NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2019年9月24日火曜日

直感的判断と合理的判断

今回は孫子です。
「勢とは利に因りて権を制するなり。」(「孫子」計篇)
意訳すると、
勢いとは合理的な決断のもと、機会を活かすことによって得られる。
意味としては、臨機応変に近いと考えられます。
今回の孫子の箇所は、意味自体の理解はできてもその実践はかなり難しい部類に入るかと考えられます。

今回は前半部分の「合理的な判断」について考えてみたいと思います。
ほとんどの経営者は自分自身では合理的な判断を積み上げているつもりです。コンサルや専門家の中には論理的思考をすれば正しい結論を導き出すことができると考えている方もいます。しかし、実際の経営の中では論理的思考や合理的判断だけでは適切な結論を導き出すことができない場面も多くあります。確率論的な考え方を導入すれば、一応は各選択肢の期待値を計算できるかもしれませんが、それ自体の正しさを証明することは簡単ではありませんし、そもそも日々忙しい経営者が選択に迫られる度に確率論的な考え方をすることは現実的ではありません。

論理的思考だけに頼るわけにはいかない判断に迫られた場合、経営者は直感、いわゆるアニマルスピリットも大切にして欲しいと思います。理屈を積み上げていって結論を出す作業はコンサルや専門家に任せることもできるかもしれませんが、先に結論を出して、それが論理的に他人を説得することができるものかどうか、という流れで決断をすることは経営者にしかできません。

論理的思考を否定するかのような内容になってしまいましたが、決してそうではありません。論理的思考はビジネスパーソンの代表的な基礎力のひとつと言えることは間違いありません。考え方の枠組みを自分の中に複数持っていると、とっさの判断ができますし、場面によって判断がブレにくいといった、大きな強みとなります。論理的思考を無視するのではなく、それを身に付けた上で、でも論理的思考では解決できない場面に遭遇したら?というのが今回の文章の趣旨ですので誤解なきようお願いします。

なお、私は論理的思考を身につけるための方法として現代文と法律の勉強をすることをオススメします。法律は暗記科目と誤解されることも多いのですが、それだけではなく法的思考を身につけるものでもあります。ぜひ一度お試しください。

参照書籍:

2019年9月22日日曜日

経営の八大要素

今回も孫子です。前回の「正攻法と奇策の組み合わせ」と関係が深い箇所です。
凡そ衆を治むること寡を治むるが如くなるは、分数是れなり。衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如くなるは、形名是れなり。三軍の衆、必らず敵に受えて敗なからしむべき者は、奇正是れなり。兵の加うるところ、砥石を以て卵に投ずるが如くなる者は、虚実是れなり。(「孫子」勢篇)
企業経営に活かしやすいように意訳すると以下のとおりです。
大きな組織を小さな組織のように統率することが出来るのは、「組織の制度」と「組織の編成・編制」である。
大きな組織を小さな組織のように動かすことが出来るのは、「指揮命令系統」と「信賞必罰」である。
自社を競合に負けないようにすることが出来るのは、「正攻法」と「奇策」である。
石で卵を砕くように競合を打ち破ることが出来るのは、「事業領域の集中」と「競合の経営資源の分散」である。
孫子がここで示した項目は「兵法の八大要素」と言われているらしいですが、企業経営にも通じます。組織に関すること、人事に関すること、正攻法と奇策の組み合わせを活用すること、選択と集中に関すること、です。

現代でも企業経営の重要な論点となっていることが、2500年前にきちんと指摘されていることの驚かされます。

ところ、「編制」と「編成」という言葉の意味の違いを今回改めて調べてみたのですが、面白いですね。「編制」というのは、組織として機能が一定程度充足している状態を元に、その時々の組織目標に合わせて組織を組み替えることと理解しました。「編成」というのは組織だっていない個々に別れたままの機能を組み合わせ組織体にすることと理解しました。企業経営上はどちらも必要なことですね。

参照書籍:

2019年9月21日土曜日

正攻法と奇策の組み合わせ

今回は孫子です。本ブログでは孫子の中で企業経営に活かせる箇所、そう私が理解した箇所だけを触れていきます。順番も孫子の記載順とは関係ないことも多いので、その点もご了承ください。主な参照書籍は毎回、文末に記載するようにします。

さて、今回は以下の箇所です。
凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に善く奇を出だす者は、窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河の如し。終わりて復た始まるは、四時是れこれなり。死して更生ずるは日月これなり。声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴くべからず。色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観るべからず。味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗むべからず。戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮むべからず。奇正の相生ずることは、循環の端なきが如し。孰れか能くこれを窮めんや。 (「孫子」勢篇)
孫子の中で最も好きなくだりのひとつです。意訳すると、以下のとおりです。
戦いの基本は、正攻法を押さえた上で、奇策を運用することで勝つことである。奇策を効果的に運用できる者の活動は天地の動きのように終わりがなく、大河の流れのように尽きることがない。正攻法と奇策の組み合わせは無限にある。終わってまた始まるのは太陽と月の動きのようであり、四季のようでもある。音、色や味は5種類ずつしかないが、その組み合わせは無限にある。戦いは奇策と正攻法しかないが、その組み合わせは無限にある。奇策と正攻法は循環の終わりがないように互いがお互いを生み出していく。これを極めることなどできない。
企業経営上も正攻法と奇策の組み合わせ、が重要です。定石は大切ですが、それだけでは他社には勝てません。奇策も大切ですが、それを支える組織の仕組みをつくらないと効果の測定も奇策の継続できません。
(追記:正攻法と奇策という言葉をどういう意味と捉えるかは訳者によって異なるようです。正攻法と、字面どおりの正攻法と捉える方もいらっしゃれば、相手と同じ戦い方と捉える方もいらっしゃるようです。奇策も字面どおりの意味以外では、状況に応じた対応とか、奇襲といった意味で捉える方もいらっしゃるようです。)

私は以前は、孫子の今回の箇所の前半しかよく意味を理解しておらず、正攻法と奇策のどちらが大切か、と考えてしまっていたのですが、少しだけ理解が進み、その組み合わせの大切さが書かれている箇所だと理解できるようになりました。

企業経営の中でも、今やろうとしていることが正攻法なのか奇策なのか、どちらか一方だけになっていないか、を確認して抜け落ちがないようにすることが第一歩かと思います。そして日々の経営の中で、取りうる正攻法と、運用しうる奇策の数を増やしつつ、柔軟に両者を組み合わせていけるようになれることが重要です。

参照書籍:

孫子について

以前私が書いていたブログでは、様々な古典を現代のビジネスに当てはめて解釈するようなこともやっていました。今読み返して見ると恥ずかしくなるような内容も含まれるのですが、結構な量を書き溜めていましたので、それから10年経った今の私の感性で書き直したものを改訂版として順次アップしていきたいと思います。

まずは孫子から行きたいと思います。

孫子とは何か、少しだけWikipediaから引用すると
『孫子』(そんし)は、紀元前500年ごろの中国春秋時代の軍事思想家孫武の作とされる兵法書。武経七書の一つ。古今東西の兵法書のうち最も著名なものの一つである。紀元前5世紀中頃から紀元前4世紀中頃あたりに成立したと推定されている。(引用元:Wikipedia)
といった著名な古典であり、2500年の間、武将や軍人といった軍事の専門家だけではなく、政治家や企業経営者にも読みつがれてきたものです。現在、我々が読むことができる孫子は三国志で有名な曹操が注釈をつけたものだと言われています。確かに軍事に関する古典なのですが、いわゆる間接アプローチと呼ばれる「戦わずして勝つ」ためにどうするかということが考えられているので、企業経営者でも座右の銘としている方が多いのも納得がいきます。

今後、少しずつアップしていきます。

参照書籍: