凡そ衆を治むること寡を治むるが如くなるは、分数是れなり。衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如くなるは、形名是れなり。三軍の衆、必らず敵に受えて敗なからしむべき者は、奇正是れなり。兵の加うるところ、砥石を以て卵に投ずるが如くなる者は、虚実是れなり。(「孫子」勢篇)企業経営に活かしやすいように意訳すると以下のとおりです。
大きな組織を小さな組織のように統率することが出来るのは、「組織の制度」と「組織の編成・編制」である。孫子がここで示した項目は「兵法の八大要素」と言われているらしいですが、企業経営にも通じます。組織に関すること、人事に関すること、正攻法と奇策の組み合わせを活用すること、選択と集中に関すること、です。
大きな組織を小さな組織のように動かすことが出来るのは、「指揮命令系統」と「信賞必罰」である。
自社を競合に負けないようにすることが出来るのは、「正攻法」と「奇策」である。
石で卵を砕くように競合を打ち破ることが出来るのは、「事業領域の集中」と「競合の経営資源の分散」である。
現代でも企業経営の重要な論点となっていることが、2500年前にきちんと指摘されていることの驚かされます。
ところ、「編制」と「編成」という言葉の意味の違いを今回改めて調べてみたのですが、面白いですね。「編制」というのは、組織として機能が一定程度充足している状態を元に、その時々の組織目標に合わせて組織を組み替えることと理解しました。「編成」というのは組織だっていない個々に別れたままの機能を組み合わせ組織体にすることと理解しました。企業経営上はどちらも必要なことですね。
参照書籍: