制度や事業に関する情報は変更や更新が生じている可能性がありますので、ご利用にあたってはそれぞれの制度や事業に関するWebページ等で最新の情報を必ずご確認ください。
今回ご紹介するのは、「中小企業デジタル化応援隊事業」という事業です。以下、必要に応じて同事業のWebサイトや資料から引用もしくは一部改変してご紹介します。
(引用元:中小企業デジタル化応援隊事業Webサイト、中小企業向け手引書、IT専門家向け手引書、FAQ等)
まず、この事業は「全国の中小企業・小規模事業者のさまざまな経営課題を解決する一助として、デジタル化・IT活用の専門的なサポートを充実させるため、フリーランスや兼業・副業人材等を含めたIT専門家を『中小企業デジタル化応援隊』として選定し、その活動を支援する取り組みです。」
会社のデジタル化の遅れは、後継者が危機感を持つことが多い問題のひとつです。例えば、
- 報告書や伝票類が手書き、紙ベースのままであり、集計や分析ができない
- 社内での情報共有手段が会議と掲示板での周知しか方法がない
- メールアドレスが会社や部署にひとつしかなく、メールを毎回プリントアウトしている
- パソコンのセキュリティ対策がなされていない
- データへのアクセス制限がなされておらず、悪い意味で情報がオープンになっている
- 情報の一元管理や検索可能性向上がなされていない
- 役職員がお互いのスケジュールは把握する方法が「直接聞く」しかない
等々、挙げだしたらキリがありません。
後継者が他社を経験していたり、デジタル化に詳しかったりする場合でも、デジタルツールの導入を作業レベルまで後継者自身が行うのが現実的ではないですし、詳しくない場合は問題意識はあってもさらにデジタル化を進めることが難しいでしょう。
そこで、「中小企業デジタル化応援隊事業」を通じてIT専門家と協力してデジタル化を進めてはどうでしょうか。
同事業の主な特徴を以下、箇条書きで記載します。記載している内容は「第1期時点での情報」ですので最新の情報や詳細は、中小企業デジタル化応援隊事業Webサイト、中小企業向け手引書、IT専門家向け手引書、FAQ等を必ずご確認ください。
- デジタル化の対象として想定されているのは、「テレワーク、EC構築、ホームページ、RPA導⼊、グループウェア導⼊、セキュリティ強化、AI、インターネットバンキング、ERP導⼊、HR領域デジタル化、社内向け研修デジタル化、オンライン会議導⼊、オンラインイベント、各SaaS導⼊検討、IoTツール導⼊、ペーパーレス推進、DBサーバー、通信環境・サーバー、デジタルマーケティング、IP電話など」であり、デジタル化がこれからの中小企業に必要な事項が網羅されています。
- IT専門家による支援領域は「デジタルツールの導⼊・推進にあたって必要な⽀援であり、準委任規約に基づく⽀援に関しては対象となり」、個別具体的に決めていくことになります。コンテンツ制作やデザイン作成等は対象になりません。
- 対象となる中小企業等は、日本国内で登記・納税している等の条件を満たし、且つ業種ごとに資本金や従業員数で定められた範囲に該当する企業で、同事業事務局に登録した企業です。
- IT専門家は主に「個人として本事業への参加を希望するフリーランス・副業・兼業の方」で、同事業事務局にIT専門家として登録した方です。登録にあたっては事務局が一定の審査を行っているとのことです。
- IT専門家に対して、事業から謝金が支払われますので、中小企業側は直接依頼よりも事業を通じた依頼の方が出費が少なくてすみます(事業からの謝金は最大で3,500円/時間、中小企業の最低負担額は500円/時間です。例えばIT専門家の時間単価が5,000円であった場合、事業からの謝金3,500円を差し引いた1,500円が中小企業の負担額です)。
期間は次のとおりです。受付期間:2020年9月1日(火)〜2021年1月31日(日)、支援事業実施期間:2020年9月1日(火)〜2021年2月28日(日)第2期以降のスケジュールは同事業のWebサイトでご確認ください。- 中小企業とIT専門家はお互いの間で契約を締結しますが、契約と合わせて両者間で合意する支援計画書に従い業務を進め、予め定められたタイミングで同事業事務局に進捗や状況を報告します。
NGCパートナーズでも最近、他の受託業務に付随するかたちでデジタルツール導入(グループウェア、SFA、CRM、Web会議システム、セキュリティ対応等)のお手伝いをさせていただきましたが、
- 現状を理解した上で経営課題を認識し
- その解決にデジタルツールが有効且つ必要か検証し
- 現在・将来必要となる機能まで見越して情報収集・ツールの比較検討を行い(ツールの詳細はたまたま利用経験があるもの以外は毎回学ぶ必要があります)
- ツールが使用できるよう、具体的な利用場面を想定しながら初期設定を行い(導入企業の業務詳細とシステムの仕組みを理解しながら、の作業です)
- 社内での説明会開催、質問対応、場合によってはマニュアルを独自に用意するなどの定着化活動を行い(実際に導入企業の役職員に活用してもらわなければ意味はありませんし、デジタルツールに苦手意識がある役職員の方向けには実際に一緒に画面を見ながらの解説などを行う必要もあります)
- 場合によっては同時に業務フローを見直す(デジタルツールを導入する際に合わせて業務フローを見直さないと効率化・適正化は不十分に終わります。例えば今まで紙ベースで行っていた業務をデジタル化しても業務フローを見直さなければ、良くてもせいぜい「原則紙ベース、必要に応じてデジタルツールの活用」と理解・認識されてしまい、結果としてデジタルツールが活用されず業務の効率化・適正化が達成できないということが起きます)
- それらを一定の予算内で行う
のは思いの外時間がかかるものです。これをデジタル化に詳しい社内の人財に全て丸投げしたり、IT専門家に直接業務委託したりすると業務負担もコストもかかります。一方で、デジタル化を実現できると業務効率化・適正化に大きく貢献しますので、中小企業デジタル化応援隊事業をきっかけとして検討・推進することをおすすめします。