NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2020年7月23日木曜日

事業計画の作り方7 起業前の方向け(6) 事業の重要指数

今回は「事業の重要指数」について説明していきます。

いつもどおり最初に事業計画の全体像と今回の内容の位置付けを確認しましょう。
起業時事業計画の項目(下線部分が今回の記事で説明する箇所です)
 1.ビジネスプラン
  (1)エグゼクティブ・サマリー
  (2)起業のきっかけや想い
  (3)営業循環図
  (4)顧客
  (5)営業
  (6)競合・代替品
  (7)組織・チーム、社外パートナー
  (8)事業の重要指数
 2.数値計画
  (1)売上高・原価
  (2)経費
  (3)運転資金
  (4)設備資金
  (5)資金調達
では早速内容に入りましょう。

(8)事業の重要指数


このブログでは重要指数は一般的に「KPI」と呼ばれるものとかなり近い意味で使用しています。一般にKPIは「企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標」と定義されますが、日本語化した「重要指数」はより分かりやすく単純に「売上利益の先行指数」とお考えください。このシリーズが想定しているスモールビジネスの場面では、経営=営業と言っていいほど、日々の営業現場で何を行うかが大切です(急成長を目指す企業や大企業でも当然大切ですが、経営に占める営業の重要性はスモールビジネスの方が高いことが多いです)。そして売上利益は何もせずにあがるものではなく、何かしらの事前の行動が必要です。その事前の行動の中で日々追いかける数字として設定するのが重要指数です。そのため「売上利益の先行指数」という表現をしています。定義の議論だけではイメージが湧きにくいので重要指数の例を見ていきましょう。


(A)売上を分解した数字

 最も基本となるものです。以前の記事「事業計画の作り方1 枠組み、全体像、基本的な考え方」のギャップ分析の説明の中で、分析には数字の分解が重要である旨の説明をしました。重要指数でも同様で、売上は「個数×単価」のように掛け算で計算されるものであり、その裏を返せば売上を分解した数字こそが売上をつくるための重要な数字、つまりは重要指数ということになります。
典型的なものとしては「販売個数、サービス提供回数、会員数、単価」などが挙げられます。


(B)売上を作り出す前提となる数字

 営業活動は当然ながら、toCであろうとtoBであろうと、直販であろうと代理店販売であろうとWeb販売であろうと、いきなりお客さんに買ってくださいというのではなく、いくつかの営業のステップを踏んでいきます。toCであれば、消費者に気づいてもらい、覚えてもらって、好きになってもらい、より深く知ってもらって、そして選んでもらう=買ってもらうといったステップを踏みます。toBであれば先方担当者に説明し、上席にプレゼンする機会をもらったり、稟議を社内であげてもらったり、決済者に最終プレゼンをしたりするステップを踏んで、購買の意思決定をしてもらうというステップを踏みます。Webでの販売であれば、広告を目にしてもらったり、自社サイトにアクセスしてもらったり、自社サイトのコンテンツを見て購買意欲を高めてもらったりするステップを踏むことになります。営業活動がそういったステップに分解できるということは、それぞれの回数などを目標値にしたり測定したりすることで、売上利益につながる活動を行っているかを知ることができるため、そういった数字も重要指数と言えます。お客様に最初に接するところから、購買・入金に至るまでの流れをステップとして可視化して、どのステップが重要かを考え、重要指数として設定しましょう。


(C)確率を示す数字

 上記(B)とも密接に関係するのですが、営業ステップごとの回数だけでなく、ある営業ステップから次の営業ステップに進む確率を重要指数として捉えることも大切です。たとえば、「接点を持った顧客の内、次回訪問や販売につながる率」が挙げられます。ある営業担当者はその率が高く、他の営業担当者はその率が低いということが生じている場合、そこには改善の余地があるかもしれませんし、そもそもリソースが限られているスモールビジネスの場合、ただ闇雲なだけの営業活動は実態にそぐいません。他には「上席プレゼンへ至る率」といったことも挙げられます。ただ先方の窓口担当者に頼るだけの場合と、先方担当者がその上席を説得する材料をこちら側で用意する場合とではその率も変わってくるでしょう。Web販売であれば「Webサイトへのアクセス数の内、購入につながる率」といったかたちで率を見ていくことが可能です。アクセス数が多いのに購入に至らないというのであれば、Webサイトの内容に何か要改善点があるのかもしれません。

また、営業ステップとは別の観点でも確率が重要となることがあります。分かりやすい例では会員ビジネスの場合の「会員の内、稼働している会員の率」が挙げられます。会員となってもらってもさらにそこから購入してもらわないことには売上があがらないモデルの場合は、如何に購入してもらう率=稼働率を高めるかが重要です。サブスクリプションモデルのように毎月一定の会費などが発生する場合でも、休会=会費が発生しない会員が増えてしまうといったことが生じるかもしれません。そこでも如何に休会から復帰してもらい休会率(稼働率の裏返し)を下げるかが重要となります。他には継続率や退会率なども重要指数と考えることができますね。


これらの重要指数は先行する同業他社が公開している場合などを除き、自分で事業をやりながら測定していくことが先に必要となることも多いですが、どういった指数を測定しておき、次年度から目標値として設定するかなどを予め考えておかないと長い時間を無駄にしてしまうこととなります。事業計画を策定する際に、大切な項目のひとつとしてぜひ重要指数も考えてみてください。

次回からは数値計画策定の方法に入っていきます。

2020年6月29日月曜日

事業計画の作り方5 起業前の方向け(4) 営業、競合・代替品

今回は「顧客」にどのように到達してどのようにモノやサービスを購入してもらうのかということを考える営業と、「顧客」から見た場合に他の選択肢となる競合・代替品について説明します。営業については本シリーズとは別に「スタートアップにとっての営業」という記事もアップしていますので、そちらも合わせてご覧ください。

いつもどおり最初に事業計画の全体像と今回の内容の位置付けを確認しましょう。
起業時事業計画の項目(下線部分が今回の記事で説明する箇所です)
 1.ビジネスプラン
  (1)エグゼクティブ・サマリー
  (2)起業のきっかけや想い
  (3)営業循環図
  (4)顧客
  (5)営業
  (6)競合・代替品
  (7)組織・チーム、社外パートナー
  (8)事業の重要指数
 2.数値計画
  (1)売上高・原価
  (2)経費
  (3)運転資金
  (4)設備資金
  (5)資金調達
では早速内容に入りましょう。

前回説明した「顧客との関係」との違いがやや分かりにくいですが、「顧客との関係」がサービスの提供場面、「営業」は文字通り販売の場面、と考えると区別が分かりやすくなります。

(5)営業


本シリーズで想定しているスモールビジネスの場合、販売の場面で顧客に到達するための方法としては、

  • 個人営業 or 法人営業
  • 直接販売 or 代理店販売 or Web販売
  • プッシュ(積極営業)型 or プル(店舗)型
  • 他力(提携先)活用、人脈活用

があり、提供するモノ・サービスに応じた選択と組み合わせが必要です。例えば、
「法人営業、直接販売型で、プッシュ型、人脈活用」という組み合わせであれば、リスト化した見込み顧客に他社・他者を介さずに自社側から積極的にアプローチする。見込み顧客リストは人脈を可視化したものを活用する。
といった具合です。最近では多くの広告宣伝費を投入し見込み顧客リストを作ったり、外回り営業ではなくインサイドセールスと呼ばれる営業のフローをWeb上で完結させようとする方法が一般的になってきたりなどのトレンドもありますが、多額の広告宣伝費を投じるビジネスモデルは本シリーズで想定しているスモールビジネスにはそぐいませんし、インサイドセールスは上記方法をより具体化したものであり、矛盾したりするものではありません。

自分の事業にとってどのような営業方法の組み合わせが適切かを考えた後、次には選択した方法ごとに、それを実現させるために必要な事項を考える必要があります。

・直接販売+プッシュ型
 この組み合わせの場合先程も触れたとおり、見込み顧客リストの作成方法を考える必要があります。法人営業であれば探せば自分がアプローチしたい属性の企業リストが見つかることもあります。個人の場合はきっと簡単ではありません。Webを活用したり、昔ながらのチラシ配布→無料体験→リスト化などの方法をとったりします。また、見込み顧客リストができても実際にアプローチを行う営業部隊の構築が必要です。目指す売上規模によっては最初は経営者のみで営業を行うこともありますが、いずれ営業専任者が必要となるでしょう。どういった経験を持った人物を採用するか、営業の成績をどう評価しどう報いるのか、営業担当者は日々どういった数字を追いかけ行動するのか、などを考える必要があります。

・代理店販売→代理店開拓方法、代理店稼働率向上方法
 代理店を活用する場合でも、そもそもどういった存在が代理店に相応しいか、そしてどうやって開拓するか、代理店契約締結後にどうやって代理店に動いてもらうかなどを考える必要があります。

・Web販売→広告の出し方 等
 Webでも同様です。販売サイトをただ開設しただけでは売上はあがりません。どのように販売サイトに来てもらうか、販売サイトを見るだけではなくいかに購入してもらうか、などを考える必要があります。Webの場合、他の販売方法よりも見込み顧客の動きを数字で捉えやすい面があるので、数字を見ながらの試行錯誤も重要です。

(6)競合・代替品


文字通り、自社の事業の競争相手になる存在や、自社の製品やサービスの代わりとなりうる他社の製品やサービスを意味します。

競合と代替品の区別は今はあまり深く考える必要はありません。後ほど説明するように自社の事業の位置付けをどう捉えるかによって変わってくる相対的な違いだからです。自社を鉄道事業と捉えている企業から見ると他の鉄道会社が競合で、航空会社や自動車は代替品に相当しますが、自社を鉄道会社ではなく顧客運送業と捉えると航空会社は代替品ではなく競合に相当するようになる、といった具合で相対的な違いしかありません。

競合・代替品について考えるとき、調べるときは以下の点が重要です。

  • 競合・代替品が存在しないという発想は捨てる。
  • 競合・代替品か否かは顧客の視点で考える(製品やサービスレベルではなく、提供価値のレベルで考える)。

記事「起業の覚悟、資金調達の責任(上)」の「情報収集は必死に行いましたか? その情報分析は適切ですか?」の項で競合分析の重要性について説明していますので、そこから以下引用します。
次の2点は絶対に忘れないで欲しいと思います。 
ひとつめは「競合企業は必ず存在する」ということ。ふたつめは「競合か否かは必ず顧客目線で考える」ということです。 
競合がいない、と言ってしまうのは傲慢であり、かつ情報の軽視といえます。冷静に考えれば、数十億人いる人類の中で、「自分と同じことを考えている人は他には存在しない」と考えることはおかしいと気がつくはずです。自分が唯一無二の天才である可能性と、自分と同等かそれ以上の頭の良さをもった人が世界の中に一人以上いる可能性、それを比べても分かるはずです。また、「自分と同じ技術を持つ人は他にはいない」というのも、事業として考えた場合は、誤った情報分析といえます。誤解を恐れず言えば、お客様から見た場合、自分のニーズが満たされるのであれば、それがどういった技術で実現されているかは、あまり関係がありません。だからこそ、競合分析をする際には、「同じ技術はないか?」ではなく「お客様のニーズを満たす他の方法はないか?」という視点で分析すると、より正解に近づけると言えます。
例えば、CDプレイヤーを販売する事業の場合、自社の事業や製品をCDを聴くためのデバイスと考えるか、音楽を楽しむための手段と考えるか、安らぎを得るための方法と考えるかで競合も代替品も変わってきます。

また、「営業」は顧客との関係の中だけではなく、競合企業の動きによっても変わってくる可能性がありますのでその観点でも競合や代替品の分析は重要です。

今回は以上です。
次回は「組織・チーム、社外パートナー」の説明から開始します。

2020年6月2日火曜日

事業計画の作り方4 起業前の方向け(3) 顧客

今回はビジネスプランで最も大切な項目である「顧客」について、(A)顧客は誰か、(B)顧客のニーズ、(C)顧客へ提供する価値、(D)顧客との関係、に分けて説明します。

いつもどおり最初に事業計画の全体像と今回の内容の位置付けを確認しましょう。
起業時事業計画の項目(下線部分が今回の記事で説明する箇所です)
 1.ビジネスプラン
  (1)エグゼクティブ・サマリー
  (2)起業のきっかけや想い
  (3)営業循環図
  (4)顧客
  (5)営業
  (6)競合・代替品
  (7)組織・チーム、社外パートナー
  (8)事業の重要指数
 2.数値計画
  (1)売上高・原価
  (2)経費
  (3)運転資金
  (4)設備資金
  (5)資金調達
では早速内容に入りましょう。

(4)顧客


(A)顧客は誰か

顧客がいなくては、あらゆる事業は成り立ちません。
また、顧客の数が多い方がビジネスは行いやすいようにも思えますが、実際には顧客が多岐にわたるほど共通するニーズを見出すことは困難です。若者と高齢者が共通して必要とするモノを見出すよりも、若者だけが必要とするモノを見出す方が簡単であることを考えるとよく分かります。逆に若者にも高齢者にも求められることを目指した製品やサービスは若者にも高齢者にも必要とされない結果となりかねません。

よって、共通のニーズを持つ消費者などをグループ化し、どのグループを自社の顧客層としたいのかを絞り込むことが求められます。

そのことを整理するフレームワークとして、少なくともポジショニングマップを作れるようになりましょう。

ポジショニングマップとは、自社の製品やサービスの差別化や競争優位性を考えるためのフレームワークのひとつで、自社のポジショニングを考える際に使う、言い換えると、どういうニーズを持った消費者グループが自社の製品やサービスを選び、自社の顧客層になるのかということを他社製品やサービスと比べながら考える際に使用します。

Google画像検索でポジショニングマップを検索してみてください。いろいろな事例が出てきます。ポジショニングマップは縦軸と横軸の二軸を考える必要があるのですが、これを一から考えるのは大変なため、まず最初は同じ業界のポジショニングマップをいくつか探し出し参考にしながら考えてみてください。

注意点としては、縦軸と横軸はお互い連動しないようなものを考えましょう。たとえば「高級感」と「価格帯」は連動することが多く、連動してしまう場合は軸が2つではなく1つしかないことになり、それらを同時に評価軸として採用するのは不適切ということになります。


(B)顧客のニーズ

一番勘違いが多い項目です。特に、起業家自身がその業界経験が長いので顧客のことを分かっているつもり、起業家自身が顧客層と同じ属性なので顧客のことを分かっているつもり、などといった例が多く見られます。

実際に、少しでも多くの「想定顧客層」の方にヒアリングを行いましょう。特にBtoCのビジネスの場合、個人である想定顧客へのヒアリングは必須です。その際に注意すべきは、「こんな製品・サービスがあったら良いと思うか否か」ではなく、「実際にお金を出して買うか否か」のレベルまで把握することです。顧客のニーズを、「大変困っている問題(切実な問題)」、「困っている問題」、「それ以外」に分けて、重要度・緊急度を考えると参考になります。顧客が実際にお金を出して買うのは「大変困っている問題(切実な問題)」を解決してくれる製品やサービスだけであり、単に「困っている問題」レベルだとお金を出して買ってくれるとは限りません。

顧客が法人や団体の場合、同様に切実なニーズがあるか否かを把握することに加え、「顧客がそのモノ・サービスを購入できない理由」も把握するようにしましょう。「あなたのサービスは素晴らしいけど、すでに●●社のサービスを利用していて、変更するのに手間がかかるので、今回は見送ります。」といったなどです。ここでは「変更を簡単に」というのも顧客のニーズと言えます。

想定顧客へのヒアリングを行う際は、以下の点に留意・注意しましょう。
  • 自分の考えている製品・サービスのイメージが具体的に湧く、いわゆるプロトタイプ(Minimum Viable Product)を作成し、それを見せながら行いましょう。モノなら紙や粘土で作成、Webサービスならユーザーインターフェイス画面を紙に書く、など。
  • 顧客からの「それ、いいね」で満足することなく、「それ、本当に困っている」、「本当に欲しい」、「いますぐ欲しい」というレベルになって初めて顧客のニーズと呼べることを理解しておきましょう。
顧客へのヒアリングは以下のようなメリットがあります。
  • 顧客の本当のニーズに近づくことができます。
  • 自分の考えているモノやサービスの誤り、もっと根本的にはビジネスプランの誤りに事前に気が付くことができ、変更を行うこと(ピボット)ができます。


(C)顧客へ提供する価値

価値提案(バリュー・プロポジション)と呼ばれています。考える際には、以下の2点を自分に問いかけてみましょう。

問:あなたの製品やサービスは顧客にどんな価値を提供するのでしょうか?
 キーワードは「新規性、意外性、性能、カスタマイズ、仕事を肩代わりする、デザイン、ブランド、価格、コスト削減、リスクの低減、利用のしやすさ、購入のしやすさ、快適さ、満足感」などです(参考文献:ビジネスモデル・ジェネレーション)。

問:自社は何者なのか?という自社の定義(自社の事業の定義)は明確ですか?
 たとえば自社の事業がレンガで教会を建てることである場合、自社は何者と言えますか?レンガを積む事業者でしょうか?、教会を建てる事業者でしょうか?、地域に安らぎの場を用意する事業者でしょうか?


(D)顧客との関係

顧客とのコミュニケーションをどのようにとるか、を考えます。後述する「チャネル」が販売の場面に近いのに比べ、「顧客との関係」はサービスの提供場面に近いものです。この項目についてはイメージを持っている方が多いと思いますが、それをより明確化しておきましょう。

(例)参考文献:ビジネスモデル・ジェネレーション)
  • 顧客と担当者の個別かつ直接のやりとりでの関係
  • 専任担当者による関係
  • セルフサービス(直接のやりとりが生じない)
  • 自動サービス(セルフサービスの進化系)
  • SNSなどのコミュニティ内でのやりとり(顧客同士のやりとりも含む)
  • 共創(顧客にも価値創造に加わってもらう)

さて、ここまで来ると「顧客」についてより明確になってきたのではないでしょうか。

次回は「営業」の説明から行います。


以下、より学んでみたい方向けの書籍(ご参考まで)

2019年12月27日金曜日

NGCパートナーズのコンサルティング事業について


NGCパートナーズは、経営・財務コンサルティング事業を行っており、当ブログでも随時紹介させていただいています。
個別の記事では、
などに記載していますし、ラベルの「NGCパートナーズ」にまとめています。

ただ、ブログだと過去記事はどんどん埋もれてしまって分かりにくくなってしまったり、そもそものアクセス数がまだ少なかったりするので、ビザスクにもう少しわかりやすくまとめています。ビザスクでは、同サイトの登録フォームに従うかたちで、より具体的な内容になっていますので、お目通しいただければ幸いです。
本日時点では主に、
  1. これから株式上場を目指す企業の財務戦略、資本政策についてお話ができます
  2. アーリー・ミドルステージ前後のスタートアップの株式上場準備実務を実施できます
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ビザスク経由でもお問い合わせをいただいていますが、やりとりもスムーズにできる仕組みがあり、大変便利です。
もちろん、直接のご連絡も承っています。

2019年10月8日火曜日

スタートアップにとっての営業

今回はスタートアップ企業にとっての営業について考えていきたいと思います。

なお本記事は、数年前に別サイトに投稿させていただいたり、私が起業家養成講座などでお話しをさせていただいたりしたものを今回当ブログ用に書き直したものです。

スタートアップの経営の中での悩みはいろいろありますが、その中でも一番の悩みとして挙がることが多いのが売上が伸びない、ということではないでしょうか。

戦略がなく敗れ去った国家や軍隊の話は歴史でもよく登場しますが、スタートアップの売上が伸び悩むのは、実はそれとは逆で戦略しかないことが原因であることが少なくないと考えています。私はそれを「戦略あって兵隊なし」と表現しています。本当は「戦略あって実行なし」や「戦術なし」でも構わないのですが、分かりやすい言葉として「兵隊なし」としています。

今回は兵隊=実行策、その中でも最も重要なひとつである営業の必要性や基本的な考え方について触れてみたいと思います。

スタートアップ経営者にありがちな勘違い
  • 当社の製品は圧倒的な技術が元になっており、競争力がある(ので売れるはず)。
  • ターゲット顧客にヒアリングした結果、極めて評判が良かった(ので売れるはず)。
  • 総合商社が販売代理店になってくれた(ので売れるはず)。
  • 全国に代理店網を構築した(ので売れるはず)。
  • マーケティングは完璧である(ので売れるはず)。
  • 当社の製品は競合他社の製品よりはるかに安い(ので売れるはず)。

他にも自社商品やサービスが売れるはずであるという理由をたくさん聞くことがありますが、これらは実は「営業」を知らないスタートアップ経営者にありがちな勘違いです。

もちろんこれらは製品やサービスが売れるためには必要なことではあります。ただ、それだけでは足りません。そこには「営業」の機能が足りないもしくは存在していません。良い製品やサービスであれば顧客の方から探し出してくれるかのような勘違いも耳にすることが多いですが、ほとんどの場合、営業活動を行わなければ顧客に知ってもらうことができず、結果として売上は伸びません。

スタートアップでの営業の位置付け

まずは、多くのスタートアップでの営業の位置付けについて見てみましょう。実は営業を軽視するスタートアップ経営者は多いのです。それらの経営者は、プログラマー、コンサル、技術者やマーケターなど様々な背景を持っていますが、意外に少ないのが営業出身者。そのため、たとえ営業部門が社内にあってもその役割は重視されていないことも多くあります。しかし、すでに商品やサービスが販売できる状態であるならば、営業を重視した社内体制を構築すべきです。

マーケティングの究極の目的は、モノやサービスが「売れる」状態を作り出すことですが、それを実現できている企業は決して多くはありません。それにモノやサービスは常に顧客の声を聞いて改良していく必要があります。今では顧客開発モデルなどの優れた手法もありますが、実際の販売開始以降は、顧客の声は営業部門に一番多く集まります。どんなビジネスでも「顧客」がスタートラインなのです。そこに一番近い場所にいる営業部門を重視しないことはありえません。

早速今から営業部門の位置付けについて考えてみて欲しいと思います。

まずは「直販」からはじめる

営業や営業部門の重要性を理解している場合、まずは「直販」と呼ばれる営業方法から開始することが望ましいと考えられます。これは「現場主義」の営業場面での体現といえます。

直販を行うことは営業担当者がいなくても実施可能です。営業は重要なものなのだから経営者自身が行うべきなのです。

そこで知るべきは本当の顧客のニーズだけではなく、どうやったら顧客の感動を得られるか、どのような流れや方法で顧客の感動を得たか、です。実は直販を最初に行うべき理由はここにあります。

営業経験のない経営者が、自社の商品やサービスの販売を開始する際、いきなり代理店網を構築しようとすることがあります。はっきり言ってしまうとそれは成功する可能性が極めて低いです。営業代理店は一度契約すれば後は黙って商品やサービスを販売してくれる存在ではありません。代理店となる企業はほとんどの場合、あなたの会社以外とも代理店契約を結んでいるのです。そして、取り扱う商品やサービスは多岐にわたります。そういった中、代理店自身の利益を考えた場合、代理店は当然ながら、売りやすいもの、利益率が高いものを優先して販売していきます。あなたは代理店に対し、自社の商品やサービスの販売を強化してもらえるよう働きかけるでしょう。そのときに重要になるのが、あなたの会社が直販で培ったノウハウなのです。代理店に対しそのノウハウを提供していくことで、あなたの会社の商品やサービスは、代理店にとって売りやすいものとなっていきます。こういった取り組みがあって初めて代理店網が活きてくるのです。

代理店の活用は掛け算に似ています。あなたの会社の営業力がゼロであれば、どんなに立派な代理店網を構築しても、掛け算した結果は変わらずゼロになるにすぎません。必ず、まずは直販からはじめましょう!

営業は仕組みづくり

営業活動を強化する際にありがちな間違いが、いわゆる「スーパー営業マン」を採用したり育てたりしようとすることです。営業の世界にはそういった人達が少なくないし、そういった人達は尊敬すべき対象です。ですが、そういった人達の営業ノウハウはその人達にしかできないことが多く、営業活動はブラックボックスになりやすいと言われることもあります。そのため、会社を継続的に成長させるためには、属人的な営業ではなく、組織的な営業を行う体制が望ましいといえます。組織的な営業活動を行うために最低限必要となるのがたとえば次の機能です。
  • 営業のステップ化とKPI目標設定
  • KPI管理や営業力強化目的とした営業会議
  • インセンティブ制度
  • 営業力強化の取り組み(教育)
KPIはいろいろ定義や使われ方がありますが、ここでは「先行指数」として捉えたいと思います。売上や利益を営業の管理指標にしているスタートアップが少なくありませんが、売上利益は結果であって、それを管理しても営業の観点では意義に乏しいと言えます(もちろん経営の観点では重要です)。売上利益をあげるための営業活動をステップ化し、それぞれのステップに目標となるKPIを設定しましょう。分かりやすい例としては訪問数やキーパーソンへの提案数などです。そういったことを先行指数として管理していくことが営業の結果につながっていきます。

また、インセンティブ制度も重要です。営業結果を出した担当者には何かしらのかたちできちんと報いる制度を作ることが営業力強化にもつながります。

スタートアップでの取締役会、経営会議そして営業会議でも、戦略に関する事項に議論が集中する場面を多々見てきました。しかし、結果を出していくスタートアップは必ず兵隊=実行策についてもしっかりと議論し仕組みを作っています。そして実行策の代表格のひとつが「営業」です。私は営業なくして成長なし、と考えています。