NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2021年12月1日水曜日

事業計画の作り方18 後継者の方向け(6) 現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析1

前回の記事から1年以上空いてしまい申し訳ありません。「後継者向けの事業計画の作り方」について解説を再開します。

さて、前回まで番外編を除く4回にわたって「現状分析」について解説してきましたが、説明が財務分野に偏ってしまっていましたし、時間も空いたこともありますので、これから数回は視点を変えて、「現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析」について解説します。

なお、繰り返しになりますが、後継者にとって「現状分析」はとても重要です。本記事を読み進める前にぜひ「事業計画の作り方1」と「事業計画の作り方14」をご覧くと同時に、以下の図を思い出していただければと思います。

1.現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析とは?

さて、SWOT分析は最もよく使われるフレームワークのひとつと言えますが、多くの場合、「現状分析で真っ先に使うフレームワーク」との位置づけとなっているようです。その場合、研修の中でグループディスカッションの題材として利用した際などに「思い付きしか書けない」、「弱みや脅威は思いつくが、強みや機会が思いつかない」といった事態となり勝ちです。SWOT分析は理解しやすい構造ですが、その活用の仕方には注意が必要です。特に、以下の2点について知っていただきたいと思います。
  1. SWOT分析は、他の現状分析で得られた情報や認識を整理するという「現状分析の総仕上げ」として活用すべきフレームワークである。
  2. SWOT分析は、その応用であるクロスSWOT分析まで行うことで、現状分析を超えた、今後の方針や打ち手を考えるフレームワークとなる。
では、「現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析」とは、どういった意味なのでしょうか。

「事業計画の作り方1」や過去数回の現状分析に関する記事で、代表的な現状分析のフレームワークをいくつかご紹介しました。それぞれのフレームワームは極めて有用なものなのですが、これから会社を経営していく、そのための事業計画を作る、という立ち位置にある後継者にとっては当然ながら「分析」だけでは不十分で、分析結果を今後の計画や行動に反映させていかなければなりません。そういった「現状分析の段階」から、「事業計画策定の段階」に進むために最も活用しやすいのがSWOT分析とその発展形であるクロスSWOT分析なのです。ですので私は、各種フレームワーク等による現状分析をSWOT分析で総仕上げし、それをクロスSWOTに発展させ、事業計画策定の第一歩とする、という流れをおすすめしています。「現状分析の総仕上げとしてのSWOT分析」についても次回以降、その流れに沿って解説していきます。

ところで、念のためSWOT分析とクロスSWOT分析について、基本的事項をまとめておきますので、あまり馴染みがない方は以下の内容にもお目通しいただければと思います。

2.SWOT分析

SWOT分析は上記の表から分かるとおり、「機会、脅威、強み、弱み」の英語の頭文字をとったものです。自社の環境を外部環境と内部環境に分け、それをさらにプラス要因とマイナス要因に分けます。


(1)外部環境(機会・脅威)
 外部環境、つまりは自社でコントロールするのが難しい事項の内、自社の事業にとって追い風となる事項、チャンスとなる事項をSWOT分析では「機会」と呼びます。逆に自社の事業にとって向かい風となる事項、ピンチとなる事項を「脅威」と呼びます。

さらにはマクロ的視点の事項と、ミクロ的視点の事項に分類が可能です。

マクロ的視点の事項は、代表的フレームワークであるPEST分析の分析結果を活用することで洗い出すことが可能です。PEST分析とは、「事業計画の作り方1」でもご紹介したのですが、マクロ環境をPolitics(政治的要因)、Economics(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)という切り口で分析するフレームワークです。

ミクロ的視点の事項は、ファイブフォース分析や3C分析などの分析結果の一部を活用して洗い出すことが可能です。
ファイブフォース分析は、業界の収益性を決める以下の5つの競争要因を分析するフレームワークです。
 ・競合(業者間の競争関係)
 ・サプライヤー(供給業者)の交渉力
 ・バイヤー(直接顧客または最終顧客)の交渉力
 ・新規参入業者の驚異
 ・代替製品またはサービスの驚異
3C分析は、自社環境を3つの「C」、つまりはCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)に分けて分析するツールです。この内、Customer(市場・顧客)とCompetitor(競合)に関する分析結果は外部環境分析に活用可能です。


(2)内部環境(強み、弱み)
 内部環境、つまりは自社である程度コントロール可能な事項の内、「自社が他社よりも優れた・勝てる・得意なところはなにか?」を明確にしたものを「強み」と呼びます。逆に「自社が、他社よりも劣った・負ける・苦手なところはなにか?」を明確にしたものを「弱み」と呼びます。「ヒト、モノ、カネ、情報・ノウハウ」といった切り口で分析することが一般的ですが、このシリーズでは、内部環境を以下のようないくつかの切り口に分けて解説します。
・切り口1:経営面、業務面、人事面
・切り口2:事業、財務、税務、法務、人事、労務、システム、不動産、環境


(3)外部+内部環境
 外部環境と内部環境を総合的に分析できるフレームワークとして「5C分析」というものもあります。「顧客/市場のニーズ、自社のスキル、競争度合い、協力者、背景」を分析するものです。そのうち、「競争度合い」はファイブフォース分析で、「背景」はPEST分析で代用します。

3.クロスSWOT分析


図をご覧いただけるとわかるとおり、SWOT分析の結果を活用して次の戦略を考えるのがクロスSWOT分析です。

(1)機会✕強み
 積極化戦略と呼ばれ、事業機会に対し、自社の強みを最大限に生かすにはどうしたらいいか?を考えます。

(2)脅威✕強み
 差別化戦略と呼ばれ、脅威に対しても、自社の強みでチャンスに出来ないか?を考えます。

(3)機会✕弱み
 改善戦略や段階的施策と呼ばれ、事業機会に対し、自社の弱みで取り逃がしてしまったことを改善・回復するにはどうしたらいいか?を考えます。

(4)脅威✕弱み
 防衛・撤退と呼ばれ、脅威と弱みが最悪の事態を招かないようにするにはどうするか?を考えます。

次回は、外部環境分析について詳しく見ていきたいと思います。
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2021年11月27日土曜日

【比較】ハンズオンとコンサルティング Ver.2021

(注)この記事は、以前の記事の内容を一部更新・修正したものです。 

一般に、ベンチャーキャピタル(以下、VC)が投資先企業に行う経営支援は「ハンズオン」と呼ばれています。一方で、経営支援を業として行っている存在の代表格と言えば経営コンサルタントとのイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。今回の記事では、ハンズオンとコンサルティングを比較することで、両者への理解を深めていきたいと思います。

内容に入る前に、以下5点について予めご了承ください。

  1. まず、今回の記事はあくまでも「私が考えるハンズオンとコンサルティング」にすぎません。両方の言葉とも、通説と言われるような定義が定まってはいません。全く違うお考えをお持ちVC関係者や経営コンサルタントの方もいらっしゃると思いますし、そもそもVCも経営コンサルタントも多様です。それを強引に比較している記事であるとご理解いただければ幸いです。
  2. 私個人としては、「和魂洋才」のように、ハンズオンのスタンスとコンサルティングのノウハウをうまく融合したいと考えていますので、今回の記事もそういった考えに基づくバイアスがあるかもしれません。なお、NGCパートナーズの事業内容については「経営・財務コンサルティング」と記載していますが、これは投資ありきではないこと、言葉の分かりやすさを優先させたことが理由です。また、「協働型」を謳っているのもハンズオンのスタンスをコンサルティング活動に反映させたいという想いや実践の表れです。
  3. プライベート・エクイティファンド(以下、PEファンド)も経営支援活動を行っており、それもハンズオンと呼ぶ場合もありますが、VCや経営コンサルタントと異なりPEファンドはその仕組み上、持ち株比率(シェア)が高い株主として、実質的に経営の最終意思決定権限を持つことも多いので、その権限を前提としていないハンズオンやコンサルティングとは同列に論じることができないと私は考えます。よって、今回の記事での「ハンズオン」という用語はPEファンドのそれではなくVCが行う経営支援のことを意味するものとします。
  4. 本文中で「支援先企業」という言葉を使用していますが、これはVCにとっては投資先企業、経営コンサルにとってはコンサル先企業を意味します。なお、経営コンサルがコンサル先企業に資金を投じる(出資する)事例や、VCが投資先企業ではない企業に対しコンサルを行う事例などは説明の都合上、今回の記事の対象外です。
  5. VC業界とコンサル業界との間での人の流動性が高まっていますので、お互いがそれぞれの優れたところを取り入れていく流れも強まるのではないかと思います。そのため、ハンズオンとコンサルティングを分ける意味も薄れていくかもしれません。
さて、それではハンズオンとコンサルティングを比較していきましょう。

(1)立ち位置

・ハンズオン
 VCと支援先企業とは原則として株主と発行体の関係であり、また、支援先企業の株主価値が向上することがVCの収益の源泉であるため、「運命共同体(On the same boat)」と呼ばれます。そのため、VCの投資担当者は、支援先企業もしくは経営者とできるだけ近い立ち位置に自分たちを位置づけようとします。どこまで踏み込むかはVCごと投資担当者ごとのスタンスに依るのですが、運命共同体であるという考えが出発点となっているのは多くのVCに共通していると考えられます。但し、運命共同体であっても常に目指すべき方向が常に一致しているとは限りませんし、方向が一致していても時間軸などが一致しないこともありえます。また、投資と出口(EXIT)の場面では利害の調整・交渉が必要となることもあります。

・経営コンサル
 経営コンサルタントはあくまでも支援先企業からの業務委託を受けた立場であり、「同じ船に乗っている」わけではありません。ただし、あくまでも形式上の話であり、経営コンサルタントの中には、支援先企業の経営者に寄り添える工夫をされている方も多くいます。

(2)経営支援の基本的スタンス

・ハンズオン
 VCは支援先企業もしくはその経営者と共に考え行動します。一部の分野については「教える」というかたちも取ります。前例や参考事例がないことが多いスタートアップの世界で求められるスタンスとも言える一方、別に述べるとおりVCは経営支援の専門性が高くないことが多いためにそういった方法を取らざるを得ないという側面もあります。

・経営コンサル
 支援先の経営者や担当者に「教える」というのが基本的方法です。また、多くの場合、特定の専門分野(戦略、人事、財務、会計、営業、業務、システム等々)での支援が中心となります。高い専門性を持っているが故に教えるという方法になりがちであり、また高い専門性を維持するためには分野も限定せざるを得ないということでもあります。

(3)経営支援のチーム

・ハンズオン
 VCの担当者は多くの場合、属人的に活動しており、支援先企業への経営支援も属人的な活動に留まることが少なくありません。シニアメンバーと若手の組み合わせで活動している場合でも、属人的なことには変わりありません。ただし最近では、プロジェクト単位で専門性の高いメンバーを支援活動に参加させる例も増えています。また、第三者(VCでも支援先企業でもない、専門性を保有した別の事業体)の力を借りることには積極的ですし、その第三者の中には専門性の高い経営コンサルが含まれることも少なくありません。

・経営コンサル
 大手・中堅レベルのコンサルファームではチームを組織して、支援活動に必要な専門分野をカバーできるようにしています。中小・個人レベルではチームが組成されることは多くはないようです。

(4)経営支援の範囲

・ハンズオン
 経営全般が対象です。資金を投じている株主であるため、経営のあらゆる面について関心があるからです。VCは支援先企業の株主価値向上が儲けの源泉であり、支援先企業のあらゆる事象が株主価値に影響を与える以上、経営支援の範囲も経営全般とならざるを得ません。ハンズオンを標榜するVCの投資担当者がしばしば支援先企業の取締役などに就任することを考えると分かりやすいかもしれません。但しこのことは、全ての支援先企業の経営全般に常に関わることを意味するわけではありませんし、経営全般について専門性を持っていることを意味するわけでもありません。

・経営コンサル
 あくまでも経営の一部分(戦略、人事、財務、会計、営業、業務、システム等々)のみがその対象です。高い専門性を維持するためには分野も限定せざるを得ないということでもありますし、そもそも支援先企業からの依頼が特定の課題解決であることが多いということでもあります。但し経営コンサルタントが支援先企業の取締役などに就任することもありますが、その際は経営全般に対する助言を行うこともあるでしょう。

(5)視点

この点に関しては、他の項目と比べてもかなりバイアスがかかった見方になってしまっているかもしれません。

・ハンズオン
 「ありたい姿」「あるべき姿」にいかに近づけていくか、ということ軸とし、個別の戦略や戦術について助言するというよりは、仮説検証が適切に行われるようマネジメントサイクルの構築や運用支援を重視することが多いようです。確立されたノウハウがあるわけではないものの将来性のある産業や事業に投資し経営支援を行うのがVCの存在意義ですから、そうならざるをえないとも言えます。

・経営コンサル
 「システム」や「フレームワーク」ありきなことが少なくありません。経営コンサル会社自身が開発したシステムやフレームワークを持っていることもあり、それを売り込む狙いがあったりと、支援のための手段にすぎないはずのそれらがいつの間にか目的化してしまっているのを見ることもあります。また最近は論理的であるだけではいけないということで変わりつつあるようですが、「論理的に正しいかどうか」を重視する傾向があります。

(6)専門性

・ハンズオン
 高くはありません。ハンズオンの能力を高めるために組織的研修や訓練を行っているVCは日本では極めて限られていますし、ハンズオンの内容の妥当性や効果を組織的に検証する仕組みがあるVCも日本ではほとんど聞いたことがありません。そのため、良い意味でも悪い意味でもハンズオンの専門性は投資担当者次第になってしまっています。そもそも、VCの投資担当者は、自身を「ベンチャー投資家」などと定義している方や、投資に重きを置くのかハンズオンに重きを置くのか、といったスタンスが曖昧な方も少なくありません。ですので、経営支援に関する勉強量は多いとは言えない事例も見受けられます。

・経営コンサル
 少なくともVCよりは圧倒的に高いことが多いです。組織的研修や訓練も充実していますし、経営支援に関する勉強量も圧倒的です。

(7)結果責任

・ハンズオン
 経営支援の結果が、支援先企業の企業価値や株主価値を通じて、VCの損益に影響します。そういった意味で経営支援の結果責任を支援先企業と共有していると言えます。投資担当者自身がファンドに出資している場合は猶更です。

・経営コンサル
 法律関係上、結果責任の共有はVCほど明確ではありません。あくまでも業務委託契約の関係であり経営支援の結果責任を経営コンサルは負いません。もちろん、経営支援の結果が出ないと業務委託契約を更新してもらえない、評判悪化により新規契約が獲得できないなどの影響はありえます。

(8)ビジネスモデル上の位置づけ

・ハンズオン
 VCは「経営支援を(も)行う投資家」ですので、株式などに投資を行い、それが投資時より高い価額で売却することによる差額つまりはキャピタルゲインが儲けの源泉です。経営支援はキャピタルゲインを大きくしたり、確度を高めたりするための手段のひとつです。

・経営コンサル
 経営コンサルは支援先企業からの業務委託報酬などが儲けの源泉ですので、経営コンサルは目的そのものと言えます。但し、システムやソフトウェアを購入してもらうことが儲けの源泉である場合は経営コンサルはただの手段なのかもしれません。

(9)ノウハウの開示

・ハンズオン
 支援先企業に対してという意味合いでは、VCは経営支援のノウハウを隠す必要がありませんし、ノウハウを開示しなかった結果として株主価値向上が達成できなければ意味がありませんので、必要に応じて全て開示することが一般的です。但し、開示できるほどの専門性がない、体系化がなされていないといったことはありえます。

・経営コンサル
 経営支援のノウハウそのものが経営コンサルの強みですので、簡単にはその全てを開示することはしないようです。

(10)ネットワーク・人脈

・ハンズオン
 VCのネットワークや人脈は広いことが多いです。VCの日常の活動の中で最も重視されるのは「将来有望な未上場企業を探し出してくる」ことや「支援先企業の株主価値向上に必要なリソースを探してきて紹介する」ことなどであり、そのためにネットワークや人脈を構築すること自体も重要な業務のひとつとして多くの時間を割いています。

・経営コンサルティング
 ネットワークや人脈構築自体が業務の一部であるVCほどネットワークや人脈を構築することに時間を割けませんので、VCよりは狭いことが一般的です。

(11)担当者の質、経営に関わった経験、実務経験など

 これはいずれも担当者次第と言えますが、組織的な研修や訓練の仕組みが脆弱なVCの方が担当者の当たり外れが多いと考えられます。最近はVCの担当者の出身業界が多様になりつつありますが、業界全体で見るとまだまだ新卒採用や金融機関出身者が多く、経営支援能力の基礎となる事業会社での実務経験・経営経験の多さはあまり期待できません。しかし、両業界とも若手はやる気にあふれており、優秀で勉強熱心な人物が多いです。

以上、両者を比較してみましたが、あくまでも「理解のための比較」であり、優劣を論じたものではありません。両業界で働くことに関心がある方は、ぜひもっと情報収集して考えていただきたいですし、経営支援を必要としている事業会社等の方は自社の課題解決にどちらの方が相性が良いかなどを考えていただけると良いと考えます。
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2021年11月15日月曜日

【追加開催】「事業承継などを理由とする会社や事業の譲り渡し」を検討中の長崎県所在企業の方々を対象とした無料相談会(オンライン)

内容を更新する場合がありますので、お申込みにあたっては必ずPeatixのページをご確認ください。

「事業承継などを理由とする会社や事業の譲り渡し」を検討中の方々を対象とした無料相談会の開催日時を追加することとなりましたのでお知らせします。以下、開催概要です。

-------

M&Aについてのお悩みについて無料相談を承ります(1日2社まで。1社当たり30~60分を想定)。
お申込みいただいた方の中から先着順で対応させていただきます。

双方のニーズが合致すれば、具体的なM&Aの相手方候補となりうる第三者とのお引き合わせも可能です。お引き合わせの日時は別途の調整とさせてください。また、お引き合わせを確約するものではありませんのでご了承ください。

■お申込みはこちらから

https://www.ngc-partners.biz/cmeeting

■開催日

■当日のタイムスケジュール(予定)

13:00~ 1社目の企業様の相談時間
14:00~ 2社目の企業様の相談時間

■無料相談会の対象

以下の両方に該当する方を対象としています。
  1. 本社や本店が長崎県内の中小企業で、
  2. 上記企業のオーナー(株主等)、代表者(代表取締役等)もしくは後継者(候補含む)の方

■対応可能なご相談

(1)以下のようなM&Aに関することについて、「まずは何をすればよいか」、「本格的に検討・推進する場合にはどこに相談したら良いか」といった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。
後継者が親族・社内にいないため、現在の経営方針を尊重した上で会社を承継してくれる第三者を探したい。一部の事業について、自社で運営するのではなく、第三者に運営を受け渡したい。有力な他社のグループに入り営業力や企画開発力などの強化を行い、事業を拡大したい。同業他社と経営統合を行い、管理部門などの重複機能の効率化を行うなど企業体力を増強したい。事業承継ファンドに会社を承継することについて検討したい。

(2)すでにM&Aアドバイザーがいらっしゃる方でも、「M&Aのセカンドオピニオン」を得たいが、どう進めていいか分からないといった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。

■NGCパートナーズについて

概要 https://www.ngc-partners.biz/about
事業 https://www.ngc-partners.biz/business

■遵守事項

  • 無料相談会でお預かりした内容は、秘密情報として取り扱い、御相談者様の方の事前の承諾なく第三者に開示することは致しません。
  • 御相談対象の企業様の具体的な承継先・受け渡し先となりうる企業様とお引き合わせをさせていただくことも可能ですが、その際も相談者の方のご希望や事前の承諾なく当該企業様に情報を開示することは致しません。

■お断り事項

  • Web会議の録画・録音は固くお断り申し上げます。
  • 代理の方のご出席はご遠慮ください。
  • M&Aアドバイザー等の同席はご遠慮ください。

2021年11月6日土曜日

「M&Aによる事業承継をご検討中」の長崎県所在企業の方々を対象とした無料相談会(オンライン)を開催

内容を更新する場合がありますので、お申込みにあたっては必ずPeatixのページをご確認ください。

「M&Aによる事業承継をご検討中」の長崎県所在企業の方々を対象とした無料相談会をオンラインで開催しますのでお知らせします。以下、開催概要です。

-------
M&Aについてのお悩みについて無料相談を承ります(1日2社まで。1社当たり30~60分を想定)。
お申込みいただいた方の中から先着順で対応させていただきます。

双方のニーズが合致すれば、具体的なM&Aの相手方候補となりうる第三者とのお引き合わせも可能です。お引き合わせの日時は別途の調整とさせてください。また、お引き合わせを確約するものではありませんのでご了承ください。

■お申込みはこちらから

https://www.ngc-partners.biz/cmeeting

■開催日時と当日のタイムスケジュール(予定)

・開催日
 2021年11月13日(土)、同20日(土)、同27日(土)
・開催時間(全日程共通)
 13:00~ 1社目の企業様の相談時間
 14:00~ 2社目の企業様の相談時間

■無料相談会の対象

以下の両方に該当する方を対象としています。
  1. 本社や本店が長崎県内の中小企業で、
  2. 上記企業のオーナー(株主等)、代表者(代表取締役等)もしくは後継者(候補含む)の方

■対応可能なご相談

(1)以下のようなM&Aに関することについて、「まずは何をすればよいか」、「本格的に検討・推進する場合にはどこに相談したら良いか」といった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。
後継者が親族・社内にいないため、現在の経営方針を尊重した上で会社を承継してくれる第三者を探したい。一部の事業について、自社で運営するのではなく、第三者に運営を受け渡したい。有力な他社のグループに入り営業力や企画開発力などの強化を行い、事業を拡大したい。同業他社と経営統合を行い、管理部門などの重複機能の効率化を行うなど企業体力を増強したい。事業承継ファンドに会社を承継することについて検討したい。

(2)すでにM&Aアドバイザーがいらっしゃる方でも、「M&Aのセカンドオピニオン」を得たいが、どう進めていいか分からないといった疑問・お悩みのご相談に乗ることができます。

■遵守事項

  • 無料相談会でお預かりした内容は、秘密情報として取り扱い、御相談者様の方の事前の承諾なく第三者に開示することは致しません。
  • 御相談対象の企業様の具体的な承継先・受け渡し先となりうる企業様とお引き合わせをさせていただくことも可能ですが、その際も相談者の方のご希望や事前の承諾なく当該企業様に情報を開示することは致しません。

■お断り事項

  • Web会議の録画・録音は固くお断り申し上げます。
  • 代理の方のご出席はご遠慮ください。
  • M&Aアドバイザー等の同席はご遠慮ください。

2021年11月1日月曜日

M&Aバリュエーション基礎5 基本用語解説四回目 DCF法

引き続き、バリュエーションの基本用語の解説です。今回は、DCF法に関連する用語について解説します。

■DCF法

「Discounted Cash Flow」の頭文字をとったもので、未上場企業のバリュエーションの際に利用される最も一般的な方法のひとつです。企業の価値は、その企業が将来生み出すキャッシュフローの現在価値の合計であるという企業ファイナンスの基本的な考え方に則った方法です。

なお、表記ですが実務上は「DCF法」や「ディスカウント・キャッシュフロー法」などが使われます。英語表記をそのまま日本語読みした「ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法」が使われることもありますし、稀に「割引キャッシュフロー法」が使われることもあります。

対象会社の将来キャッシュフロー予測(事業計画等から計算します)や、算定の過程で利用する株式市場の係数(βやリスクプレミアム)などの多くの前提条件の下計算を行う方法であるため、計算結果の利用方法については慎重に検討する必要があります。理論としては綺麗なのですが、前提条件次第で計算結果が大きく異なってしまうからです。

また、専門家に依頼してDCF法でバリュエーションを行ってもらった場合、専門家ごとの癖のようなものがあり、βやリスクプレミアムは精緻に計算しているにも関わらず将来キャッシュフローの予測値は結構いい加減、ということもあります。依頼する側の企業オーナーや経営者は逆に将来キャッシュフローの予測の方に重きを置く傾向がありますので、齟齬が生じやすい場面でもあります。

算出の手順を簡単にまとめると、
  1. 対象会社の事業計画(損益計画や予想貸借対照表など)から将来キャッシュフローを計算します。事業計画はすでに策定されているものがそのまま使用されることはあまり多くはなく、経営の実態や、すでに決定されている将来の事項に関することなどを反映し修正されたものを使用します。
  2. 上記将来キャッシュフローと、上場している類似会社のβ(ベータ)及び日本の株式市場のリスクプレミアムの数値等を元に対象会社の将来キャッシュフローの現在価値の合計値(=事業価値)を算出します。
  3. 当該事業価値に投融資(事業に関係のない資産の時価)と現預金額を加算し、有利子負債を差し引くことで株主価値を計算します。
という流れとなります。詳細は計算式を含め後日解説します。

■実効税率

株式会社の実質的な法人税等の税率のことを意味します。地方税が含まれるため、都道府県ごとに異なる可能性があります。また、外形標準課税の対象となる企業かそれ以外か、などの条件により異なる可能性もあります。そのように各種前提で変動するので実務上は40%や35%などの簡素化した数値が採用されることもあります。ある程度正確に知りたい場合は、顧問税理士の先生にご確認ください。

■NOPAT

「税引き後営業利益」を指す「Net Operating Profit After Taxes」の頭文字をとったものです。定義が違い用語としてはNOPLATというものもありますが、この連載の前提の下では両者は同じ意味とお考えいただいて問題ありません。
NOPATは後述のフリーキャッシュフロー算定の前提となる指標です。
計算式は
  NOPAT=営業利益×(1-実効税率)
が一般的に利用されます。

■FCF

FCFはフリー・キャッシュ・フローの頭文字をとったものです。先述のNOPATに非資金費用である減価償却費及びのれん償却費をプラス、設備投資額をマイナス、運転資本増減を加算・減算して算出します。企業は自由に使えるお金、という意味の言葉であり、バリュエーションの世界では、企業の目的はこのFCFを稼ぐこと、増やすことを通じて株主価値を向上させること、となっています(あくまでも、バリュエーションの世界では、の話です)。
  FCF=NOPAT+減価償却費+のれん償却額-設備投資額±運転資本増減
運転資本増減はある期の運転資本と、その前の期の運転資本の金額を比較して算出します。運転資本は、「売上債権+棚卸資産-仕入債務」で計算します。運転資本が増加するということは手元資金(つまりはFCF)が減ることを意味し、運転資本が減少するということは手元資金(つまりはFCF)が増えることを意味します。

■割引率

現在の10,000円と、1年後の10,000円が等価ではないことを例に説明されます。低金利の世の中では例として少し実感しにくくなってしまいましたが、現在の10,000円は運用して増やすことができますので、例えば1%の利回りで運用した場合、1年後には10,100円となっています。ですので、ファイナンスの世界では現在の10,000円と等価なのは1年後の10,100円と考えます。逆に1年後の10,000円と等価なのは、10,000円を101%で割った約9,900円と考えます。この1%のことを割引率と呼びます。そして、9,900円のことを10,000円の割引現在価値と呼びます。

教科書的な定義は、「将来の価値を現在の価値で表すために用いる率のことを割引率と言い、その現在の価値のことを割引現在価値と言う」です。

DCF法ではほとんどの場合、「加重平均資本コスト(Weightted Average Cost of Capital)」が採用されます。株主資本の調達コストと負債の調達コストが、それぞれ株主や債権者から期待されている割引率であると考え、それを金額割合で調整した加重平均資本コストが企業全体の割引率である、と考えます。実務上はアルファベットの頭文字をとって「WACC」と表記し、「ワック」と読みます。

計算式は
  WACC₌D/(D+E)×rD×(1-T)+E/(D+E) × rE
が使われます。Dは有利子負債額、Eは株主資本額、Tは実効税率、rDは有利子負債の利子率、rEは株主資本コストを意味します。詳細は具体的計算過程の解説の際にご説明します。

■リスクプレミアム

リスクのある資産(典型的な例は株式です)に期待される収益率と、無リスク資産(日本では一般的には10年物国債です)の収益率の差を意味します。通常、投資家はリスクのある資産にはリスクのない資産よりも大きなリターンを期待しますので、リスクプレミアムは多くの場合、正の数値となります。減る可能性がある資産にはその分増える可能性があることを期待し、減る可能性が低い資産には増える可能性を求めない、ということです。

専門家でな限り、自分でリスクプレミアムを算出することは難しいため、各国のリスクプレミアムを測定し公表しているニューヨーク大学ダモダラン教授による調査結果を利用します。なお、同調査結果によると日本の株式投資のリスクプレミアムは「5.40%」ですので、投資家が日本で株式投資を行う際には、国債利回りに5.4%を加算した数字よりも大きなリターンを期待していると理解できます。

■β(ベータ)

株式市場の平均株価等が1%変化したときに、ある特定の業種の平均株価や、ある特定の企業の株価がどの程度変化するかを表す指標です。たとえば東証株価指数(TOPIX)が1%上昇したときに、ある特定の企業の株価が0.7%上昇した場合はその特定の企業のβは0.7である、と表します。

全ての上場企業にはβが存在するため、DCF法の計算過程で選んだ類似会社のβを利用するのですが、専門家でない限り自分で算出する必要はなく、金融系ニュースサイトや証券会社の投資情報ページから情報を入手して利用します。よく使われるのがReutersのWebサイトです。個別銘柄名で検索した後、「指標」のページを見ると「ベータ値」として掲載されています。

また、各国の業種ごとのβ値を測定し公表しているニューヨーク大学ダモダラン教授による調査結果を利用することもあります。


次回は、その他のバリュエーションの方法の基本用語について解説予定です。

2021年10月25日月曜日

M&Aの基礎知識:FA形式と仲介形式

M&Aについては本日現在、バリュエーションについての記事を連載中ですが、それとは別に単発テーマを取り扱う「M&Aの基礎知識」のコーナーも不定期で掲載します。

今回は、中小M&Aにおける論点として「FA形式と仲介形式」について取り上げます。

なお、NGCパートナーズでは、中小M&Aガイドライン遵守宣言にも記載したとおり「利益相反リスクを完全には排除できないため、原則として仲介契約は締結しない」という方針ですので、仲介形式には若干否定的な立場です。

ですが、仲介形式にはFA形式にはないメリットもあるのも事実ですので、仲介形式に肯定的な解説や、中立な立場の解説など含め、同様の記事にいくつか目を通したり、実際にM&Aアドバイザーを活用したことがある経営者に話を聞いたりすることをお勧めします。

1.M&Aアドバイザーとは?

 ファイナンシャル・アドバイザー(FA)や、M&Aコンサルタントと呼ぶこともあります。
 M&Aに必要な専門知識やネットワークを保有していて、それを活用してM&Aの当事者である買い手や売り手に対し、助言やサポートを行います。「代理」という用語が使用されることもありますが民法上の代理権はない事例が大半です。

 以下、日本M&Aアドバイザー協会のWebサイトからの抜粋です。
「M&Aアドバイザー」とは、M&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担うM&Aのスペシャリスト(専門家)を意味し、「M&Aコンサルタント」や「ファイナンシャルアドバイザー(FA)」等とも呼ばれます。
   (中略)
「M&Aアドバイザーの仕事は財務会計・税務・法律のるつぼ」と表現される様に、その業務範囲は広く、幅広い知識と能力を必要とします。また、M&Aアドバイザーとしてプロフェッショナルになる為には、財務会計・税務・法律の他に、経営を理解し、交渉やファシリテーション等のコミュニケーション能力の高さも必要となります。
   (中略)
顧客の経営戦略という重要課題のサポートを行い、日本経済を支える企業経営における重要な部分のお手伝いをするのがM&Aアドバイザーです。(以下、略)
なお、そもそも「M&Aアドバイザー」は利用した方が良いのか?メリットは?とお悩みの方は、同協会の以下のページをご覧ください。
 買収を検討されている方はこちら。
 売却・譲渡を検討されている方はこちら。

2.FA形式と仲介形式の概要

 M&Aアドバイザーが買い手や売り手に助言やサポートを行うにあたって、形式が大きく二つに分かれます。日本M&Aアドバイザー協会のWebサイトには以下のように記述されています。
通常、企業がM&Aを実行する場合、M&Aアドバイザーに契約成立までの一連のサポートを依頼しますが、アドバイザーの関わり方には、主に「アドバイザリー形式」と「仲介形式」という二つの着任形式があります。アドバイザリー形式の場合には、売り手と買い手それぞれにM&Aアドバイザーが着任する形となり、売り手と買い手、それぞれの立場で助言を行います。一方、仲介形式の場合には、売り手と買い手の間に、M&Aアドバイザーが着任する形となり、売り手、買い手の間に立って、中立的な立場で助言を行い、媒介とも呼ばれることもあります。
分かりやすく図示すると以下のようになります。

左図のような、買い手側と売り手側それぞれに異なるM&Aアドバイザーが付く形式が「FA形式」(上記協会の引用文は「アドバイザー形式」となっていますが同じ意味)です。FAはファイナンシャル・アドバイザーの頭文字をとったものです。キーワードは「交渉」です。FAは依頼主の利益のために活動する、という形式であるため、依頼主の利益を最大化することができるというメリットがあります。

一方で、右図のように、買い手側と売り手側の間にM&Aアドバイザーが付く形式が「仲介形式」です。キーワードは「調整」です。買い手のことも売り手のことも理解している仲介会社が介在することで、M&Aが円満に進んだり、成約に至りやすいというメリットがあります。

3.FA形式と仲介形式を比較した際の主な論点

(1)FA形式は日本の中小M&A文化に合わないというのは本当か

 先述のとおり、FA形式のキーワードは「交渉」です。買い手・売り手それぞれにM&Aアドバイザーが就任し、買い手のアドバイザーは買い手の利益のために活動する、売り手のアドバイザーは売り手の利益のために活動する、という原則の下、両者間で「交渉」が行われます。依頼主の利益のために交渉するというのは当たり前のことではあるのですが、中小M&Aの場合、「交渉」が行き過ぎると後々災いを呼び込む可能性が高いということが言われます。

M&Aというのは手続きとしては株式譲渡などによる経営権の移転で終了ですが、経営権の移転というのはその後の経営によりシナジーの実現など、M&Aの目的を達成するためのスタートでしかありません。そして、シナジーの実現のためには、当事者間の協力体制を築くことが必要不可欠です。しかし、M&Aの段階で「交渉」が行き過ぎた結果、当事者間にしこりが残り、その後の協力体制構築に悪影響が出る場合があります。キーパーソンが退職するといったこともあります。事業の実務を遂行するにあたって「仕組み」の割合が比較的大きな大企業の場合は影響が少ないかもしれませんが、「人」の割合が大きな中小企業では致命的な影響になりかねません。

といったことがFA形式の懸念点としてよく挙げられるのですが、FA形式→交渉が主→軋轢を産む可能性大、という流れはかなり短絡的であると私は考えます。結局のところ、FAであろうと仲介会社であろうと、依頼主の希望を叶えるために活動する立場ですから、その活動姿勢にも依頼主の考えや想いが反映されます。「徹底的に安く買いたい(高く売りたい)」という考えで且つM&A後の経営を考慮しないタイプの依頼主であれば、FA形式であろうと仲介形式であろうと、軋轢を産む可能性があるでしょう。逆にM&A後の経営も考慮している依頼主の下であればFA形式であってもそうそう軋轢を産むことにはなりません。

以上のことから、「FA形式は日本の中小M&A文化に合わない」可能性はあるものの、より重要なのは依頼主の考えや姿勢である、と言えると考えます。

(2)仲介会社は中立な助言をしてくれるのか

 仲介形式は上図のとおり、買い手と売り手の間にたって、両者の利益や思惑の「調整」を行います。「交渉」がキーワードとなるFA形式よりも、円満な合意に至りやすいとも言われています。一方で、必ず付きまとうのが「利益相反」というキーワードです。

上記のとおり、FAや仲介会社は法律上の代理人ではないのですが、それに近しい立場であるため、民法第108条第2項の趣旨である「利益相反行為の制限」の考えと取り入れ、M&Aでも仲介形式は避けるべきである、と言われることが少なくありません。
民法第108条(自己契約・双方代理)
1 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
具体的な利益相反としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。
  • 買い手と売り手との間で、株式譲渡額が論点となっている際、仲介会社がどちらか一方に有利な株式譲渡額を提案する。
  • 対象会社に何かしらの問題が発見された場合に、仲介会社が買い手側に適切にそのことを伝えない。
といったことが考えられます。また、
  • 多くの場合、「売り手は一度会社を売ってしまえば、仲介会社のリピーター顧客にはなりにくい(売り手が何社も会社を保有しているような事例を除いて)」、一方で「M&Aに積極的な買い手は、また別のM&Aの場面で仲介会社のリピーター顧客となることがありうる」ため、仲介会社は構造的に売り手側よりも買い手側の意向を重視しやすい傾向がある。
といったことも言われます。

仲介形式を採用する以上、「利益相反」のリスクは完全には排除することができません。依頼主側としては、M&A仲介会社やその経営者の実績や姿勢、担当コンサルタントの人柄などを見極める、任せっきりにしないで意思決定をしていくなどの方法でリスクを低減していくべきです。

なお、NGCパートナーズでは、「経営・財務コンサルティング先の事業者の成長戦略や事業承継に必要な場合のみM&Aアドバイザーを引き受ける」という方針であるため、原則としてFA形式のみ対応しており、利益相反を回避できない仲介契約は締結しないこととしています。当事者一方と従前から経営・財務コンサルティングに関する契約を締結している以上、仲介契約を締結しても、中立な立場でM&Aアドバイザー業務を行うことは難しいからです。

(3)仲介形式の方が低コストというのは本当か

 中小M&Aにおいて、FA形式は仲介形式に比べコストが高く、採用しずらいと考えられています。FA形式ではM&Aアドバイザーが2社(者)関与する一方、仲介形式はM&Aアドバイザーが1社(者)しか関与しないため、仲介形式の方が低コストと見られているようです。

多くの場合、そうであるかもしれません。しかし、中には仲介会社が買い手からも売り手からもFA形式と同水準の報酬を受け取る事例も少なくないようです。もちろん、それに見合った活動をしてくれたら問題はないのですが、FA形式=高コスト、仲介形式=低コスト、と短絡的に考えるのではなく、個別具体的に見極めることが重要です。

2021年10月24日日曜日

コンテンツ紹介:NGCパートナーズのWebサイト20211024


NGCパートナーズのWebサイトに少しずつコンテンツを追加しています。

1.TOPページ https://www.ngc-partners.biz/

TOPページには、
  • 新着情報
  • 過去の新着情報(2021年)
  • COVID-19感染拡大防止への取り組み
  • 免責事項
  • プライバシーポリシー
を掲載しています。Webサイトを開設して間もないこともあり、こまめにアップデートを行っていますので、新着情報は多めになっています。Web会議だけでは完結しない業務もあることから、新型コロナ(COVID-19)の感染対策についても紹介しています。

2.事業者の概要  https://www.ngc-partners.biz/about

事業者の概要のページには
  • 事業者の概要
  • 代表者の略歴
  • 代表者メッセージ
  • 中小M&Aガイドライン遵守宣言
を掲載しています。「代表者メッセージ」は、核や軸となる部分は不変としつつも、内容の追加や表現の変更を適宜行っていますので、ときどきご確認いただけると嬉しいです。「中小M&Aガイドライン遵守宣言」は登録M&A支援機関でない以上、掲載の必要はないのですが、中小M&Aガイドラインを遵守していることを示すため掲載しています。

3.事業の概要 https://www.ngc-partners.biz/business

事業の概要のページには、
  • 事業の概要
  • 中小M&Aのセカンドオピニオン
  • 公開可能な買収希望情報
  • 解説記事のピックアップ
を掲載しています。事業項目それぞれについての詳細な説明は今後適宜追加したいと考えていますが、作成済みであった「中小M&Aガイドライン」について先行して掲載しています。「買収希望情報」は公開できる案件がある場合のみ一部情報を掲載する方針です。「解説記事のピックアップ」はNGC Partners Weblogの中で主に連載しているものを分かりやすく列挙したものです。

4.NGC Partners Weblog https://www.ngc-partners.biz/blog

NGC Partners Weblogのモバイルページを埋め込んで表示しているページです。

5.Contact https://www.ngc-partners.biz/contact

コンサルティングやプライバシーポリシーに関するご依頼、ご相談やその他のお問い合わせをお預かりするページです。


今後も随時コンテンツを追加し、充実した段階で本格的なサイトにリニューアルさせたいと考えています。当ブログと合わせてご覧いただければ幸いです。

2021年10月21日木曜日

コンテンツ紹介:公開可能な買収希望情報

NGCパートナーズのWebサイトでは、受託しているM&Aアドバイザリー業務の中から、公開可能な「買収希望」情報の一部を掲載しています(買収希望とは、会社や事業を買収したいという希望、を意味しています)。

注意点としては
  1. 加入している日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)のデータベースのページに詳細を掲載している。
  2. クライアントの意向によりそもそも掲載していない案件や、JMAAの正会員のみに限定して詳細情報を公開している案件も含まれる。
  3. 経営・財務コンサルティングの一環としてM&Aアドバイザリーを行っているので、買い手側FAとして活動している事例が大半である(また、同様の理由で仲介業務は原則として行っていない)。
などがあります。

本日時点の案件は以下のとおりです。会社の譲渡・売却等をお考えの企業オーナーの方、該当するクライアントがいらっしゃるM&Aアドバイザーの方、ぜひこちらからご連絡ください。
1.福岡県内での食品製造業、木材・木製品製造業等の買収希望
 JMAA正会員のみに公開。
 JMAAの案件管理システムからご確認ください(買収希望ID349)。

2.長崎県内での食品製造業、木材・木製品製造業等の買収希望
 JMAA正会員のみに公開。
 JMAAの案件管理システムからご確認ください(買収希望ID348)。

3.福岡県内でのビルメンテナンス業の買収希望
 一般に公開。詳細はこちらからご確認ください。

4.福岡県内での洗濯業の買収希望
一般に公開。詳細はこちらからご確認ください。

5.福岡県内での麺類製造業の買収希望
一般に公開。詳細はこちらからご確認ください。

情報の更新などの可能性ありますので、最新情報はこちらからご確認ください。

2021年10月19日火曜日

M&Aバリュエーション基礎4 基本用語解説三回目 マルチプル法

引き続き、バリュエーションの基本用語の解説です。
今回は、EV/EBITDA倍率法に代表されるマルチプル法(類似会社比較法)に関連する用語について解説します。

■マルチプル法(類似会社比較法)

マルチプル法は、他の方法に比べ比較的簡便であることから、未上場企業のバリュエーションの際に利用される最も一般的な方法のひとつで、類似会社比較法とも呼ばれます。バリュエーションの対象となる会社と類似の事業を行う上場企業を複数選定し、それらの企業の企業価値に関する指標を参考にして、対象となる会社の株主価値を算出しようとする方法です。マルチプル法にも複数の方法があり、M&AのバリュエーションではEV/EBITDA倍率法が最もよく使われます。
算出の手順を簡単にまとめると、
  1. 類似会社(上場企業)の財務数値と株価から、当該類似会社の事業価値がEBITDAの何倍になっているかを算出し、その平均値を計算します(EV/EBITDA倍率)。
  2. 対象会社の修正EBITDAにEV/EBITDA倍率を乗ずることでその事業価値を計算します。
  3. 当該事業価値に投融資(もしくは非事業用資産、事業に関係のない資産の時価のこと)と現預金額を加算し、有利子負債を差し引くことで株主価値を計算します。
という流れとなります。詳細は計算式を含め後日解説します。

■類似会社

バリュエーションの対象会社と同様の事業を行っている上場企業のことです。ただし、多くの上場企業は複数の事業を行っているため、対象会社と売上構成が一致している例はあまりありません。そのため、類似セグメントの売上割合や利益の割合なども勘案し選定します。

■EBITDA

「利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益」のことで、「earnings before interest, tax, depreciation, and amortization」の頭文字をとったものです。中小M&Aのバリュエーション上での計算式は「EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額」を使用します。費用発生時点でのキャッシュアウトがない減価償却費とのれん償却額を営業損益に足し戻すことで、簡易な営業キャッシュフロー(つまりは本業で稼ぎ出すキャッシュフロー)として捉えられるという理由や、企業ごとの会計処理に違いがあることが多い減価償却費などの影響を排除することで企業間での数値比較をしやすくする意味などがあり、EBITDAを使用します。多くの解説文では「EBITDA=営業損益+減価償却費」と記載されているのですが、M&Aが一般的になったこともありのれんの償却が発生している企業も増えたので、「EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額」と覚えておく方がより正確です。

■類似会社(上場企業)の株主価値

株式時価総額のことです。上場企業である類似会社は日々株式市場で株価が推移していますので、その株価を利用し、「株主価値=時価総額=株価×発行済株式総数」という計算式で算出します。株価は証券会社のWebサイトやYahoo!ファイナンスなどを利用して調べます。発行済株式総数は当該類似会社の有価証券報告書などで確認します。

■EV/EBITDA倍率

事業価値がEBITDAでの何倍であるかということを表す指標です。倍率のことをマルチプルと呼ぶことからここでの企業価値算定方法は実務上、マルチプル法と呼ばれます。

■非流動性ディスカウント

上場企業の株式は理論上は上場市場を通じていつでも売買ができることになっています。そのことを「流動性がある」と言います。一方で未上場企業の株式は日々取引がされているわけではなく、売買の機会は限られているので「流動性がない」と言います。このように両者の株式の換金のしやすさには差があるため、それを調整するための項目として非流動性ディスカウントが使われます。

■有価証券報告書

主に上場企業が金融商品取引法(以前の証券取引法)で開示を義務付けられている資料で、投資家がその上場企業の株式へ投資を行うか否かの判断に利用します。企業や事業の概要や、決算数値の詳細が載っているため、上場会社である類似会社の詳細な情報を調べる際に使用します。当該類似会社のWebサイトや金融庁のEDINETからダウンロードが可能です。

次回はディスカウントキャッシュフロー法(DCF法)に関連する用語を取り扱う予定です。


2021年10月8日金曜日

M&Aバリュエーション基礎3 基本用語解説二回目 企業財務の基本バランスシート2

前回に引き続き、バリュエーションの基本用語の解説です。
今回は、前回ご紹介した「企業財務の基本バランスシート」に関連する用語について解説します。


■投融資

「非事業用資産」と表記することもあります。いずれにせよ、事業に使用していない資産はすべてここに含まれると考えて実務上は差し支えありません。ほとんどの保有有価証券、他社への融資・貸付などが該当します。役職員用の保養施設などは利用実態や事業への貢献度合いに合わせて、ここに含める含めないを判断します。

■現預金

文字どおり現金と預金の合計を意味するのですが、短期売買目的の株式等を保有している場合は、短い時間で確実に現金化できると考え、現預金に含む取り扱いにすることがあります。

■事業価値

M&Aのバリュエーションで最も肝となる用語です。教科書的な定義は「その企業が稼ぎ出す将来のFCFの現在価値の合計」ですが、まずは「その会社が現在から将来にわたって稼ぎ出す(予想・計画の)キャッシュフローや利益を元に、一定の計算方法で算出される、事業そのものの価値」と理解しておいてください。「一定の計算方法」というのが、本連載での説明の中心となる類似会社比較法やディスカウント・キャッシュフロー法(DCF法)などのことを意味しています。
なお、エンタープライズ・バリュー(EV)はこの事業価値のことを指します。EV=企業価値、との誤解がよく見受けられますのでご注意ください。

■企業価値

事業価値に、非事業用資産である投融資及び現預金を足し合わせたものです。貸借対照表の総資産に対応しそうに見えますが、実際には数値が一致しないことがあります。

■有利子負債

文字どおり、利払いが必要な負債、を意味します。金融機関からの借入、リース債務が典型例です。役員借入金はバリュエーション上の有利子負債には含まないことが一般的です。中にはしっかりと金銭消費貸借契約を締結して、利払いもしている例もあり、その場合は一見して有利子負債と考えられなくもないですが、資本金に近い性質を持つものとして、実務上は有利子負債には含まずに計算します。

■純有利子負債(NetDebt)

有利子負債から、現預金を差し引いたものを意味します。現預金の方が多い場合は「NetCash」と呼びます。日本語にすると「純現預金」ですが、実務上は「ネットキャッシュ」ということが一般的です。

■株主価値

企業価値から、有利子負債を差し引いたものを意味します。貸借対照表の純資産・株主資本に対応しそうに見えますが、実際には数値が一致しないことがあります。
なお、株式上場に関わるバリュエーションで採用されるPER倍率法・PBR倍率法・PSR倍率法は、この株主価値に該当する株式時価総額を直接的に計算する方法です。

次回も基本用語の解説を続けます。次回はEV/EBITDA倍率法に代表されるマルチプル法(類似会社比較法)に関連する用語を取り扱う予定です。


2021年9月27日月曜日

M&Aバリュエーション基礎2 基本用語解説一回目 企業財務の基本バランスシート1

今回から数回の間、バリュエーションの基本用語についての解説を行います。実際の計算方法などの中で説明すると文字数が多くなりすぎ分かりにくくなるため、先に解説するものです。まずはザッと読んでいただき、実際の計算方法などの解説回を読む際に適宜用語解説に戻り読み返していただければと思います。

■基本用語解説:「貸借対照表」と「企業財務の基本バランスシート」

前回説明したとおり、バリュエーションとは一般的に「企業価値算定」のことを意味しており、さらに言うと多くの場合、「株主価値(株式価値や時価総額とも言います)を算出すること」を意味します。そして、株主価値はその企業の価値や資産額から負債を差し引いた概念で表すことができるため、一般的な「貸借対照表」と「企業財務の基本バランスシート」を図のかたちで理解しておくことが必要です。

(1)貸借対照表

一般的な貸借対照表は「簿価純資産法」や「時価純資産法」でのバリュエーションを行う際の前提となる図です。


簿価純資産法
は企業の貸借対照表の数値をそのまま使用するもの(つまりは純資産額を株主価値と捉えるもの)で、実際の中小M&Aではほぼ利用されることはありません。ほとんどの中小企業の貸借対照表上の資産の数値はその資産の現在における実際の価値(時価)を反映しておらず、それをそのまま採用して行われたバリュエーションの結果はM&Aなどの場面で利用するには不適切であるからです。

一方で、時価純資産法は中小M&Aでは最もよく利用されるバリュエーションの方法です。貸借対照表上の資産を個別に時価に置き換えことで時価の総資産額を把握し、そこから負債を差し引いて時価純資産を計算し、時価純資産を株主価値と考える方法です。直感的にも納得しやすい方法であると言えます。

(2)企業財務の基本バランスシート

企業財務の基本バランスシートは一般的な貸借対照表を、バリュエーションの考え方にもとづき組み替えたもので、下図のようなかたちをしています。中小M&Aでは簡略化されたものが利用されることが多いようです。バリュエーションの方法として有名な「ディスカウント・キャッシュフロー法(DCF法)」や、EV/EBITDA倍率法などを考える前提として覚えておく必要があります。



今の段階では、上記内容をざっくりと理解しておいていただければと思います。詳細は個別の用語解説や計算方法解説で触れていきます。

次回は企業財務の基本バランスシートの図の中に登場する用語について解説します。


2021年9月24日金曜日

Webサイト開設のお知らせ

NGCパートナーズのWebサイトを開設しましたのでお知らせします。まだ必要最低限の内容で、これからコンテンツを充実させていきます。事業の最新情報などは引き続き当ブログに掲載しますが、Webサイトもよろしくお願い致します。

 NGCパートナーズ https://www.ngc-partners.biz/

なお、上記Webサイト開設のためのドメイン取得に合わせて事業用メールアドレスも変更しました(従来のものも当面の間は使用可能ですので、徐々に移行します)。

2021年9月14日火曜日

「M&A支援機関に係る登録制度」への登録見送りと今後の方針について


昨日2021年9月13日に中間結果が公表された「M&A支援機関に係る登録制度」ですが、検討の結果、NGCパートナーズとしては現時点では登録は行わないことと致しました。
NGCパートナーズは「経営・財務コンサルティング事業者」であり、M&Aに関するファイナンシャルアドバイザリー(以下、「FA業務」)専業ではないことが主な理由です。なお、仲介業務は従前から実施しておりません。

今後は以下の方針で取り組んで参ります。
  1. FA業務は現在受託しているものへの取り組みに集中し、今後の新規受注は原則として行いません。もしご相談を受けた場合は原則として信頼できる他のFA事業者をご紹介します。ご紹介するのは日本M&Aアドバイザー協会所属のFA事業者を主に想定しています。
  2. 経営・財務コンサルティングを行う中で、コンサルティング先事業者様の成長戦略や事業承継対策等としてのM&Aが検討されるなど、当該事業者様からの追加での依頼としてFA業務のご相談を受けた場合は受託する場合があります。
  3. 上記「2」のため、日本M&Aアドバイザー協会への所属は継続し、各種情報収集やネットワーク構築は行います。
  4. NGCパートナーズ事業概要に記載している「事業承継・プレM&A支援」は引き続き実施します。内容としては、経営の現状及び課題の可視化支援、課題解決策の実行支援、コーポレートガバナンス構築支援、内部統制・管理体制構築支援、事業用資産や株式の集約整理支援、セラーズDD、バリュエーション実施、その後の通常のM&Aアドバイザリー業務などです。
  5. M&Aのセカンドオピニオンサービスは引き続き実施します。
  6. FA業務を行う場合は、中小M&Aガイドラインを遵守します。
今後、方針を変更する場合は都度ご案内申し上げます。
以上、よろしくお願い致します。

2021年9月8日水曜日

M&Aバリュエーション基礎1 売り手自身によるバリュエーション実施の必要性

バリュエーションとは一般的に「企業価値算定」のことを意味しており、さらに言うと多くの場合、「株主価値(株式価値や時価総額とも言います)を算出すること」を意味します。

このシリーズでは、中小M&A(未上場株式である前提です)でのバリュエーションを「売り手自身」で(ある程度まで)行えるようになることを目指します。第一回の今回は「売り手自身によるバリュエーション実施の必要性」をご紹介します。ここでの売り手とは、M&Aの対象となる会社の株主等のオーナー(場合によっては経営者も含みます)を意味します。なお、新規上場や、ベンチャーキャピタル(VC)等からの資金調達の際のバリュエーションはこのシリーズでは範囲外としていますのでご注意ください。

多くのM&Aの実務では公認会計士、監査法人やバリュエーションの専門会社が行いますし、中小M&Aの場合ですとファイナンシャルアドバイザー(FA)、仲介会社が行うことも少なくありません。ですので、売り手自身が行う必要性はないのでは?とお考えの方もいらっしゃると思います。確かに精緻なバリュエーションはそれらの専門家に任せた方が良いですが、それでも以下のとおり売り手自身がバリュエーションを実施する必要性や、実施した方が良い理由があります。

1.「自社(対象会社)の実態」を知ることができる

バリュエーションの過程では、
  • 自社(対象会社)の資産や負債を精査してその実態を数値化する
  • 売上や原価・費用を修正してその実態を数値化する
といったことを行います(理由は別記事で解説予定です)。
そして、実態値や修正後の値は売り手が把握・想定していた数値と乖離があることが普通です。売り手はその乖離の理由や金額が見えるようになることを通じて自社(対象会社)の実態を知ることができるのです。
実態を知ることができれば、自社の企業価値を向上させる方法を検討したり、急に経営判断を求められた際により適切に判断ができたりする可能性が高まります。

2.M&Aのプロセスにおいて早い段階から、根拠がある「自社(対象会社)の価額」の目線を持つことができる

多くの中小M&Aの場合、売り手側は、
  1. 自分たちの手元に必要な金額をそのまま売却希望額の根拠にしてしまう
  2. 「できるだけ高く売りたい」といったような曖昧な目線のまま話を進めてしまう
  3. 自社(対象会社)の価値を過大に評価してしまう(そのことによってM&Aプロセスがとん挫してしまう)
  4. 自社(対象会社)の価値を過少に評価してしまう(そのことによってM&Aが成約した場合でも、後日後悔をしてしまう)
といったトラブルや失敗をしてしまうことがあります。しかし、売り手が自分自身でバリュエーションを実施していると、(一定の)根拠がある「自社(対象会社)の価値」の目線を持つことができるため、それらのトラブルや失敗を回避できる可能性が高まります。

3.専門家とバリュエーションのプロセスや結果について議論できるようになる

今後、「M&Aバリュエーション基礎」シリーズで詳細を解説していきますが、未上場株式のバリュエーションの具体的計算方法にはいろいろな方法があり、かつ同じ方法でも計算の前提をどう考えるかによって計算結果が大きく変わってくることがあります。もちろん、信頼できる専門家は詳細を説明してくれたり、分かりやすい報告書を用意してくれたりするでしょう。しかし、当事者自身がバリュエーションを行っていないと、専門家の実施したバリュエーションのプロセスや結果について適切な質問を投げかけたり議論したりすることは難しいと考えられます。売り手自身がバリュエーションを実施していると、そういった議論等の過程を踏むことができ、理解が深まったり、場合によっては専門家がバリュエーションの修正を行ったりすることで、売り手の納得感も高まります。

上記の「1~3」を通じて、より良いM&Aの実現可能性が高まるのです。

次回は、M&Aのバリュエーションを学ぶ前提となる用語の解説を行います。


2021年8月2日月曜日

M&Aの補助金「事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算)」

今年2021年の5月に公募要領が開示され、すでに一次公募が締め切られている「事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算)」ですが、現在二次公募中で利用を検討されている方は申請が間に合う可能性がありますのでご紹介します。

制度の詳細についてはすでに特設サイトも開設されており、丁寧に説明してありますので、そちらをご覧いただくのが良いかと思います。当ブログでは重要ポイントのみ箇条書きでご紹介します。端的にご紹介するために端折ったり簡略化したりしていますので、詳細は必ず特設サイトやそこにアップされている公募要領をご覧いただくか、補助金事務局や専門家にご相談ください。

さて前提として、本補助金は以前の2種類の補助金が一体となったものであり、特設サイトには以下のような内容の記載があります。
  1. 本補助金は、従来の事業承継補助金及び経営資源引継ぎ補助金が一体となった補助金であり、従来の事業承継補助金が本補助金の事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)に該当します。従来の事業承継補助金は、経営者交代型とM&A型の2類型でしたが、本補助金より、創業支援型が追加され、3類型となっています。
  2. 本補助金は、従来の事業承継補助金及び経営資源引継ぎ補助金が一体となった補助金であり、従来の経営資源引継ぎ補助金が本補助金の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)に該当します。従来の経営資源引継ぎ補助金では、買い手支援型、売り手支援型ともに、経営資源の引継ぎを促すための支援と経営資源の引継ぎを実現させるための支援の2種類があり、該当する種類に応じて申請類型が異なっていました。本補助金の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)では、経営資源の引継ぎを促すための支援と実現させるための支援の区分が廃止され、申請類型が統一されました。
(引用元:事業承継・引継ぎ補助金特設サイト)

当ブログは「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」についてのみご紹介しますのでご留意ください。

また、本補助金はjGrants(補助金の電子申請システム)を利用しての電子申請が必要となり、「gBizIDプライム」アカウントが必要となりますが、アカウント発行には2~3週間かかることがあるそうです。アカウントをお持ちでない場合、二次公募の締切日である2021年8月13日に間に合わない可能性がありますので、その点もご留意ください。

以下、本補助金(事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用))の主なポイントです。
  • 本補助金は、中小企業等がM&Aを契機として新規事業等を行うことについて、その経費の一部を補助することでM&A等を促進し、日本の経済活性化を図ることを目的としている。
  • 本補助金には、買い手支援型と売り手支援型とが用意されている。
  • 買い手支援型は、M&Aの後にシナジーを活かした経営革新等を行うこと、地域経済全体を牽引する事業を行うことが要件とされている。
  • 売り手支援型は、地域経済全体を牽引する事業が第三者(つまりは買い手)により継続されることが見込まれることを要件としている。
  • 単なる不動産売買を目的とするM&A等は補助金の対象とならない。
  • 補助対象者は中小企業と個人事業主。但し、売り手支援型の場合、一定の要件を満たせば支配株主も対象となる。また、開業医、会社法上の会社である農業法人、個人農家は対象となるが、医療法人や社会福祉法人などは対象とならない。また、みなし大企業や単なるグループ内再編も対象とはならない。
  • 補助期間は、原則として補助金の交付決定日から最長で2021年12月31日まで。
  • 補助率は2/3で、補助上限額は400万円だが、補助事業期間内にM&A等が完了しなかった場合、補助上限額は200万円となる。売り手支援型で廃業を伴う場合、廃業費用として最大で200万円が上乗せされる。
  • 2次公募申請受付期間は2021年7月13日から8月13日18時まで。
  • 事業の性質上、補助金に採択された場合でも社名などの情報が公開されることはない。
  • 補助される主な経費は、士業等専門家への謝金、トップ面談などで発生する交通費、企業概要書作成などの外注費、M&A専門会社や専門家への委託費(着手金、成功報酬、株価算定費用や不動産鑑定費用など)、システム利用料(M&Aのマッチングプラットフォーム利用料)やセカンドオピニオン取得費用など。廃業を伴う場合は廃業費。
  • 最終的に補助対象期間内にM&A等が成立しなかった場合でも、例えば買い手支援型で申請者の一方的な自己都合によりM&Aが実現しなかった場合などを除き補助の対象となる(例えばDDの結果、M&Aを断念した場合、そのDD費用は補助の対象となる)が、補助上限額が減額される。
もともとM&Aを選択肢として考えていた中小企業等にとっては検討を前進・具体化させるきっかけとして良い制度かと考えます。一方で、そもそもM&Aを検討していなかった中小企業等が、補助金があるからと拙速にM&Aに向けて動き出すのはおすすめできません。

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