い、それが投資時より高い価額で売却することによる差額つまりはキャピタルゲインが儲けの源泉です。経営支援はキャピタルゲインを大きくしたり、確度を高めたりするための手段のひとつです。

・経営コンサル
 経営コンサルは支援先企業からの業務委託報酬などが儲けの源泉ですので、経営コンサルは目的そのものと言えます。但し、システムやソフトウェアを購入してもらうことが儲けの源泉である場合は経営コンサルはただの手段なのかもしれません。

(9)ノウハウの開示

・ハンズオン
 支援先企業に対してという意味合いでは、VCは経営支援のノウハウを隠す必要がありませんし、ノウハウを開示しなかった結果として株主価値向上が達成できなければ意味がありませんので、必要に応じて全て開示することが一般的です。但し、開示できるほどの専門性がない、体系化がなされていないといったことはありえます。

・経営コンサル
 経営支援のノウハウそのものが経営コンサルの強みですので、簡単にはその全てを開示することはしないようです。

(10)ネットワーク・人脈

・ハンズオン
 VCのネットワークや人脈は広いことが多いです。VCの日常の活動の中で最も重視されるのは「将来有望な未上場企業を探し出してくる」ことや「支援先企業の株主価値向上に必要なリソースを探してきて紹介する」ことなどであり、そのためにネットワークや人脈を構築すること自体も重要な業務のひとつとして多くの時間を割いています。

・経営コンサルティング
 ネットワークや人脈構築自体が業務の一部であるVCほどネットワークや人脈を構築することに時間を割けませんので、VCよりは狭いことが一般的です。

(11)担当者の質、経営に関わった経験、実務経験など

 これはいずれも担当者次第と言えますが、組織的な研修や訓練の仕組みが脆弱なVCの方が担当者の当たり外れが多いと考えられます。最近はVCの担当者の出身業界が多様になりつつありますが、業界全体で見るとまだまだ新卒採用や金融機関出身者が多く、経営支援能力の基礎となる事業会社での実務経験・経営経験の多さはあまり期待できません。しかし、両業界とも若手はやる気にあふれており、優秀で勉強熱心な人物が多いです。

以上、両者を比較してみましたが、あくまでも「理解のための比較」であり、優劣を論じたものではありません。両業界で働くことに関心がある方は、ぜひもっと情報収集して考えていただきたいですし、経営支援を必要としている事業会社等の方は自社の課題解決にどちらの方が相性が良いかなどを考えていただけると良いと考えます。
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2021年11月15日月曜日

【追加開催】「事業承継などを理由とする会社や事業の譲り渡し」を検討中の長崎県所在企業の方々を対象とした無料相談会(オンライン)

内容を更新する場合がありますので、お申込みにあたっては必ずPeatixのページをご確認ください。

「事業承継などを理由とする会社や事業の譲り渡し」を検討中の方々を対象とした無料相談会の開催日時を追加することとなりましたのでお知らせします。以下、開催概要です。

-------

M&Aについてのお悩みについて無料相談を承ります(1日2社まで。1社当たり30~60分を想定)。
お申込みいただいた方の中から先着順で対応させていただきます。

双方のニーズが合致すれば、具体的なM&Aの相手方候補となりうる第三者とのお引き合わせも可能です。お引き合わせの日時は別途の調整とさせてください。また、お引き合わせを確約するものではありませんのでご了承ください。

■お申込みはこちらから

https://www.ngc-partners.biz/cmeeting

■開催日

■当日のタイムスケジュール(予定)

13:00~ 1社目の企業様の相談時間
14:00~ 2社目の企業様の相談時間

■無料相談会の対象

以下の両方に該当する方を対象としています。
  1. 本社や本店が長崎県内の中小企業で、
  2. 上記企業のオーナー(株主等)、代表者(代表取締役等)もしくは後継者(候補含む)の方

■対応可能なご相談

(1)以下のようなM&Aに関することについて、「まずは何をすればよいか」、「本格的に検討・推進する場合にはどこに相談したら良いか」といった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。
後継者が親族・社内にいないため、現在の経営方針を尊重した上で会社を承継してくれる第三者を探したい。一部の事業について、自社で運営するのではなく、第三者に運営を受け渡したい。有力な他社のグループに入り営業力や企画開発力などの強化を行い、事業を拡大したい。同業他社と経営統合を行い、管理部門などの重複機能の効率化を行うなど企業体力を増強したい。事業承継ファンドに会社を承継することについて検討したい。

(2)すでにM&Aアドバイザーがいらっしゃる方でも、「M&Aのセカンドオピニオン」を得たいが、どう進めていいか分からないといった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。

■NGCパートナーズについて

概要 https://www.ngc-partners.biz/about
事業 https://www.ngc-partners.biz/business

■遵守事項

  • 無料相談会でお預かりした内容は、秘密情報として取り扱い、御相談者様の方の事前の承諾なく第三者に開示することは致しません。
  • 御相談対象の企業様の具体的な承継先・受け渡し先となりうる企業様とお引き合わせをさせていただくことも可能ですが、その際も相談者の方のご希望や事前の承諾なく当該企業様に情報を開示することは致しません。

■お断り事項

  • Web会議の録画・録音は固くお断り申し上げます。
  • 代理の方のご出席はご遠慮ください。
  • M&Aアドバイザー等の同席はご遠慮ください。

2021年11月6日土曜日

「M&Aによる事業承継をご検討中」の長崎県所在企業の方々を対象とした無料相談会(オンライン)を開催

内容を更新する場合がありますので、お申込みにあたっては必ずPeatixのページをご確認ください。

「M&Aによる事業承継をご検討中」の長崎県所在企業の方々を対象とした無料相談会をオンラインで開催しますのでお知らせします。以下、開催概要です。

-------
M&Aについてのお悩みについて無料相談を承ります(1日2社まで。1社当たり30~60分を想定)。
お申込みいただいた方の中から先着順で対応させていただきます。

双方のニーズが合致すれば、具体的なM&Aの相手方候補となりうる第三者とのお引き合わせも可能です。お引き合わせの日時は別途の調整とさせてください。また、お引き合わせを確約するものではありませんのでご了承ください。

■お申込みはこちらから

https://www.ngc-partners.biz/cmeeting

■開催日時と当日のタイムスケジュール(予定)

・開催日
 2021年11月13日(土)、同20日(土)、同27日(土)
・開催時間(全日程共通)
 13:00~ 1社目の企業様の相談時間
 14:00~ 2社目の企業様の相談時間

■無料相談会の対象

以下の両方に該当する方を対象としています。
  1. 本社や本店が長崎県内の中小企業で、
  2. 上記企業のオーナー(株主等)、代表者(代表取締役等)もしくは後継者(候補含む)の方

■対応可能なご相談

(1)以下のようなM&Aに関することについて、「まずは何をすればよいか」、「本格的に検討・推進する場合にはどこに相談したら良いか」といった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。
後継者が親族・社内にいないため、現在の経営方針を尊重した上で会社を承継してくれる第三者を探したい。一部の事業について、自社で運営するのではなく、第三者に運営を受け渡したい。有力な他社のグループに入り営業力や企画開発力などの強化を行い、事業を拡大したい。同業他社と経営統合を行い、管理部門などの重複機能の効率化を行うなど企業体力を増強したい。事業承継ファンドに会社を承継することについて検討したい。

(2)すでにM&Aアドバイザーがいらっしゃる方でも、「M&Aのセカンドオピニオン」を得たいが、どう進めていいか分からないといった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。

■遵守事項

  • 無料相談会でお預かりした内容は、秘密情報として取り扱い、御相談者様の方の事前の承諾なく第三者に開示することは致しません。
  • 御相談対象の企業様の具体的な承継先・受け渡し先となりうる企業様とお引き合わせをさせていただくことも可能ですが、その際も相談者の方のご希望や事前の承諾なく当該企業様に情報を開示することは致しません。

■お断り事項

  • Web会議の録画・録音は固くお断り申し上げます。
  • 代理の方のご出席はご遠慮ください。
  • M&Aアドバイザー等の同席はご遠慮ください。

2021年11月1日月曜日

M&Aバリュエーション基礎5 基本用語解説四回目 DCF法

引き続き、バリュエーションの基本用語の解説です。今回は、DCF法に関連する用語について解説します。

■DCF法

「Discounted Cash Flow」の頭文字をとったもので、未上場企業のバリュエーションの際に利用される最も一般的な方法のひとつです。企業の価値は、その企業が将来生み出すキャッシュフローの現在価値の合計であるという企業ファイナンスの基本的な考え方に則った方法です。

なお、表記ですが実務上は「DCF法」や「ディスカウント・キャッシュフロー法」などが使われます。英語表記をそのまま日本語読みした「ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法」が使われることもありますし、稀に「割引キャッシュフロー法」が使われることもあります。

対象会社の将来キャッシュフロー予測(事業計画等から計算します)や、算定の過程で利用する株式市場の係数(βやリスクプレミアム)などの多くの前提条件の下計算を行う方法であるため、計算結果の利用方法については慎重に検討する必要があります。理論としては綺麗なのですが、前提条件次第で計算結果が大きく異なってしまうからです。

また、専門家に依頼してDCF法でバリュエーションを行ってもらった場合、専門家ごとの癖のようなものがあり、βやリスクプレミアムは精緻に計算しているにも関わらず将来キャッシュフローの予測値は結構いい加減、ということもあります。依頼する側の企業オーナーや経営者は逆に将来キャッシュフローの予測の方に重きを置く傾向がありますので、齟齬が生じやすい場面でもあります。

算出の手順を簡単にまとめると、
  1. 対象会社の事業計画(損益計画や予想貸借対照表など)から将来キャッシュフローを計算します。事業計画はすでに策定されているものがそのまま使用されることはあまり多くはなく、経営の実態や、すでに決定されている将来の事項に関することなどを反映し修正されたものを使用します。
  2. 上記将来キャッシュフローと、上場している類似会社のβ(ベータ)及び日本の株式市場のリスクプレミアムの数値等を元に対象会社の将来キャッシュフローの現在価値の合計値(=事業価値)を算出します。
  3. 当該事業価値に投融資(事業に関係のない資産の時価)と現預金額を加算し、有利子負債を差し引くことで株主価値を計算します。
という流れとなります。詳細は計算式を含め後日解説します。

■実効税率

株式会社の実質的な法人税等の税率のことを意味します。地方税が含まれるため、都道府県ごとに異なる可能性があります。また、外形標準課税の対象となる企業かそれ以外か、などの条件により異なる可能性もあります。そのように各種前提で変動するので実務上は40%や35%などの簡素化した数値が採用されることもあります。ある程度正確に知りたい場合は、顧問税理士の先生にご確認ください。

■NOPAT

「税引き後営業利益」を指す「Net Operating Profit After Taxes」の頭文字をとったものです。定義が違い用語としてはNOPLATというものもありますが、この連載の前提の下では両者は同じ意味とお考えいただいて問題ありません。
NOPATは後述のフリーキャッシュフロー算定の前提となる指標です。
計算式は
  NOPAT=営業利益×(1-実効税率)
が一般的に利用されます。

■FCF

FCFはフリー・キャッシュ・フローの頭文字をとったものです。先述のNOPATに非資金費用である減価償却費及びのれん償却費をプラス、設備投資額をマイナス、運転資本増減を加算・減算して算出します。企業は自由に使えるお金、という意味の言葉であり、バリュエーションの世界では、企業の目的はこのFCFを稼ぐこと、増やすことを通じて株主価値を向上させること、となっています(あくまでも、バリュエーションの世界では、の話です)。
  FCF=NOPAT+減価償却費+のれん償却額-設備投資額±運転資本増減
運転資本増減はある期の運転資本と、その前の期の運転資本の金額を比較して算出します。運転資本は、「売上債権+棚卸資産-仕入債務」で計算します。運転資本が増加するということは手元資金(つまりはFCF)が減ることを意味し、運転資本が減少するということは手元資金(つまりはFCF)が増えることを意味します。

■割引率

現在の10,000円と、1年後の10,000円が等価ではないことを例に説明されます。低金利の世の中では例として少し実感しにくくなってしまいましたが、現在の10,000円は運用して増やすことができますので、例えば1%の利回りで運用した場合、1年後には10,100円となっています。ですので、ファイナンスの世界では現在の10,000円と等価なのは1年後の10,100円と考えます。逆に1年後の10,000円と等価なのは、10,000円を101%で割った約9,900円と考えます。この1%のことを割引率と呼びます。そして、9,900円のことを10,000円の割引現在価値と呼びます。

教科書的な定義は、「将来の価値を現在の価値で表すために用いる率のことを割引率と言い、その現在の価値のことを割引現在価値と言う」です。

DCF法ではほとんどの場合、「加重平均資本コスト(Weightted Average Cost of Capital)」が採用されます。株主資本の調達コストと負債の調達コストが、それぞれ株主や債権者から期待されている割引率であると考え、それを金額割合で調整した加重平均資本コストが企業全体の割引率である、と考えます。実務上はアルファベットの頭文字をとって「WACC」と表記し、「ワック」と読みます。

計算式は
  WACC₌D/(D+E)×rD×(1-T)+E/(D+E) × rE
が使われます。Dは有利子負債額、Eは株主資本額、Tは実効税率、rDは有利子負債の利子率、rEは株主資本コストを意味します。詳細は具体的計算過程の解説の際にご説明します。

■リスクプレミアム

リスクのある資産(典型的な例は株式です)に期待される収益率と、無リスク資産(日本では一般的には10年物国債です)の収益率の差を意味します。通常、投資家はリスクのある資産にはリスクのない資産よりも大きなリターンを期待しますので、リスクプレミアムは多くの場合、正の数値となります。減る可能性がある資産にはその分増える可能性があることを期待し、減る可能性が低い資産には増える可能性を求めない、ということです。

専門家でな限り、自分でリスクプレミアムを算出することは難しいため、各国のリスクプレミアムを測定し公表しているニューヨーク大学ダモダラン教授による調査結果を利用します。なお、同調査結果によると日本の株式投資のリスクプレミアムは「5.40%」ですので、投資家が日本で株式投資を行う際には、国債利回りに5.4%を加算した数字よりも大きなリターンを期待していると理解できます。

■β(ベータ)

株式市場の平均株価等が1%変化したときに、ある特定の業種の平均株価や、ある特定の企業の株価がどの程度変化するかを表す指標です。たとえば東証株価指数(TOPIX)が1%上昇したときに、ある特定の企業の株価が0.7%上昇した場合はその特定の企業のβは0.7である、と表します。

全ての上場企業にはβが存在するため、DCF法の計算過程で選んだ類似会社のβを利用するのですが、専門家でない限り自分で算出する必要はなく、金融系ニュースサイトや証券会社の投資情報ページから情報を入手して利用します。よく使われるのがReutersのWebサイトです。個別銘柄名で検索した後、「指標」のページを見ると「ベータ値」として掲載されています。

また、各国の業種ごとのβ値を測定し公表しているニューヨーク大学ダモダラン教授による調査結果を利用することもあります。


次回は、その他のバリュエーションの方法の基本用語について解説予定です。