NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2019年9月21日土曜日

正攻法と奇策の組み合わせ

今回は孫子です。本ブログでは孫子の中で企業経営に活かせる箇所、そう私が理解した箇所だけを触れていきます。順番も孫子の記載順とは関係ないことも多いので、その点もご了承ください。主な参照書籍は毎回、文末に記載するようにします。

さて、今回は以下の箇所です。
凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に善く奇を出だす者は、窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河の如し。終わりて復た始まるは、四時是れこれなり。死して更生ずるは日月これなり。声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴くべからず。色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観るべからず。味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗むべからず。戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮むべからず。奇正の相生ずることは、循環の端なきが如し。孰れか能くこれを窮めんや。 (「孫子」勢篇)
孫子の中で最も好きなくだりのひとつです。意訳すると、以下のとおりです。
戦いの基本は、正攻法を押さえた上で、奇策を運用することで勝つことである。奇策を効果的に運用できる者の活動は天地の動きのように終わりがなく、大河の流れのように尽きることがない。正攻法と奇策の組み合わせは無限にある。終わってまた始まるのは太陽と月の動きのようであり、四季のようでもある。音、色や味は5種類ずつしかないが、その組み合わせは無限にある。戦いは奇策と正攻法しかないが、その組み合わせは無限にある。奇策と正攻法は循環の終わりがないように互いがお互いを生み出していく。これを極めることなどできない。
企業経営上も正攻法と奇策の組み合わせ、が重要です。定石は大切ですが、それだけでは他社には勝てません。奇策も大切ですが、それを支える組織の仕組みをつくらないと効果の測定も奇策の継続できません。
(追記:正攻法と奇策という言葉をどういう意味と捉えるかは訳者によって異なるようです。正攻法と、字面どおりの正攻法と捉える方もいらっしゃれば、相手と同じ戦い方と捉える方もいらっしゃるようです。奇策も字面どおりの意味以外では、状況に応じた対応とか、奇襲といった意味で捉える方もいらっしゃるようです。)

私は以前は、孫子の今回の箇所の前半しかよく意味を理解しておらず、正攻法と奇策のどちらが大切か、と考えてしまっていたのですが、少しだけ理解が進み、その組み合わせの大切さが書かれている箇所だと理解できるようになりました。

企業経営の中でも、今やろうとしていることが正攻法なのか奇策なのか、どちらか一方だけになっていないか、を確認して抜け落ちがないようにすることが第一歩かと思います。そして日々の経営の中で、取りうる正攻法と、運用しうる奇策の数を増やしつつ、柔軟に両者を組み合わせていけるようになれることが重要です。

参照書籍: