NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2021年12月20日月曜日

事業計画の作り方・番外編 起業前の方向け 優れた起業家に共通する事項とは?


さて今回は、優れた起業家に共通する事項について考えてみたいと思います。なお、本記事では「経営者」と「起業家」という言葉をあえて区別せずに使用しています。ご了承ください。

優れた起業家とは?大きなビジョンや夢がある、経験豊富、若くて行動的、MBAホルダー、営業力がある、数字に強い……など挙げればキリがありません。今回は起業家の資質として以下の6項目を挙げました。優れた起業家の条件として、多くの場合、経験、知識、スキルや人脈などが挙げられますが、それらは必要条件であっても十分条件ではありません。今回挙げた以下の項目は、捉えようによっては精神論的に聞こえるかもしれませんが、これらが備わっていてはじめて、経験、知識、スキルや人脈が活きてくるものと考えます。


(1)実現したい夢や目標がある

いくら経験豊富で、能力が高くとも、実現したい夢や理想がなければ事を成し遂げられません。私の好きな言葉をを引用します。引用中、敬称略。
夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。吉田松陰

夢しか実現しない。福島正伸

起業を志しているみなさんには、これらを「夢なき起業家に成功なし」と読み替えていただきたいと思います。成し遂げたいことがあるからこそ、手段として起業を選んでいる方から見たら当然のことと思えるかもしれません。しかし実際には起業が目的化している事例も少なくありません。


(2)決断力がある

いくら大きな夢や高い理想があっても、貫き通す「強い心」がなければ成し遂げることはできません。では強い心とはどういう意味でしょうか?ここでは「決断力」と読み解きたいと思います。

起業家が備えるべき決断力とは「失敗を恐れない心」とも言い換えることができます。起業家にとって決断力が重要なのは言うまでもありませんが、ここで言う決断力は、「正しい決断を下す力」とは少し違います。まず「決断する力」があり、その上で「正しい決断を下す力」が活きるのです。この順番を間違えると正しい決断をする力はあるものの、そもそも決断する力がない、ということになりかねません。

失敗を恐れる者は「正しさの追求」を言い訳にして決断を下さなかったり、先延ばししたりします。情報をもっと集めよう、様子を見よう、もっと考えたいなどの言い訳が典型的です。旧日本軍の失敗を見てもわかるとおり、情報はとても大切ですので軽視してはなりません。ただ、ほぼ全ての場面で必要な情報が満足いく程度まで集まるようなことはありません。常にいくつかの情報は不足するものです。また、そもそも「熟慮すれば正しい判断ができる」と考えている時点で、それは多くの場合、傲慢にすぎないのです。

決断を先延ばしにして立ち止まる癖がついた者よりも、意思決定を積極的に行う仮説検証・試行錯誤型の者こそ、起業家の資質を持っていると言えます。

もし失敗したら?大丈夫、「世の中に失敗というものはない。チャレンジしているうちは失敗はない。あきらめた時が失敗である。(稲盛和夫)」


(3)自省する力がある

次に、「自省する力」を取り上げたいと思います。自らの言動や行動を反省し、己の力不足を認めずして成長はありえません。まずは自分が「知らない」ことを知る。ソクラテスの「無知の知」、論語の「これを知るをこれを知るとなし、知らざるを知らざるとなせ。これ知るなり」など、繰り返し説かれてきたことです。

そして「うまくいったらみんなのおかげ、失敗したら自分のせい」を心得ましょう。起業家自身を「褒めて伸ばす」のは単なる甘えです。優れた起業家は、自省する習慣を持っています。もちろん、役職員に対してはぜひ「褒めて伸ばす」を実践して欲しいと思います。


(4)学びと実践を繰り返す

「実践主義者」と呼ばれる人がいます。机上で考えているだけで実際の行動に移せないのはたしかに良くありませんが、実践主義の人が陥りがちなのが、経験のみを重視しすぎる点です。起業家には経験や実践だけでは足りません。経営学と実際の経営は違うと考え、経営学をきちんと学ばない起業家も少なくありませんが、非常にもったいないことです。

優れた起業家は、学びと実践、その間を行ったり来たりして、自分が経験したことの本当の意味を知ったり、事前に得た知識をもとに経験をより充実させたりしています。


(5)考えの枠組みや軸を持っている

アニマルスピリットを持つからか、野性的勘を発揮する起業家も多いようです。世の中、すべてが理屈で片付くわけではないので、鋭い勘も重要です。しかし、優れたは自分の勘も大切にしつつ、自分なりの考え方に「枠組み」や「軸」を持っています。判断に迷ったときの寄る辺となるものです。

考えの枠組みや軸とは、経営関連書籍ではいわゆる「フレームワーク」として解説されているものもそれに当たります。「目標から遡って考える」、「趣旨から考える」、「原則と例外」、「正攻法と奇策の組み合わせ」、「選択と集中」、「論理と直感」など、経営の様々な場面で活用することができます。


(6)したたかである

夢が大きく失敗を恐れず、自身を省みながら、勉強熱心で考え方に軸もある。実はこれでも優れた起業家とは必ずしも言えません。そこには「したたかさ」が足りないことが多いからです。

優れた起業家のしたたかさとは?まずは「役割を演じられる」ことです。素のままの自分が起業家に向いている、という人もいるとは思います。しかしそれは極めて限られた人だけに言えることです。起業家は思い通りにはいかない事柄に多い環境の中で、「起業家たるものこうあるべきだ」という考えの下に、その場に応じた役割を演じなければなりません

次に「愛情深いが、冷酷にもなれる」二面性です。綺麗ごとしか言えない起業家は成功しません。二面性という意味では、人に見せない「欲」も重要な原動力です。夢だって欲のひとつと言えます。したたかな起業家は表には出さない一面を持ち、そのこと自体が人間としての魅力を高めることにもつながっていたりします。


優れた起業家に共通する事項はこれだけではありませんし、逆にこれが全て揃っている必要があるわけでもありません。しかしそれでも多くの起業家に共通すると私は考えています。起業家予備軍のみなさんのお役に立てば幸いです。

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