「石井優/NGCパートナーズのnote」からの転載。
そこで、企業の社内研修(若手研修や新任管理職研修)などで、「仕事の仕方」においての俯瞰的な見方の例として、以下のような話をすることがあります。本来、「俯瞰」とは高いところから見ろして全体像を見ること、といった意味合いですが、ここでは単に「仕事の全体像を最初に確認することの大切さ」の例として話をしています。
さて、あなたの目の前には小高い山があります。その麓には登山道の入り口が見えます。「あの山の頂上まで行ってください。頂上に到着することのみが目的です。」と指示された際、あなたはどうしますか?
Aさんは早速、見えている登山道から登り始め、山頂を目指しました。
Bさんは、山の周りをぐるっと一周するところから始めました。山頂までの交通手段がないかを探すためです。そして、ロープウェイを見つけ、それで山頂を目指しました。
仕事を俯瞰的に見ることの第一歩は、このBさんの行動が参考になります。山の周りをぐるっと一周することにより、仕事の全体像を把握し、目的達成のために効率的な方法を見出して実践する、ということができているからです。もちろん、登山の過程を経験することが目的であったりする場合は、Bさんの行動は仕事の趣旨を理解していないという意味で望ましいとは言えませんが、今回の例はあくまでも頂上に至ることだけが目的です。
仕事をする際に、事前に確認すべきことを何も確認することなく取り掛かってしまうAさんのような方は決して少なくありません。真面目で一生懸命な方なのでしょう。真面目であることは得難い資質であり、決して悪いことではありません。しかし、「仕事の仕方」という意味では、もう一歩成長があるとより素晴らしいと思います。「俯瞰的に物事を見る」は少しハードルが高いかもしれませんが、「事前に山の周囲をぐるっと一周する」ことからは開始できそうです。
ところで、この例を使うと、「目の前に山に登ることが、そのずっと先にある大目標に至るために必要な行動か、と考えるCさん」や「そもそも目の前にあるのは山なのか」と考えるDさんもいるようですが、Cさんは経営者、Dさんは哲学者(?)などにむいているのかもしれませんね。
石井優 / NGCパートナーズ|note