NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2021年11月27日土曜日

【比較】ハンズオンとコンサルティング Ver.2021

(注)この記事は、以前の記事の内容を一部更新・修正したものです。 

一般に、ベンチャーキャピタル(以下、VC)が投資先企業に行う経営支援は「ハンズオン」と呼ばれています。一方で、経営支援を業として行っている存在の代表格と言えば経営コンサルタントとのイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。今回の記事では、ハンズオンとコンサルティングを比較することで、両者への理解を深めていきたいと思います。

内容に入る前に、以下5点について予めご了承ください。

  1. まず、今回の記事はあくまでも「私が考えるハンズオンとコンサルティング」にすぎません。両方の言葉とも、通説と言われるような定義が定まってはいません。全く違うお考えをお持ちVC関係者や経営コンサルタントの方もいらっしゃると思いますし、そもそもVCも経営コンサルタントも多様です。それを強引に比較している記事であるとご理解いただければ幸いです。
  2. 私個人としては、「和魂洋才」のように、ハンズオンのスタンスとコンサルティングのノウハウをうまく融合したいと考えていますので、今回の記事もそういった考えに基づくバイアスがあるかもしれません。なお、NGCパートナーズの事業内容については「経営・財務コンサルティング」と記載していますが、これは投資ありきではないこと、言葉の分かりやすさを優先させたことが理由です。また、「協働型」を謳っているのもハンズオンのスタンスをコンサルティング活動に反映させたいという想いや実践の表れです。
  3. プライベート・エクイティファンド(以下、PEファンド)も経営支援活動を行っており、それもハンズオンと呼ぶ場合もありますが、VCや経営コンサルタントと異なりPEファンドはその仕組み上、持ち株比率(シェア)が高い株主として、実質的に経営の最終意思決定権限を持つことも多いので、その権限を前提としていないハンズオンやコンサルティングとは同列に論じることができないと私は考えます。よって、今回の記事での「ハンズオン」という用語はPEファンドのそれではなくVCが行う経営支援のことを意味するものとします。
  4. 本文中で「支援先企業」という言葉を使用していますが、これはVCにとっては投資先企業、経営コンサルにとってはコンサル先企業を意味します。なお、経営コンサルがコンサル先企業に資金を投じる(出資する)事例や、VCが投資先企業ではない企業に対しコンサルを行う事例などは説明の都合上、今回の記事の対象外です。
  5. VC業界とコンサル業界との間での人の流動性が高まっていますので、お互いがそれぞれの優れたところを取り入れていく流れも強まるのではないかと思います。そのため、ハンズオンとコンサルティングを分ける意味も薄れていくかもしれません。
さて、それではハンズオンとコンサルティングを比較していきましょう。

(1)立ち位置

・ハンズオン
 VCと支援先企業とは原則として株主と発行体の関係であり、また、支援先企業の株主価値が向上することがVCの収益の源泉であるため、「運命共同体(On the same boat)」と呼ばれます。そのため、VCの投資担当者は、支援先企業もしくは経営者とできるだけ近い立ち位置に自分たちを位置づけようとします。どこまで踏み込むかはVCごと投資担当者ごとのスタンスに依るのですが、運命共同体であるという考えが出発点となっているのは多くのVCに共通していると考えられます。但し、運命共同体であっても常に目指すべき方向が常に一致しているとは限りませんし、方向が一致していても時間軸などが一致しないこともありえます。また、投資と出口(EXIT)の場面では利害の調整・交渉が必要となることもあります。

・経営コンサル
 経営コンサルタントはあくまでも支援先企業からの業務委託を受けた立場であり、「同じ船に乗っている」わけではありません。ただし、あくまでも形式上の話であり、経営コンサルタントの中には、支援先企業の経営者に寄り添える工夫をされている方も多くいます。

(2)経営支援の基本的スタンス

・ハンズオン
 VCは支援先企業もしくはその経営者と共に考え行動します。一部の分野については「教える」というかたちも取ります。前例や参考事例がないことが多いスタートアップの世界で求められるスタンスとも言える一方、別に述べるとおりVCは経営支援の専門性が高くないことが多いためにそういった方法を取らざるを得ないという側面もあります。

・経営コンサル
 支援先の経営者や担当者に「教える」というのが基本的方法です。また、多くの場合、特定の専門分野(戦略、人事、財務、会計、営業、業務、システム等々)での支援が中心となります。高い専門性を持っているが故に教えるという方法になりがちであり、また高い専門性を維持するためには分野も限定せざるを得ないということでもあります。

(3)経営支援のチーム

・ハンズオン
 VCの担当者は多くの場合、属人的に活動しており、支援先企業への経営支援も属人的な活動に留まることが少なくありません。シニアメンバーと若手の組み合わせで活動している場合でも、属人的なことには変わりありません。ただし最近では、プロジェクト単位で専門性の高いメンバーを支援活動に参加させる例も増えています。また、第三者(VCでも支援先企業でもない、専門性を保有した別の事業体)の力を借りることには積極的ですし、その第三者の中には専門性の高い経営コンサルが含まれることも少なくありません。

・経営コンサル
 大手・中堅レベルのコンサルファームではチームを組織して、支援活動に必要な専門分野をカバーできるようにしています。中小・個人レベルではチームが組成されることは多くはないようです。

(4)経営支援の範囲

・ハンズオン
 経営全般が対象です。資金を投じている株主であるため、経営のあらゆる面について関心があるからです。VCは支援先企業の株主価値向上が儲けの源泉であり、支援先企業のあらゆる事象が株主価値に影響を与える以上、経営支援の範囲も経営全般とならざるを得ません。ハンズオンを標榜するVCの投資担当者がしばしば支援先企業の取締役などに就任することを考えると分かりやすいかもしれません。但しこのことは、全ての支援先企業の経営全般に常に関わることを意味するわけではありませんし、経営全般について専門性を持っていることを意味するわけでもありません。

・経営コンサル
 あくまでも経営の一部分(戦略、人事、財務、会計、営業、業務、システム等々)のみがその対象です。高い専門性を維持するためには分野も限定せざるを得ないということでもありますし、そもそも支援先企業からの依頼が特定の課題解決であることが多いということでもあります。但し経営コンサルタントが支援先企業の取締役などに就任することもありますが、その際は経営全般に対する助言を行うこともあるでしょう。

(5)視点

この点に関しては、他の項目と比べてもかなりバイアスがかかった見方になってしまっているかもしれません。

・ハンズオン
 「ありたい姿」「あるべき姿」にいかに近づけていくか、ということ軸とし、個別の戦略や戦術について助言するというよりは、仮説検証が適切に行われるようマネジメントサイクルの構築や運用支援を重視することが多いようです。確立されたノウハウがあるわけではないものの将来性のある産業や事業に投資し経営支援を行うのがVCの存在意義ですから、そうならざるをえないとも言えます。

・経営コンサル
 「システム」や「フレームワーク」ありきなことが少なくありません。経営コンサル会社自身が開発したシステムやフレームワークを持っていることもあり、それを売り込む狙いがあったりと、支援のための手段にすぎないはずのそれらがいつの間にか目的化してしまっているのを見ることもあります。また最近は論理的であるだけではいけないということで変わりつつあるようですが、「論理的に正しいかどうか」を重視する傾向があります。

(6)専門性

・ハンズオン
 高くはありません。ハンズオンの能力を高めるために組織的研修や訓練を行っているVCは日本では極めて限られていますし、ハンズオンの内容の妥当性や効果を組織的に検証する仕組みがあるVCも日本ではほとんど聞いたことがありません。そのため、良い意味でも悪い意味でもハンズオンの専門性は投資担当者次第になってしまっています。そもそも、VCの投資担当者は、自身を「ベンチャー投資家」などと定義している方や、投資に重きを置くのかハンズオンに重きを置くのか、といったスタンスが曖昧な方も少なくありません。ですので、経営支援に関する勉強量は多いとは言えない事例も見受けられます。

・経営コンサル
 少なくともVCよりは圧倒的に高いことが多いです。組織的研修や訓練も充実していますし、経営支援に関する勉強量も圧倒的です。

(7)結果責任

・ハンズオン
 経営支援の結果が、支援先企業の企業価値や株主価値を通じて、VCの損益に影響します。そういった意味で経営支援の結果責任を支援先企業と共有していると言えます。投資担当者自身がファンドに出資している場合は猶更です。

・経営コンサル
 法律関係上、結果責任の共有はVCほど明確ではありません。あくまでも業務委託契約の関係であり経営支援の結果責任を経営コンサルは負いません。もちろん、経営支援の結果が出ないと業務委託契約を更新してもらえない、評判悪化により新規契約が獲得できないなどの影響はありえます。

(8)ビジネスモデル上の位置づけ

・ハンズオン
 VCは「経営支援を(も)行う投資家」ですので、株式などに投資を行い、それが投資時より高い価額で売却することによる差額つまりはキャピタルゲインが儲けの源泉です。経営支援はキャピタルゲインを大きくしたり、確度を高めたりするための手段のひとつです。

・経営コンサル
 経営コンサルは支援先企業からの業務委託報酬などが儲けの源泉ですので、経営コンサルは目的そのものと言えます。但し、システムやソフトウェアを購入してもらうことが儲けの源泉である場合は経営コンサルはただの手段なのかもしれません。

(9)ノウハウの開示

・ハンズオン
 支援先企業に対してという意味合いでは、VCは経営支援のノウハウを隠す必要がありませんし、ノウハウを開示しなかった結果として株主価値向上が達成できなければ意味がありませんので、必要に応じて全て開示することが一般的です。但し、開示できるほどの専門性がない、体系化がなされていないといったことはありえます。

・経営コンサル
 経営支援のノウハウそのものが経営コンサルの強みですので、簡単にはその全てを開示することはしないようです。

(10)ネットワーク・人脈

・ハンズオン
 VCのネットワークや人脈は広いことが多いです。VCの日常の活動の中で最も重視されるのは「将来有望な未上場企業を探し出してくる」ことや「支援先企業の株主価値向上に必要なリソースを探してきて紹介する」ことなどであり、そのためにネットワークや人脈を構築すること自体も重要な業務のひとつとして多くの時間を割いています。

・経営コンサルティング
 ネットワークや人脈構築自体が業務の一部であるVCほどネットワークや人脈を構築することに時間を割けませんので、VCよりは狭いことが一般的です。

(11)担当者の質、経営に関わった経験、実務経験など

 これはいずれも担当者次第と言えますが、組織的な研修や訓練の仕組みが脆弱なVCの方が担当者の当たり外れが多いと考えられます。最近はVCの担当者の出身業界が多様になりつつありますが、業界全体で見るとまだまだ新卒採用や金融機関出身者が多く、経営支援能力の基礎となる事業会社での実務経験・経営経験の多さはあまり期待できません。しかし、両業界とも若手はやる気にあふれており、優秀で勉強熱心な人物が多いです。

以上、両者を比較してみましたが、あくまでも「理解のための比較」であり、優劣を論じたものではありません。両業界で働くことに関心がある方は、ぜひもっと情報収集して考えていただきたいですし、経営支援を必要としている事業会社等の方は自社の課題解決にどちらの方が相性が良いかなどを考えていただけると良いと考えます。
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2020年8月30日日曜日

ハンズオンとコンサルティング


一般に、ベンチャーキャピタル(以下、VC)のような投資家が投資先企業に行う経営支援は「ハンズオン」と呼ばれています。一方で、経営支援を業として行っている存在の代表格と言えば経営コンサルタントである、とのイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。今回の記事では、ハンズオンとコンサルティングを比較することで、両者への理解を深めていきたいと思います。

内容に入る前に、以下4点を先に述べておきたいと思います。
  1. まず、今回の記事はあくまでも「私が考えるハンズオンとコンサルティング」だとお考えください。言ってしまえば独断と偏見に基づいています。両方の言葉とも、通説と言われるような定義が定まってはいません。全く違うお考えをお持ちVC関係者や経営コンサルタントの方もいらっしゃると思います。
  2. 私個人としては、「和魂洋才」のように、ハンズオンのスタンスとコンサルティングのノウハウをうまく融合したいと考えていますので、今回の記事もそういったバイアスがあるかもしれません。なお、NGCパートナーズの事業内容については「経営・財務コンサルティング」と記載していますが、これは投資ありきではないこと、言葉の分かりやすさを優先させたことが理由です。
  3. プライベート・エクイティファンド(以下、PEファンド)も同様の活動を行っており、その活動のこともハンズオンと呼ぶ場合もありますが、VCや経営コンサルタントと異なりPEファンドが経営の最終意思決定権限を持つことも多いので、あくまでも経営支援であるハンズオンやコンサルティングとは同列に論じることができないと私は考えます。よって、今回の記事のハンズオンはPEファンドのそれではなくVCが行う経営支援のことを意味するものとします。
  4. 本文中で「支援先企業」という言葉を使用していますが、これはVCにとっては投資先企業、経営コンサルにとってはコンサル先企業を意味します。経営コンサルがコンサル先企業に資金を投じる(出資する)事例が多いのかは勉強不足で知りませんが、そういった事例や、VCが投資先企業ではない企業に対しコンサルを行うこともありますが、そういった事例などは説明の都合上、今回の記事の対象外です。
さて、それではハンズオンとコンサルティングを比較していきましょう。

(1)立ち位置

・ハンズオン
 VCと支援先企業とは株主と発行体と関係であり、運命共同体(On the same boat)です。そのため、VCの投資担当者は支援先企業の内部関係者として、支援先企業もしくは経営者とできるだけ近い立ち位置に自分たちを位置づけようとします。但し、運命共同体であっても目指すべき方向が一致しているとは限りませんし、投資と出口(EXIT)の場面では利害が一致しない可能性があります。

・経営コンサル
 経営コンサルタントはあくまでも支援先企業からの業務委託を受けた立場であり、形式上は支援先企業の外部関係者です。支援先企業もしくは経営者とは対面で接することが大半です。

(2)経営支援の実施方法

・ハンズオン
 VCは支援先企業もしくはその経営者と共に考え行動します。一部の分野については「教える」というかたちも取ります。正解がないスタートアップの世界で求められるスタンスとも言える一方、別に述べるとおりVCは経営支援の専門性が高くないことが多いためにそういった方法を取らざるを得ないという側面もあります。

・経営コンサル
 支援先の担当者に「教える」というのが基本的方法です。また、あくまでも経営の一部分(戦略、財務、会計、営業、業務、システム等々)のみがその対象です。高い専門性を持っているが故に教えるという方法になりがちであり、また高い専門性を維持するためには分野も限定せざるを得ないということでもあります。

(3)経営支援の範囲

・ハンズオン
 経営全般が対象です。資金を投じている株主であるため、経営のあらゆる面について関心があるからです。別に説明するとおり、VCは支援先企業の株主価値向上が儲けの源泉であり、支援先企業のあらゆる事象が株主価値に影響を与える以上、経営支援の範囲も経営全般とならざるを得ません。ハンズオンを標榜するVCの投資担当者がしばしば支援先企業の社外取締役などに就任することを考えると分かりやすいかもしれません。但しこのことは、全ての支援先企業の経営全般に常に関わることを意味するわけではありません。

・経営コンサル
 あくまでも経営の一部分(戦略、会計、業務、システム等々)のみがその対象です。高い専門性を維持するためには分野も限定せざるを得ないということでもあります。但し経営コンサルタントが支援先企業の取締役などに就任することが稀にありますが、その際は経営全般に対する助言を行うこともあるでしょう。

(4)視点

この点に関しては、他の項目と比べてもかなりバイアスがかかった見方になってしまっているかもしれません。

・ハンズオン
 「ありたい姿」「あるべき姿」にいかに近づけていくかを軸とし、個別の戦略や戦術については仮説検証を繰り返すことが一般的です。確立されたノウハウがあるわけではないものの将来性のある産業や事業に投資し経営支援を行うのがVCの役割ですから、そうならざるをえないとも言えます。

・経営コンサル
 「システム」や「フレームワーク」ありきなことが少なくありません。経営コンサル会社自身が開発したシステムやフレームワークを持っていることもあり、支援のための手段にすぎないはずのそれらがいつの間にか目的化してしまっているのを見ることもあります。また最近は変わりつつあるようですが「論理的に正しいかどうか」がまだまだ他のことよりも優先されます。

(5)専門性

・ハンズオン
 高くはありません。ハンズオンの能力を高めるために組織的研修や訓練を行っているVCは日本ではほぼ皆無ですし、ハンズオンの内容の妥当性を組織的に検証する仕組みがあるVCも日本ではほぼ皆無ですので、良い意味でも悪い意味でもハンズオンの専門性は投資担当者次第になってしまっています。

・経営コンサル
 少なくともVCよりは圧倒的に高いことが多いです。組織的研修や訓練も充実していますし、経営支援に関する勉強量全体で見ても圧倒的です。

(6)結果責任

・ハンズオン
 経営支援の結果が、支援先企業の企業価値や株主価値を通じて、VCの損益に影響します。そういった意味で経営支援の結果責任を支援先企業と共有していると言えます。

・経営コンサル
 あくまでも業務委託契約の関係であり経営支援の結果責任を経営コンサルは負いません。もちろん、経営支援の結果が出ないと業務委託契約を更新してもらえない、評判悪化により新規契約が獲得できないなどの影響はありえます。

(7)位置づけと儲けの源泉

・ハンズオン
 VCは「経営支援を行う投資家」ですので、株式などに投資を行い、それが投資時より高い株価で売却することによる差額つまりはキャピタルゲインが儲けの源泉です。経営支援はキャピタルゲインを大きくしたり、確度を高めたりするための手段のひとつです。

・経営コンサル
 経営コンサルは支援先企業からの業務委託料などが儲けの源泉ですので、経営コンサルは目的そのものと言えます。

(8)ノウハウの開示

・ハンズオン
 支援先企業に対してという意味合いでは、VCは経営支援のノウハウを隠す必要がありませんので、必要に応じて全て開示することが一般的です。但し、開示できるほどの専門性がない、体系化がなされていないといったことはありえます。

・経営コンサル
 経営支援のノウハウそのものが経営コンサルの強みですので、全てを開示するのは難しいことも多いようです。

(9)ネットワーク・人脈

・ハンズオン
 VCのネットワークや人脈は広いことが多いです。VCの日常の活動の中で最も重視されるのは「将来有望な未上場企業を探し出してくる」ことであり、そのためにネットワークや人脈を構築することに多くの時間を割いています。

・経営コンサルティング
 VCほどネットワークや人脈を構築することに時間を割けませんので、VCよりは狭いことが一般的です。

(10)担当者の質、経営に関わった経験、実務経験など

 これはいずれも担当者次第と言えますが、組織的な研修や訓練の仕組みが脆弱なVCの方が当たり外れが多いと考えられます。実務経験に関して言うとVCの投資担当者はないことが大半です。最近は出身業界が多様になりつつありますが、業界全体で見ると新卒採用や金融機関出身者が多く、実務経験は期待できません。両業界とも、若手はやる気にあふれており、優秀で勉強熱心な人物が多いです。

以上を総括すると、VCは経営コンサルのノウハウを学ぶべきと考えますし、経営コンサルは支援先企業に対する出資機能を持つとより理想的な環境で経営支援が行えるのではないかと考えます。

また別の機会にVCの投資担当者とPEファンドの投資担当者の比較も行ってみたいと思います。

2020年5月22日金曜日

「事業計画の作り方」シリーズ開始!

新しいパソコンも届いたので心機一転、当ブログの更新にも力を入れていきます。

定番ではあるものの重要なテーマとして、「事業計画策定」に関するシリーズから開始していきたいと思います。今回は全体のイメージをお話しします。

まず対象(想定する読者層)ですが、以下のとおり考えています。
  1. 起業前の方
  2. 事業承継をしようとしている後継者の方
  3. 急成長を目指して資金調達を考えている経営者の方
COVID-19の直接・間接の影響を受けて、事業の見直しや建て直しが必要だったり、緊急での資金調達が必要だったりする方向けには少し不向きな内容であったり記事の更新ペースが遅すぎたりするかもしれません。そういったことでお悩みの方は私宛に直接ご連絡いただくか、すでにそういった動きに対応していらっしゃる他のコンサルタントや支援者の方にご相談いただく方が良いかと存じます。

さて上記1~3の方々ですが、状況が異なる以上、当然ながら事業計画を作る目的も作り方も異なります。よって、当シリーズでも分けて解説していきます。

まず「1.起業前の方」向けですが、主にスモールビジネスや、急成長を前提としない事業をお考えの方が対象です。各地で開催されている起業塾に参加する前に予習的に活用いただいたりすることを想定しています。実際に私が講師を担当させていただいた起業家養成講座での講義内容をベースとした内容です。

次に「2.事業承継をしようとしている後継者の方」向けは、すでに一定程度(数年以上)の期間営まれている事業についての事業計画の作り方をご紹介します。ベンチャー型事業承継で会社を継ぐ予定の方も、既存事業側の事業計画の作り方としてご参考にしていただけるかと考えます。新規事業の計画の立て方については、「事業計画の作り方」というシリーズの中で扱ってしまうとミスリードしてしまう可能性があるので、後日別シリーズで解説できたら良いなと考えています。新規事業について早く学びたい方は、守屋実さんや麻生要一さんの書籍や動画がオススメです。

最後に「3.急成長を目指して資金調達を考えている経営者の方」向けですが、事業計画の作り方を一からご説明するのではなく、事業計画及び資本政策の重要な論点や考え方をご紹介しているかたちを取りたいと考えます。「事業計画の作り方」として解説していくと、ややもすれば事業計画書の穴埋め的内容になってしまいますが、特にスタートアップビジネスには穴埋め的事業計画はふさわしくないと考えるからです(もちろん、起業段階でも事業承継段階でもただ事業計画のフォーマットに記入していくだけ、は好ましくありませんが)。

なお、
  • もっと実践的な内容を学びたい
  • 事業計画を考え際の壁打ち相手を探している
などございましたら個別にご連絡いただけますと幸いです。当ブログトップにある「Contact」からご連絡いただけます。


2019年11月18日月曜日

VCからの資金調達の際の注意点~専門家編~

ベンチャーキャピタル(以下、VC)からの資金調達を行う際の注意点の内、今回は「専門家への相談」の際の注意点を取り上げたいと思います。

「VCからの資金調達のメリット・デメリット」のような記事がWeb上には多くありますので、是非事前にそういった記事にも目を通しておいてください。

さて、VCとの間でいろいろやりとり(資料提出、ヒアリングや投資審査)を行って、そのVCとの間では資金調達についてほぼほぼ合意できたという段階にたどりついたにも関わらず、経営者にとっては身近な存在の反対によってVCからの資金調達を行えない、もしくは断念するという場合があります。

特に、
  • 東京以外の地域のスタートアップ
  • VCに限らず外部株主を初めて受け入れるスタートアップ
にその事例が多いようです。

ではその「経営者にとっては身近な存在」とは誰のことでしょうか?
  1. 金融機関の支店長や担当者
  2. 顧問税理士
  3. 他の既存株主
  4. その他
実はどの選択肢も程度の差はあれ当てはまるのですが、私の経験上、特に多いのは顧問税理士です。

私がVCで東京以外の地域のスタートアップへ投資検討をしている際、投資候補先企業の経営者が顧問税理士の反対にあってVCからの資金調達を中止する、という事例をチラホラと見かけましたし、そういった話を聞くことも少なからずありました。

顧問税理士というのは、ほとんどの未上場企業の経営者にとっては最も身近な専門家でもありますし、何かあったら顧問税理士に相談する、顧問税理士の意見は尊重するという経営者も多いのではないでしょうか。

税理士側も、税務顧問だけにとどまらず、経営コンサルティング機能を強化されている事務所が多くあります。そういった税理士であれば良いのですが、昔ながらの税務顧問業務しか行っていない、顧問先が外部から資金調達をしたような経験がない、といった税理士の場合、要注意です。

そういった税理士が
  • よく分からないからといって慎重論を唱えたり反対したりする
  • VCをハゲタカファンドと同類と誤解している
  • 自分たちの領分を侵されたくないので反対する
などして、経営者の考えに大きな影響を与えた結果、VCからの資金調達が中止されることが意外なことに少なくありません。
もちろん、VC側の言い分だけを鵜呑みにするのもよくありませんが、税理士の意見についても鵜呑みにするのはよくありません。

自社の顧問税理士がどんな専門分野や経験を持っているかを把握した上で、事前に相談するなどの対応が必要です。

スタートアップにとって顧問税理士はとても重要な存在です。VCが投資検討をする際、
  • 審査資料の用意がスムーズなスタートアップ
  • 経営者が自社の数字を把握できているスタートアップ
などは、経営者やCFOの存在だけでなく、顧問税理士のコンサルティングの賜物だったりします。VCからの資金調達を検討するタイミングというのは、顧問税理士との関係を深める、見直すなどの良い機会とも言えると思います。

2019年11月15日金曜日

良い経営者の「考え方」~VCの視点~

今回は少し厚かましくも「優れたスタートアップ経営者とは?」について考えていきたいと思います。

なお本記事は、数年前に別サイトに投稿させていただいたり、私が起業家養成講座などでお話しをさせていただいたりしたものを今回当ブログ用に書き直したものです。

あと、本記事では「経営者」と「起業家」という言葉をあえて区別せずに使用しています。ご了承ください。

私は環境に恵まれ、いろいろな経営者を近くで見たり、一緒に仕事をすることができたりしました。ざっと列挙すると、
  • 祖父は会社を数社起こした起業家
  • 父は二代目経営者
  • 新卒入社した会社の経営者は、個人創業した同社を短期で株式上場させた起業家
  • 二社目の会社の経営者は、社内ベンチャーの立ち上げを成功させたイントレプレナー
  • 三社目の会社の経営者は、20代で個人創業した後、社員数百人規模まで成長させた起業家
  • ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティに所属していた際には多くの起業家やプロ経営者と接することができた
といった感じです。三社目の会社とその次の直近勤務した会社では私も経営陣の末席として、会社経営に関わることもできました。

そういった方々などの大きな影響を受けて育った私なりの考えを「ベンチャーキャピタル(以下、VC)の投資担当者の立ち位置」でまとめてみました。

VCはスタートアップの“将来性”や“可能性”を評価して投資を行います。しかしVCの投資担当者も未来を予言する能力があるわけではなく、「成長しうるスタートアップ」の資質を個別に、そして総合的に見ていくこととなります。その中でも経営者の資質は多くのVCが重視するテーマです。

成長しうるスタートアップにおける、良い経営者像とは? 大きなビジョンや夢がある、経験豊富、若くて行動的、MBAホルダー、営業力がある、数字に強い……など、資格からスキルまで、挙げればキリがありません。今回は経営者の資質としての「考え方」に焦点を当てます。

(1)夢が大きく、理想が高い


いくら経験豊富で、能力が高くとも、大きな夢や高い理想がなければ大きなことを成し遂げられません。吉田松陰の言葉を引用します。
夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。
経営者やそれを志しているみなさんには、これを「夢なきスタートアップ経営者には成功なし」と読み替えていただきたいと思います。経営者の考え方として、第一に挙げられるべき項目です。

(2)決断力がある


いくら大きな夢や高い理想があっても、貫き通す“強い心”がなければ成し遂げることはできません。では強い心とはどういう意味でしょうか?ここでは「決断力」と読み解きたいと思います。

経営者が備えるべき決断力とは実は、「失敗を恐れない心」とも言い換えることができます。経営者にとって決断力が重要なのは言うまでもありませんが、ここで言う決断力は、「正しい決断を下す力」とは少し違います。まず「決断する力」があり、その上で「正しい決断を下す力」が活きるのです。

失敗を恐れる経営者は、「正しさの追求」を言い訳にして決断を下しません。そもそも「熟慮すれば正しい判断ができる」と考えている時点で、それは多くの場合、傲慢にすぎないのです。

正しい回答を探して立ち止まるよりも、意思決定を積極的に行う仮説検証・試行錯誤型の経営者こそ、良い経営者といえます。それは歴史も証明しています。

もし失敗したら?大丈夫、あきらめない限り失敗はありません。

(3)自省する力がある


次に、「自省する力」を取り上げたいと思います。自らの言動や行動を反省し、己の力不足を認めずして成長はありえません。まずは自分が「知らない」ことを知る。ソクラテスの「無知の知」、論語の「これを知るをこれを知るとなし、知らざるを知らざるとなせ。これ知るなり」など、繰り返し説かれてきた第一歩です。

そして「うまくいったらみんなのおかげ、失敗したら自分のせい」を心得ましょう。経営者自身を「褒めて伸ばす」のは単なる甘えです。成長しうるスタートアップの経営者は、自省する習慣を持っています。もちろん、役職員に対してはぜひ「褒めて伸ばす」を実践して欲しいと思います。

(4)学びと実践を繰り返す


「実践主義者」と呼ばれる人がいます。机上で考えているだけで実際の行動に移せないのはたしかに良くありませんが、実践主義の人が陥りがちなのが、経験のみを重視しすぎる点です。経営者には経験だけでは足りません。経営学と実際の経営は違うと考え、経営学をきちんと学ばない経営者も少なくありませんが、非常にもったいないことです。

良い経営者は、学びと実践、その間を行ったり来たりして、自分が経験したことの本当の意味を知ったり、事前に得た知識をもとに経験をより充実させたりしています。

(5)考えの枠組みや軸を持っている


アニマルスピリットを持つ経営者だからか、野性的勘を発揮する経営者も多いようです。世の中、すべてが理屈で片付くわけではないので、鋭い勘も必要でしょう。しかし、良い経営者は自分の勘も大切にしつつ、自分なりの考え方に「枠組み」や「軸」を持っています。判断に迷ったときに寄る辺となるものです。

考えの枠組みや軸とは、経営関連書籍ではいわゆる「フレームワーク」として解説されているものもそれに当たります。「目標から遡って考える」、「趣旨から考える」、「原則と例外」、「正攻法と奇策の組み合わせ」、「選択と集中」、「論理と直感」など、経営の様々な場面で活用することができます。

(6)したたかである


夢が大きく失敗を恐れず、自身を省みながら、勉強熱心で考え方に軸もある。実はこれでも良い経営者とは必ずしも言えません。そこには「したたかさ」が足りないことが多いからです。

良い経営者のしたたかさとは?まずは「役割を演じられる」ことです。素のままの自分が経営者に向いている、という人もいるとは思います。しかしそれは極めて限られた人だけに言えることです。経営者は、すべてが思い通りにはいかない会社経営の中で、「経営者たるものこうあらねばならない」という考えの下に、その場に応じた役割を演じなければなりません。

次に「愛情深いが、冷酷にもなれる」二面性です。綺麗ごとしか言えない経営者は成功しません。二面性という意味では、人に見せない「欲」も重要な原動力です。夢だって欲のひとつと言えます。したたかな経営者は表には出さない一面を持ち、そのこと自体が人間としての魅力を高めることにもつながっていたりします。

最後に


良い経営者の条件として、多くの場合、経験、知識、スキルや人脈などが挙げられますが、それらは必要条件であっても十分条件ではありません。今回挙げたポイントは、捉えようによっては精神論的に聞こえるかもしれませんが、これらの「考え方」が備わっていてはじめて、経験、知識、スキルや人脈が活きてくるものと考えます。

VCの投資審査は通常3カ月程度という長い時間をかけます(最近は短期化されているようですが)。これは、単にビジネスモデルの審査をしているだけではなく、期間中に経営者の資質を見極めようとしているのです。今回挙げたポイントはまだ一部であるかもしれないし、異なる考えを持ったVCの投資担当者も多いと思います。ただ、間違いなく言えるのは投資審査の際には、ビジネスモデルや数値計画の話ばかりではなく、経営者としての考え方が重視されるということです。

以上、少しでもご参考になれば幸いです。
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2019年9月17日火曜日

ベンチャーキャピタルについて

私が経験してきた業種・業務について紹介していきます。
新卒で入社したのが「ベンチャーキャピタル(以下、VC)」です。

VCとは
将来性のある未公開企業の起業・成長・発展を支援するために投資等の形で資金提供し、経営支援等も行う(引用元:日本ベンチャーキャピタル協会)
存在です。

私はVCを「次世代創出支援産業」と位置づけていました。

VCに所属して働く場合の業務内容は以下のように分類されます。
  1. ファンドの企画、募集・組成
  2. 将来性のある未上場企業の発掘、審査、投資、経営支援及び投資回収
  3. ファンドの会計、運用報告
私は通算10年以上VCに所属していました。業務としては上記1~3全てを経験できたのですが、10年間の後半ではVCから発展・派生させた事業に携わることもできました。そのことについてはまた別の場面で紹介していきます。

なお、私の屋号の「NGCパートナーズ」は、私がVCを次世代創出支援産業と位置づけていたことと強く関係しています。