今回は、資金調達で知っておくべきことについて解説します。本編の資金調達に関する記事も併せてご覧ください。
さらには応用編として、経営に規律を設けるという意味もあります。金融機関から借入をすると、契約に従って毎月返済や利払を行う必要があります。そのため、毎月しっかりと資金を用意できるよう、経営に規律を持たせようという動機が強まるのです。社内体制の整備のきっかけとするといった側面もあります。株主や債権者に対して経営の状況を説明するためには、会社の体制を整備して、社内の情報をしっかりと管理できるようになる必要があるからです。
ところで、「資金調達」とはそもそもどういったものがあるのでしょうか?主に以下のように分けられます。
1.資金調達を行う理由と、資金調達の種類
まず、会社はなぜ資金調達を行うのでしょうか?資金調達をしなければ事業を推進できない、パーパスを実現できない、成長できない、などの理由が挙げられます。増資に限って言えば、著名人や有名企業に株主になってもらい会社の信用性を高める狙いなどもありえます。さらには応用編として、経営に規律を設けるという意味もあります。金融機関から借入をすると、契約に従って毎月返済や利払を行う必要があります。そのため、毎月しっかりと資金を用意できるよう、経営に規律を持たせようという動機が強まるのです。社内体制の整備のきっかけとするといった側面もあります。株主や債権者に対して経営の状況を説明するためには、会社の体制を整備して、社内の情報をしっかりと管理できるようになる必要があるからです。
ところで、「資金調達」とはそもそもどういったものがあるのでしょうか?主に以下のように分けられます。
- デットファイナンス : 金融機関からの借入が典型例です。
- エクイティファイナンス : エンジェル投資家、ベンチャーキャピタルやCVCからの資金調達が例に挙げられます。
- アセットファイナンス : 会社が保有する土地や建物などの資産=アセットを活用して資金を得る方法を指します。ファクタリングもここに該当します。
- 事業で得られる儲けを蓄積する
本記事での「資金調達」とは、直接的に他者に対する責任が発生する「デットファイナンス」と「エクイティファイナンス」を前提として進めたいと思います。ファイナンス=資金調達、デット=負債、エクイティ=株式と適宜読み替えてください。
2.資金調達を行うために必要なこと
それでは次に資金調達を行うために必要なことをいくつかご紹介していきます。(1)起業を考え始めたら預金を始めましょう
あくまでも預金であって、株式などでの運用は含みません。そもそも、株式などのリスクのある金融商品は「余裕資金」、言い換えると、なくなっても困ることはない資金で行うものです。起業のために使う、という目的がある以上、株式などではなく預金が正解です。起業の際によく言われるのが、起業の後、2年間全く売上が立たなくても暮らしていけるだけの資金を用意するか、起業前にまとまった量の仕事を受注しておく、ということです。これはとても大切で、起業した後から営業活動を開始すると、毎日のように減り続ける通帳残高を見て焦りながら営業活動をする羽目になるため、良い結果を生むことができないことが多いと言われます。だからこそ、本来は起業前にいくつか受注確実な仕事を見つけておくことがベストではありますが、なかなかそうもいかないので、次善の策として貯金をしておくのです。
また、自分で資金を用意するかどうかは、その後の資金調達にも大きく影響します。考えてみてください。みなさんの知人が起業したとします。でもその知人自身はお金を出さず、周りの人にお金を出してくれと言っているのを見たらどう思いますか?「まずは自分で出そうよ」と思う方が多いのではないでしょうか。起業家自身が資金を用意することは、その起業家の覚悟の現れや、事前の準備の度合いとも見られるのです。
また、自分で資金を用意するかどうかは、その後の資金調達にも大きく影響します。考えてみてください。みなさんの知人が起業したとします。でもその知人自身はお金を出さず、周りの人にお金を出してくれと言っているのを見たらどう思いますか?「まずは自分で出そうよ」と思う方が多いのではないでしょうか。起業家自身が資金を用意することは、その起業家の覚悟の現れや、事前の準備の度合いとも見られるのです。
(2)会社のお金の流れ、事業でのお金の流れを理解し、予測・計算できるようにしておきましょう
ここでは詳しくは説明しませんが、利益が出たからといって、手元にお金が残るわけではありません。利益が出ているのにお金が減ることもあります。逆に、利益が出ていなくてもお金が手元にある限りは、会社は存続できます。
「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるかと思います。読んで字のごとく、利益は出ているのに、会社が倒産してしまうことを意味します。これは経営者が自分の事業のお金の流れを理解していない、もしくは予測に失敗したことが理由で起きます。そんなことになりそうな会社には、金融機関や投資家も怖くて資金を出せないはずです。また、お金の流れを予測できていないと、お金が足りなくなって慌てて資金調達を行うことになります。しかし、資金調達には一定の時間がかかるのです。また、自分が焦っていると、自分にとって不利な条件での資金調達という結果にもなりかねません。こういった話のときによくあるのが、会計や経理のことは全て顧問税理士に任せているので、自分は詳しくは分からない、という事例です。しかし、任せていることと経営者自身が理解することは全く別の話といえます。それに、会社を大きくしていきたいとお考えの場合は、会計や経理はできるだけ社内で行うべきです。その方がリアルタイムに資金や利益の状況を把握できるし、経営に活かすこともできます。最近ではアウトソーシングも一般的になっていますが、自社で理解した後、アウトソーシングという順番が良いと考えます。
「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるかと思います。読んで字のごとく、利益は出ているのに、会社が倒産してしまうことを意味します。これは経営者が自分の事業のお金の流れを理解していない、もしくは予測に失敗したことが理由で起きます。そんなことになりそうな会社には、金融機関や投資家も怖くて資金を出せないはずです。また、お金の流れを予測できていないと、お金が足りなくなって慌てて資金調達を行うことになります。しかし、資金調達には一定の時間がかかるのです。また、自分が焦っていると、自分にとって不利な条件での資金調達という結果にもなりかねません。こういった話のときによくあるのが、会計や経理のことは全て顧問税理士に任せているので、自分は詳しくは分からない、という事例です。しかし、任せていることと経営者自身が理解することは全く別の話といえます。それに、会社を大きくしていきたいとお考えの場合は、会計や経理はできるだけ社内で行うべきです。その方がリアルタイムに資金や利益の状況を把握できるし、経営に活かすこともできます。最近ではアウトソーシングも一般的になっていますが、自社で理解した後、アウトソーシングという順番が良いと考えます。
(3)自分の事業や会社どういう段階にあるか理解しておきましょう
会社には、成長のステージ=段階があります。一般的には、シード、スタートアップ、ミドルステージやレイターステージなどに分けられます。日本語でも、創業期、揺籃(ようらん)期、成長期、安定期などの言葉があります。
なぜそれを理解する必要があるかと言えば、ステージごとに適した資金調達の方法があるからだ。業種によっても様々なので一概には言えませんが、たとえば起業したばかりの頃の資金調達に関する「3F」という有名な言葉があります。Founder(起業家自身)、Family(起業家の家族)、Friend(起業家の友人)からの資金調達が良い、というものです。しかし、たまたまそれらの人が大金持ちでもない限り、事業を拡大するときに必要となる資金は準備できないでしょう。だから、次のステージでは、金融機関や投資家などから資金を集め、さらにステージが進むと株式上場をして株式市場から広く資金を集めるようになるのです。
なぜそれを理解する必要があるかと言えば、ステージごとに適した資金調達の方法があるからだ。業種によっても様々なので一概には言えませんが、たとえば起業したばかりの頃の資金調達に関する「3F」という有名な言葉があります。Founder(起業家自身)、Family(起業家の家族)、Friend(起業家の友人)からの資金調達が良い、というものです。しかし、たまたまそれらの人が大金持ちでもない限り、事業を拡大するときに必要となる資金は準備できないでしょう。だから、次のステージでは、金融機関や投資家などから資金を集め、さらにステージが進むと株式上場をして株式市場から広く資金を集めるようになるのです。
(4)事業に再現性を持たせる仕組みを作りましょう
再現性とは、わかりやすく言えば、成功の要因が分かっていて、それを別の機会にも一定以上の確率で実現できることを意味します。球技で例えてみると、自分のシュートの成功率を高めるには、ゴールの左側から、このくらいの距離でシュートを打つ必要があると理解していること。そして、それを実行できることを意味します。「なぜホームランを打てるか分からない」と言っている野球選手と、「自分はこういう場面ではホームランを狙えるから、その場面では積極的に狙っていく」と言っている野球選手、どちらをスカウトしたいと思うでしょうか?再現性を持たせるということはスポーツでも決して簡単なことではないですが、事業においても実は難しいことです。なぜお客様が自社の製品を選んで買ってくれるのかを正確に理解していない会社は少なくありません。みなさんはそうならないよう、再現性を持たせる仕組みづくりを考えて欲しいと思います。
(5)集中すべきことを決めましょう
集中すべきことを決める。言い換えると、「何をしないかを決める」ということです。起業家の特徴にも色々ありますが、多くの起業家に共通しているのは「アイデアが豊富」という点。それ自体は素晴らしいことですが、一方ではマイナスに働き、「特定の事業に集中できない」とか、「すぐに諦めて他の事業に興味を持ってしまう」となりやすいのも事実です。しかも、起業したての頃は、社内のあらゆる資源が不足しています。人もお金も時間も足りません。そういったときにあれもこれもやりたい、というわけにはいきません。資金提供者も「経営が散漫になり、どの事業も結果がでない」という事態は望んではいません。常に選択と集中が必要であることを覚えておいてください。
(6)経営チームをつくりましょう
会社は、様々な機能が一体となって運営されています。どんなに優秀な起業家でも、その全てを自分だけで行うことはできません。また、もしできたとしても、時間の制約がある以上、ひとりで全部やろうとすると、どれもいまいちな結果となってしまうでしょう。資金提供者も、起業家がスーパーマンであることを求めてはいません。むしろ、起業家自身の強みに集中し、それ以外のことはチームとして対応して欲しいと考えていますし、そういったことができる会社の方を高く評価するでしょう。みなさんは優秀であっても万能ではありません。ぜひチームとしてみんなの力を結集できるようになりましょう。
(7)最後にもう一度、必要な資金調達かを考えましょう
「お金は多ければ多いほどよい」という考えもありますが、それが当てはまる局面と、そうではない局面とがあります。リーマン・ショックやコロナ禍においては、「Cash is king」という言葉がよく使われました。これから先どうなるか分からないという不確実性が高まったので、「チャンスがあれば、可能な限り多額の資金を調達しておこう、そうでないと次の資金調達の機会はずっと先かもしれない」と考えざるをえなかったのです。
逆に、資金調達環境が良い時期もあります。景気は悪くないのに低金利のような時期が例として挙げられます。そのような時期には、ある程度の資金的余裕を持つということは良いとしても、必要額をはるかに上回る資金を調達すべきではありません。借入であれば利息がかさむという問題もありますし、もっと重大なこととしては、経営の規律が緩むという問題があります。資金調達をした直後、その資金を事業に使わず、高級車を購入してしまうような経営者も残念なことに珍しくはありません。資金調達の際には、常に、本当に必要な資金調達か考えるようにしましょう。
起業間もない段階での資金提供側の視点は主に、「融資候補先や投資候補先の起業家が信頼に足るかどうか」、「実現可能性や将来性のある事業計画であるかどうか」のふたつです。
逆に、資金調達環境が良い時期もあります。景気は悪くないのに低金利のような時期が例として挙げられます。そのような時期には、ある程度の資金的余裕を持つということは良いとしても、必要額をはるかに上回る資金を調達すべきではありません。借入であれば利息がかさむという問題もありますし、もっと重大なこととしては、経営の規律が緩むという問題があります。資金調達をした直後、その資金を事業に使わず、高級車を購入してしまうような経営者も残念なことに珍しくはありません。資金調達の際には、常に、本当に必要な資金調達か考えるようにしましょう。
3.資金供給側の目線・考え方
さて、次は資金提供側の目線や考え方について整理します。起業間もない段階での資金提供側の視点は主に、「融資候補先や投資候補先の起業家が信頼に足るかどうか」、「実現可能性や将来性のある事業計画であるかどうか」のふたつです。