NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2019年9月26日木曜日

歴史に学ぶ

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」オットー・フォン・ビスマルク

歴史関係の投稿が増えるので「歴史に学ぶ」「歴史から学ぶ」ための考え方・方法を記しておきたいと思います。


1.事実を知るだけではなく、教訓を引き出すこと。

歴史の知識が豊富なのは素晴らしいですが、企業経営に活かすためには、教訓を引き出す必要があります。
  • 歴史上のその事件にはどのような背景があったのか
  • どのような背景の下、その判断がなされたのか
  • その判断はどのように歴史に影響を与えていったのか
  • もし違う判断がなされていた場合、その後の歴史にどういう影響与えていただろうか
こういう問いを投げかけながら、史実を自分なりに解釈していくことが学びにつながります。
歴史にifは禁物だということが昔から言われますが「歴史を学ぶ」のであればそうかもしれませんが「歴史に学ぶ」「歴史から学ぶ」場合にはifを問いかけることで学びの量が格段に増加します。


2.引き出した教訓を、実際の企業経営に当てはめて活かすこと

実際には自分とは縁のない国家的な指導者に関する教訓でも、これが企業経営の場面だったら、と想像を膨らませてみることが大切です。あなたが経営者なのであれば、必ず重なる部分があり、経営に役立つヒントがあるはずです。

いずれも事実を並べただけのテキストでは実行は難しいと思われます。「歴史に学ぶ」「歴史から学ぶ」のであれば、教材は小説でも問題ありません。物語としての歴史であれば、登場人物への感情移入も容易で、当事者の気持ちに近づけるでしょう。今はまだ歩み始めたばかりの自身の経営者のキャリアも、いずれ書物に描かれているような物語に……そんな野望を胸に読んでみるのも良いと思います。

とは言いつつ、背景となるザッとした歴史の流れが分かっていないと読む際に辛いという声があるのも事実です。そういった際に事前知識として読んでおくと良いのが「もう一度よむ山川世界史」と「もう一度よむ山川日本史」です。短時間で歴史をザッと振り返ることができます。


ローマ人の物語について

企業経営について「歴史に学ぶ」(≒歴史を学ぶ)ための書籍として定番中の定番ですが、「ローマ人の物語」を愛読しています。今は五賢帝の後半のあたりを読んでいます。この本についても以前のブログで取り上げていましたので、内容を更新しつつ、改めてご紹介していきたいと思います。

内容に入る前に、今回はこの本の舞台である「ローマ」という国家について触れておきたいと思います。

ローマという国家は、建国当初は王政、その後共和政を経て帝政となった後、東西に分裂し、東の帝国は途中からは一般にビザンツ帝国と呼ばれるようになったりと、国家の名称や通称がひとつではないのですが、それでは不便ですの当ブログ内ではカッコつきのローマ(「ローマ」)と記載し、特に必要があるときには共和政ローマなどと記載するようにします。

「ローマ」の魅力は次の一言で言い表されています。
「ローマ史には歴史(もしくは、人類の経験)の全てが詰まっている」
伝承の期間も含めると紀元前753年から1453年まで2000年続いた国家です。その歴史を見てもわかるとおり、国家成立期、直後の混乱期、成長期、停滞期、改革期、衰退期などがあわただしく、何度も繰り返し現れます。衰退期も迎えた後、再度持ち直した国家というのは歴史上、多くはありません。そのような場面で指導者がどう考え、行動したか、これほど企業経営に参考となるものはないと考えます。

「ローマ」はしかも多くの民族を包含する世界帝国であり、先に述べたようにさまざまな政治体制も経験しています。

宗教的にも建国当初は多神教であったものが途中から一神教となったりしています。

地理的にもアジアとヨーロッパをつなぐ位置、キリスト教世界とイスラム教世界をつなぐ位置にあり、それぞれの価値観の影響を受けたりしています。

法律の世界でも「ローマ」は重要な存在で、そのローマ法は現在の大陸法に大きな影響を与えていますし、英米法にも少なからず影響を与えています。

「ローマ」の魅力はまだまだありますが、歴史の授業で学んだ以上のような事柄だけ見てもその魅力の一端が分かるかと思います。

そしてこの本「ローマ人の物語」はタイトルどおり、国家そのものではなく「人」に焦点を当てた内容となっています。そして著者である塩野七生さんは小説家であり、決して組織のリーダーでも企業経営者でもありません。しかしながら小説家としての一流のセンスからか、その指導者論には唸らせられることが多いです。

この本の分類は歴史書ではなく小説です。読み進めるうちに、登場人物の表情までが目の前に浮かんでくるような瑞々しい文章で、娯楽としても十分楽しめます。歴史=暗記というイメージや、歴史書の堅いイメージで敬遠してしまう人ほど、このような小説をきっかけに「歴史に学ぶ」体験をしてほしいと思います。

次回から少しずつ内容に触れていきたいと思います。

なお、本ブログは著作権侵害を望んではいません。今後の引用は著作権法第32条の範囲内に留めるようにしますが、問題がある場合はコメント頂ければと思います。



2019年9月25日水曜日

起業の覚悟、資金調達の責任(下)

前回は起業を「覚悟」というキーワードで考えました。後半の今回は、資金調達を「責任」というキーワードで考えましょう。

まず、資金調達はなぜ行うのでしょうか?直接的には、資金調達をしなければ事業を推進できない、会社を大きくできないなどの理由が挙げられます。他には、株主に著名人や有名企業に入ってもらい、会社の信用性を高める狙いなどもありえます。

さらには応用編として、経営に規律を設けるという意味もあります。金融機関から借入をすると、契約に従って毎月返済や利払を行う必要があります。そのため、毎月しっかりと資金を用意できるよう、経営に規律を持たせようという動機が生まれるのです。社内体制の整備といった側面もあります。株主や債権者に対して経営の状況を説明するためには、会社の体制を整備して、社内の情報をしっかりと管理できるようになる必要があるからです。

それでは次に資金調達を行うために必要なことをいくつかご紹介していきます。

  • 起業を考え始めたら貯金を始めましょう
あくまでも預貯金であって、株式などでの運用は含みません。そもそも、株式などのリスクのある金融商品は「余裕資金」、言い換えると、なくなっても困ることはない資金で行うものです。起業のために使う、という目的がある以上、株式などではなく預貯金が正解です。起業の際によく言われるのが、起業の後、2年間全く売上が立たなくても暮らしていけるだけの資金を用意するか、起業前にまとまった量の仕事を受注しておく、ということです。これはとても大切で、起業した後から営業活動を開始すると、毎日のように減り続ける通帳残高を見て焦りながら営業活動をする羽目になるため、良い結果を生むことができないことが多いと言われます。だからこそ、本来は起業前にいくつか受注確実な仕事を見つけておくことがベストではありますが、なかなかそうもいかないので、次善の策として貯金をしておくのです。

また、自分で資金を用意するかどうかは、その後の資金調達にも大きく影響します。考えてみてください。みなさんの知人が起業したとします。でもその知人自身はお金を出さず、周りの人にお金を出してくれと言っているのを見たらどう思いますか?「まずは自分で出そうよ」と思う方が多いのではないでしょうか。起業家自身が資金を用意することは、その起業家の覚悟の現れとも見られるのです。

  • 資金調達を行う前に、自分の事業でのお金の流れを理解し、予測できるようにしておきましょう
ここでは詳しくは説明しませんが、利益が出たからといって、手元にお金が残るわけではありません。利益が出ているのにお金が減ることもあります。逆に、利益が出ていなくてもお金が手元にある限りは、会社は存続できます。

「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるかと思います。読んで字のごとく、利益は出ているのに、会社が倒産してしまうことを意味します。これは経営者が自分の事業のお金の流れを理解していない、もしくは予測に失敗したことが理由で起きます。そんな会社には、金融機関や投資家も怖くて資金を出せないはずです。また、お金の流れを予測できていないと、お金が足りなくなって慌てて資金調達を行うことになります。しかし、資金調達には一定の時間がかかるのです。また、自分が焦っていると、自分にとって不利な条件での資金調達という結果にもなりかねません。こういった話のときによくあるのが、会計や経理のことは全て顧問税理士に任せているので、自分は詳しくは分からない、という事例です。しかし、任せていることと経営者自身が理解することは全く別の話といえます。それに、会社を大きくしていきたいとお考えの場合は、会計や経理はできるだけ社内で行うべきです。その方がリアルタイムに資金や利益の状況を把握できるし、経営に活かすこともできます。最近ではアウトソーシングも一般的になっていますが、まずは内製化し、理解した後、アウトソーシングという順番が良いと考えます。

  • 自分の事業や会社のステージ=段階を知りましょう
会社には、成長のステージ=段階があります。一般的には、シードやスタートアップ、ミドルステージ、レイターステージなどに分けられます。日本語でも、創業期、揺籃(ようらん)期、成長期、安定期などの言葉があります。

なぜそれを理解する必要があるかと言えば、ステージごとに適した資金調達の方法があるからだ。業種によってもマチマチなので一概には言えませんが、たとえば起業したばかりの頃の資金調達に関する「3F」という有名な言葉があります。Founder(起業家自身)、Family(起業家の家族)、Friend(起業家の友人)からの資金調達が良い、というものです。しかし、たまたまそれらの人が大金持ちでもない限り、事業を拡大するときに必要となる資金は準備できないでしょう。だから、次のステージでは、金融機関や投資家などから資金を集め、さらにステージが進むと株式上場をして株式市場から広く資金を集めるようになるのです。

  • 事業に、再現性を持たせる仕組みを作りましょう
再現性とは、わかりやすく言えば、成功の要因が分かっていて、それを別の機会にも一定以上の確率で実現できることを意味します。球技で言えば、自分のシュートの成功率を高めるには、ゴールの左側から、このくらいの距離でシュートを打つ必要があると理解していること。そして、それを実行できることを意味します。「なぜホームランを打てるか分からない」と言っている野球選手と、「自分はこういう場面ではホームランを狙えるから、その場面では積極的に狙っていく」と言っている野球選手、どちらをスカウトしたいと思うでしょうか?再現性を持たせるということはスポーツでも決して簡単なことではないですが、事業においても実は難しいことです。なぜお客様が自社の製品を選んで買ってくれるのかを正確に理解していない会社は少なくありません。みなさんはそうならないよう、再現性を持った事業を行って欲しいと思います。

  • 集中すべきことを決めましょう
集中すべきことを決める。言い換えると、「何をしないかを決める」ということです。起業家の特徴にも色々ありますが、多くの起業家に共通しているのは「アイデアが豊富」という点。それ自体は素晴らしいことですが、一方ではマイナスに働き、「特定の事業に集中できない」とか、「すぐに諦めて他の事業に興味を持ってしまう」となりやすいのも事実です。しかも、起業したての頃は、社内のあらゆる資源が不足しています。人もお金も時間も足りないのです。そういったときにあれもこれもやりたい、というわけにはいきません。資金提供者も「経営が散漫になり、どの事業も結果がでない」という事態は望んではいません。常に選択と集中が必要であることを覚えておいてください。

  • チームをつくりましょう
会社は、様々な機能が一体となって運営されています。どんなに優秀な起業家でも、その全てを自分だけで行うことはできません。また、もしできたとしても、時間の制約がある以上、どれもいまいちな結果となってしまう可能性が高いです。資金提供者も、起業家がスーパーマンであることを求めてはいません。むしろ、起業家自身の強みに集中し、それ以外のことはチームとして対応して欲しいと考えていますし、そういったことができる会社の方を高く評価するでしょう。みなさんは優秀であっても万能ではありません。ぜひチームとしてみんなの力を結集できるようになりましょう。

  • 最後にもう一度、必要な資金調達かを考えましょう  
「お金は多ければ多いほどよい」という考えもありますが、それが当てはまる局面と、そうではない局面とがあります。平成に起きたリーマン・ショックの後、ベンチャーキャピタルの間では「Cash is king」という言葉がよく使われました。世界的に資金調達が難しくなっていたので、「チャンスがあれば、可能な限り多額の資金を調達しておこう、そうでないと次の資金調達の機会はずっと先かもしれない」と考えざるをえなかったのです。

逆に、資金調達環境が良い時期もあります。景気は悪くないのに低金利のような時期が例として挙げられます。そのような時期には、ある程度の余裕を持たせるということは別としても、必要額をはるかに上回る資金を調達すべきではありません。借入であれば利息がかさむという問題もありますし、もっと重大なこととしては、経営の規律が緩むという問題があります。資金調達をした直後、その資金を事業に使わず、高級車を購入してしまう経営者も残念なことに珍しくはありません。資金調達の際には、常に、本当に必要な資金調達か考えるようにしましょう。

さて、次は資金提供側の目線や考え方について整理します。

起業間もない段階での資金提供側の視点は主にふたつです。融資候補先や投資候補先の経営者が信頼に足るかどうか、実現可能性や将来性のある事業計画であるかどうか。

まずは、信頼に足る起業家かどうかですが、起業家や経営者としての資質、人柄、初対面時の印象などが重要です。事業がうまく行きだすと天狗になる起業家は、当然ながら信頼されません。逆に、うまく行っているときにこそ、次の手を考え実行していく起業家は高く評価されます。貧すれば鈍すると言いますが、事業が苦しくなってから、どうすればいいか、などと考えるのは遅すぎるのです。そんなことを考える前に、今日を生き残ることで手一杯になってしまうからです。経験豊富な資金提供者は、それぞれ独自の起業家評価ポイントを持っています。そういった方々との面談などの場で急に取り繕っても見抜かれてしまいます。ぜひ、起業家や経営者のあるべき姿について、多く学んで、自分なりに考え、実践していってください。そういったことを真面目に取り組んでいればきっと評価してくれる人に出会えるはずです。

次に、事業計画の実現可能性や将来性ですが、実はそれを判断する際にもっとも重要な要素は、「誰が経営者であるか」なのですが、もちろんそれだけで良いわけではありません。事業計画の作り方の勉強会に参加したり、自分なりに考えることによって、実現可能性や将来性を資金提供者に納得してもらえるよう努力を積み重ねましょう。あと、必ず覚えておいて欲しいのは、事業計画は、資金提供者と起業家との間の大切な約束だということです。起業家は事業計画を示し、それを達成するために努力をすることを説明して、資金を調達します。資金提供者は、事業計画を見て、それが達成されることを期待して資金を出します。事業計画を示して資金調達する以上、大きな責任が発生することは忘れないで欲しいと思います。

本稿では最後にみなさんにふたつのことをお伝えします。

ひとつめは、起業や事業を行うことを楽しんで欲しい、ということです。本記事では「覚悟」や「責任」と一見重たいキーワードが多かったが、それを上回る楽しさを起業や事業に見いだせる人こそが起業家なのです。ワクワクすることが起業家にとっての最大のご褒美でありモチベーションの源です。ぜひ起業や事業を楽しんでください。

ふたつめは、「地域貢献のための起業」を最初から必ずしも考える必要はない、ということです。もちろん、明確に地域貢献をしたいと考えている方を否定しているわけではありません。すでに考えている方はとても素敵なことなので、ぜひ実行してください。逆に地域貢献を具体的に考えてはいない方も、自信を持ってください。真っ当な事業でありさえすれば、それを真剣に行うことで自然と地域貢献ができるのです。事業が大きくなれば、地域に雇用を産み、税金を納めることになる。それはとても立派な地域貢献なのです。

起業の覚悟、資金調達の責任(上)

今回と次回は、起業ということを「覚悟」というキーワードで、そして資金調達を「責任」というキーワードで考えてみたいと思います。いずれも、「起業する前」のみなさんが起業や資金調達についてより深く考えるきっかけとなれば幸いです。

なお本記事は、数年前に別サイトに投稿させていただいたり、私が起業家養成講座などでお話しをさせていただいたりしたものを今回当ブログ用に書き直したものです。

さて最初に「起業」と「資金調達」の意味について考えてみましょう。

「起業」と一言で言っても、
・最初から株式会社を設立して事業規模の拡大を目差すパターン
・個人事業主から開始して段階を踏んで事業規模拡大を目差すパターン
・事業規模の拡大を前提としていないフリーランサーやクリエイターのパターン
など様々なパターンがあります。

Web関連事業やコンサルティング業のようにパソコンひとつで起業できる業種もあります。実際に私は開業に際しては、パソコン、スマートフォン及び名刺を用意し、コワーキングスペースに入会しただけです。一方でものづくり、農業や店舗運営のように一定の資金が必要とされるものもあります。

しかし、いずれにしても「覚悟」が必要とされない「起業」はありません。今回と次回では「起業」の中でも、自分以外の人からも何かしらの方法で資金調達を行う必要がある、言い換えれば人のお金を預かる覚悟が求められる「起業」を前提として話を進めたいと思います。

次に「資金調達」ですが、この言葉にもさらに分解できます。
  1. デットファイナンス : 金融機関からの借入が典型例です。
  2. エクイティファイナンス : エンジェル投資家、ベンチャーキャピタルやCVCからの資金調達が例に挙げられます。
  3. アセットファイナンス : これは「起業」の段階ではほとんど関係ないためこれ以降は触れませんが、会社が保有する土地や建物などの資産=アセットを活用して資金を得る方法を指します。
  4. 事業で得られる儲けを蓄積する

本記事での「資金調達」とは、直接的に他者に対する責任が発生する「デットファイナンス」と「エクイティファイナンス」を前提として進めたいと思います。ファイナンス=資金調達、デット=負債、エクイティ=株式と適宜読み替えてください。

では、ここからが本題です。「覚悟から考える起業」ということで、これからいくつかの質問をします。ひとつひとつ、自分に問いかけてみてください。これらの質問は、ベンチャーキャピタルでの活動や、起業相談を受ける中で整理していったものです。

  • 大きな失敗をしても、また挑戦する覚悟はありますか?
まずは、みなさんの過去の経験の中で、大きな失敗をしたことがあるか、それは何だったか、思い出してノートに書き出してみてください。次に、みなさんがやろうと考えているビジネスで想定される大きな失敗とは何だろうか?それも書き出してみてください。。

この質問は、失敗=悪いこと、という意味合いでしたものではありません。どんなに優秀な人でも、挑戦する人は必ず失敗します。失敗をしたことがない人は、挑戦してこなかっただけです。失敗を想定していない人は、自分の能力を過信している傲慢な人にすぎません。一方で挑戦して失敗する人は、その試行錯誤の中で大きく成長していきます。そして失敗経験を活かすことで、次の成功確率を高めていくことができます。事業はその連続ともいえるものです。また、成功から法則を見出すことは難しいですが、失敗から法則を見出すことはできる、ということもいえます。

繰り返しになりますが、挑戦する以上、失敗は避けられません。失敗から学ぶことなしに成長もできません。つまりは、失敗する覚悟、それを乗り越える覚悟が「起業」には必ず必要となるのです。

  • 本当の「人脈」を活用する覚悟はありますか?
そもそも人脈とは何でしょうか?交換した名刺の数や、有名人と知り合いであることを自慢するタイプの方もいらっしゃいますが、それは人脈といえるのでしょうか?広い意味ではそうかもしれません。しかし、「起業」における「人脈」とは、あなたを信じて仕事を出してくれる人、あなたを信じてお金を出してくれる人、このような人たちとの関係を指します。きっとみなさんの周りにはみなさんの起業を応援してくれる方々が大勢いると思います。そういった方々との関係も当然ながら大切しなければなりません。一方で、応援だけでは事業は成り立たないのも事実です。起業における本当の人脈を持っているかどうか考えてください。そして、その人脈を活用する覚悟が自分にあるか問うことが大切です。

  • 人のお金を使う覚悟はありますか?
どんな方法で資金調達したとしても、人のお金を使って事業をする上では、様々な義務が生じます。そしてほとんどの場合、返済する金額は借りたり投資を受けたりした金額よりも大きくなります。もしくはそういった約束や目標設定をします。また、知人や友人からお金を出してもらうということは、万が一事業が失敗したときに、同時に人間関係も崩れる可能性があるということでもあります。そういったことを理解した上で、人のお金を使う覚悟はありますか?

  • 様々な人との関係で苦労し、苦悩する覚悟はありますか?
日常生活であれば、不都合のある相手とは距離をとったり、自分が引くことにより特に問題を表面化させずに済ませることができます。しかし、起業すれば自分が代表者であり最終責任者であるため、逃げることは許されません。どんなことも、どんな人に対しても何かしらの判断のもと、対処していく必要があります。

社内でも同様です。起業家自身と創業メンバーの間には覚悟や意識の大きな差があります。場合によっては、創業メンバーのサラリーマン精神が表面化することも。そのときには、創業メンバーと言えどもお互いのことを本当の意味で理解していないことにショックを受けると思います。それでも事業は一緒に行っていく必要があります。

友人と一緒に会社を経営する場合には、友人を解雇する必要に迫られるかもしれません。友人に会社の借入の連帯保証をしてもらう必要が生じるかもしれません。家族との関係で苦悩することもあるかもしれません。

起業家はある段階では、ワークライフバランスなどと言ってはいられない場面にも直面します。運悪く、配偶者との関係がうまくいっていないタイミングと重なれば、離婚をつきつけられる可能性もあるのです。

最初は支援者だった人が、何かのきっかけで最大の敵対者になることだって少なくはありません。そうなると大変です。相手は「せっかく応援してやったのに裏切りやがって」と、普通では考えられないほどの嫌がらせをしてくるような事例もあります。

良くない可能性の話ばかりをしてしまいましたが、どれもが起こりうることです。そういったことに苦労し、苦悩することへの覚悟も必要です。

  • 事業計画を、事業経験者を含め多くの人に見てもらい、厳しい意見をもらう覚悟はありますか?
どんなにじっくり考えた事業計画でも、人の批判にさらされていない計画は十分ではありません。特に類似の事業を経験している方の意見はとても貴重なものです。その方の話を聞くことで失敗の疑似体験もできるはずです。

事業計画を人に見せることに強い抵抗感を持つ方も多いかと思います。しかし、安心してください。人に見せたり話したりしたくらいで成り立たなくなる事業は、はじめから長持ちはしません。真似されることを恐れるよりも、人の批判にさらされていない不完全な事業計画であることを恐れて欲しいと思います。もちろん、見せる相手は選ばなくてなりませんが、多くの人に見せて厳しい意見をもらうことで事業計画はより良いものになります。一人ひとつの意見でも、100人に見せることで100個の改善点に気がつくことができるのです。

ぜひ、自分の事業計画が批判される覚悟を持って欲しいと思います。

  • 自分を理解して、環境の変化に対応していく覚悟はありますか?
会社を経営していくうちに必ず環境の変化に遭遇します。そのときに生き残ることができるのは、ダーウィンが言うように「環境に適応した者」だけです。「自分は○○な性格だから……」と自分の限界を自分で決めてしまう人は、自分だけでは環境の変化に適応できません。その場合、自分の弱いところを補ってくれるパートナーが必要となります。

しかし、どんなに素晴らしいパートナーがいる場合でも、自分自身の変化が必要な場面もあります。その際に試されるのが、「自分の限界を超えるほどの努力をしたことがあるか」ではないでしょうか。学生の方であれば、「人生でこんなに勉強したことはない」と言えるほどの勉強を今からでもして欲しいと思います。

  • 情報収集は必死に行いましたか? その情報分析は適切ですか?
ベンチャーキャピタルはベンチャー企業に対し、残念ながら投資は行わないという判断をすることも少なくはありません。しかし、その中にも実は、直感的に素晴らしいと感じる事業も多くあるのです。では、投資をしないという判断をしたのはなぜでしょうか。もちろん理由はひとつではありませんが、最も多い理由のひとつに「情報軽視、誤った情報分析」というものがあります。「私の事業はとてもユニークであり、世界に同じことをやっている企業は存在しない。」という思い込みが典型的な例です。事業計画の検討には、「競合分析」という項目を必ず盛り込むべきですが、その際、次の2点は絶対に忘れないで欲しいと思います。

ひとつめは「競合企業は必ず存在する」ということ。ふたつめは「競合か否かは必ず顧客目線で考える」ということです。

競合がいない、と言ってしまうのは傲慢であり、かつ情報の軽視といえます。冷静に考えれば、数十億人いる人類の中で、「自分と同じことを考えている人は他には存在しない」と考えることはおかしいと気がつくはずです。自分が唯一無二の天才である可能性と、自分と同等かそれ以上の頭の良さをもった人が世界の中に一人以上いる可能性、それを比べても分かるはずです。また、「自分と同じ技術を持つ人は他にはいない」というのも、事業として考えた場合は、誤った情報分析といえます。誤解を恐れず言えば、お客様から見た場合、自分のニーズが満たされるのであれば、それがどういった技術で実現されているかは、あまり関係がありません。だからこそ、競合分析をする際には、「同じ技術はないか?」ではなく「お客様のニーズを満たす他の方法はないか?」という視点で分析すると、より正解に近づけると言えます。

  • 撤退する勇気はありますか? 合理的に判断できる自信はありますか?
起業前後というのは、ひたすら前向きなことを考え、良くない可能性には目を向けたくない時期です。しかし、撤退の可能性を考えないのは、目を背けていれば撤退するような状況には陥らないと考える、非科学的な姿勢ともいえます。どういう場合に撤退すべきか、撤退する際にはどれほどの損害が発生するのかを考えておく必要があります。

まずは撤退を合理的に判断できる知識を身につけておきましょう。経済学やファイナンスの知識です。「サンクコスト」という言葉があります。日本語にすると「埋没費用」です。実はこの言葉を知っているだけで、撤退の判断をより合理的に下せる可能性が高まります。みなさんの周りでも「今までかけた時間と資金が無駄になるから、中止なんてできない」という話を聞いたりすることはないでしょうか?こういう場合に、サンクコストの考え方を応用すると、「過去に投資した資金や労力は一旦脇に置き、これから必要となる投資額とその効果を再度計算しなおして、投資継続か撤退かを判断しよう」と考えられます。ぜひ、経済学とファイナンスの基礎的な知識は身につけておいてください。

  • 越境することを楽しめますか?
越境とは、例えば自分が経験のない分野の仕事に就いてみたり、全く文化の違う外国に飛び込んだり、自分の従来の枠を飛び越えることを意味します。新しい価値観とぶつかり合うことは人が最も成長できる場面のひとつです。「新しい価値を生み出すことができるのは、越境した人だけ」と言われることもあります。会社を変革できるのは「若者、馬鹿者、よそ者だけ」という言葉とも通じるところがあるのではないでしょうか。

本稿では「自分に問いかけて欲しい質問」を通じて、起業を「覚悟」という面から考えてみました。当然ながら、他にもたくさん覚悟する必要があることは少なくありません。また、起業後の事業の段階ごとに覚悟すべき事項も変わってきます。起業の段階は主に始める覚悟ですし、仲間を増やす段階では、人の人生を背負う覚悟が求められます。事業を拡大させる時期には、波に乗る覚悟、組織をつくる覚悟、社員などに背中を見られる覚悟が求められます。会社が安定成長に入っても、安定が衰退の始まりだと考えると、経営を変えていく覚悟が必要となるでしょう。起業前のみなさんから見ると、少し将来の話もありますが、まずは「あなたは覚悟ある起業家か?」という問いに少しでも自信を持って回答できるようになれると素晴らしいと考えます。

次回は、資金調達を「責任」というキーワードで考えます。

2019年9月24日火曜日

直感的判断と合理的判断

今回は孫子です。
「勢とは利に因りて権を制するなり。」(「孫子」計篇)
意訳すると、
勢いとは合理的な決断のもと、機会を活かすことによって得られる。
意味としては、臨機応変に近いと考えられます。
今回の孫子の箇所は、意味自体の理解はできてもその実践はかなり難しい部類に入るかと考えられます。

今回は前半部分の「合理的な判断」について考えてみたいと思います。
ほとんどの経営者は自分自身では合理的な判断を積み上げているつもりです。コンサルや専門家の中には論理的思考をすれば正しい結論を導き出すことができると考えている方もいます。しかし、実際の経営の中では論理的思考や合理的判断だけでは適切な結論を導き出すことができない場面も多くあります。確率論的な考え方を導入すれば、一応は各選択肢の期待値を計算できるかもしれませんが、それ自体の正しさを証明することは簡単ではありませんし、そもそも日々忙しい経営者が選択に迫られる度に確率論的な考え方をすることは現実的ではありません。

論理的思考だけに頼るわけにはいかない判断に迫られた場合、経営者は直感、いわゆるアニマルスピリットも大切にして欲しいと思います。理屈を積み上げていって結論を出す作業はコンサルや専門家に任せることもできるかもしれませんが、先に結論を出して、それが論理的に他人を説得することができるものかどうか、という流れで決断をすることは経営者にしかできません。

論理的思考を否定するかのような内容になってしまいましたが、決してそうではありません。論理的思考はビジネスパーソンの代表的な基礎力のひとつと言えることは間違いありません。考え方の枠組みを自分の中に複数持っていると、とっさの判断ができますし、場面によって判断がブレにくいといった、大きな強みとなります。論理的思考を無視するのではなく、それを身に付けた上で、でも論理的思考では解決できない場面に遭遇したら?というのが今回の文章の趣旨ですので誤解なきようお願いします。

なお、私は論理的思考を身につけるための方法として現代文法律の勉強をすることをオススメします。法律は暗記科目と誤解されることも多いのですが、それだけではなく法的思考を身につけるものでもあります。ぜひ一度お試しください。

参照書籍:

NGCパートナーズの「株式上場(IPO)実務支援業務」について


NGCパートナーズでは、株式上場(IPO)実務支援業務を行っています。

主として想定している顧客層は、アーリーステージからミドルステージのスタートアップ企業で、まだ監査法人や主幹事証券会社の選定前であったり、専任の株式上場準備経験者の採用を行っていない状況の企業です。株式上場準備を少しでも進めておきたものの、報酬レベルの高い常駐の経験者を採用するか否か悩んでいたり、未経験の上場準備担当者をマネジメントする人材が不在で悩んでいたり、といったスタートアップ企業のご相談に乗ることができます。

本業務は一度目の独立の際から現在まで複数社にお声がけいただいて業務を実施していますが、現在契約中の企業様含め、実際のご相談はミドルステージからレイターステージの未上場企業が中心です。

ハンズオン型の上場ベンチャーキャピタルにて投資先企業の週数日駐在し、株式上場準備実務を実施したことや、株式上場準備中の事業会社にて経営企画担当取締役として株式上場準備実務を実施した経験を活かして本業務を行っています。ですので、クライアント企業に対して「教える」というスタンスではなく「協働する(一緒に業務を行う)」というスタンスで関わっています。

私自身の情報やスキルのアップデートは実際の業務を通じてだけではなく、「IPO・内部統制実務士」などの資格試験受験や各種セミナーを通じても実施中です。

株式上場を目指すべきか否かお考えの方、上場準備経験者をまずはフルタイム以外の手段で活用したい方などはぜひお気軽にご相談ください。ベンチャーキャピタルの経験も活かして、資本政策や成長戦略についてもご相談に乗ることができます。ビザスクもぜひご覧ください。

2019年9月22日日曜日

NGCパートナーズの「M&Aアドバイザリー業務」について



NGCパートナーズでは、M&Aのアドバイザリー業務を行っています。

主には「自社の成長戦略の一環として他社を買収したいという事業会社からのご相談」が中心です。

自分一人の力では収集できる情報にも限りがありますので、同業他社の先輩のお力を借りたり、所属している日本M&Aアドバイザー協会の仕組みを活用したりします。

再独立したのが2019年8月末ですので、まだクロージング実績はありませんが、積極的な買いニーズがある事業会社からの依頼もあり、これから活動を本格化させていきます。

ところで私は、他社でM&Aアドバイザリー業務の経験があるわけではありません。事業会社にて当事者としてM&Aを実施していたこと、プライベートエクイティにてバイアウト投資(=ファンドが当事者となるM&Aの一種)を実施していたこと、その経験を活かしてM&Aアドバイザリー業務を行っています。この経験は強みだと思っています。当事者と助言者では経験できることの量も質も違います。特にM&Aはその後のPMIがより一層重要ですから、そこの経験を積めたことはアドバイザリー事業だけの経験しかない場合よりもとても良い経験ができたと考えます。

大切にしていることとしては「会社を売る、買う」のではなく「託す、引き継ぐ」という考えを持ち続けることです。実際の業務の中では売る、買うという言葉を使わざるを得ない場面が多いのですが、事業会社やファンドで当事者としてM&Aを実施していた経験からも、会社が単なるモノではないということを学びました。

売上数億円から数十億円規模の事業会社で、成長戦略の一貫としてM&Aの活用をお考えの方はぜひお気軽にご相談ください。ベンチャーキャピタルの経験も活かして、成長戦略そのものについてもご相談に乗ることができます。ビザスクもぜひご覧ください。


経営の八大要素

今回も孫子です。前回の「正攻法と奇策の組み合わせ」と関係が深い箇所です。
凡そ衆を治むること寡を治むるが如くなるは、分数是れなり。衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如くなるは、形名是れなり。三軍の衆、必らず敵に受えて敗なからしむべき者は、奇正是れなり。兵の加うるところ、砥石を以て卵に投ずるが如くなる者は、虚実是れなり。(「孫子」勢篇)
企業経営に活かしやすいように意訳すると以下のとおりです。
大きな組織を小さな組織のように統率することが出来るのは、「組織の制度」と「組織の編成・編制」である。
大きな組織を小さな組織のように動かすことが出来るのは、「指揮命令系統」と「信賞必罰」である。
自社を競合に負けないようにすることが出来るのは、「正攻法」と「奇策」である。
石で卵を砕くように競合を打ち破ることが出来るのは、「事業領域の集中」と「競合の経営資源の分散」である。
孫子がここで示した項目は「兵法の八大要素」と言われているらしいですが、企業経営にも通じます。組織に関すること、人事に関すること、正攻法と奇策の組み合わせを活用すること、選択と集中に関すること、です。

現代でも企業経営の重要な論点となっていることが、2500年前にきちんと指摘されていることの驚かされます。

ところ、「編制」と「編成」という言葉の意味の違いを今回改めて調べてみたのですが、面白いですね。「編制」というのは、組織として機能が一定程度充足している状態を元に、その時々の組織目標に合わせて組織を組み替えることと理解しました。「編成」というのは組織だっていない個々に別れたままの機能を組み合わせ組織体にすることと理解しました。企業経営上はどちらも必要なことですね。

参照書籍:

2019年9月21日土曜日

正攻法と奇策の組み合わせ

今回は孫子です。本ブログでは孫子の中で企業経営に活かせる箇所、そう私が理解した箇所だけを触れていきます。順番も孫子の記載順とは関係ないことも多いので、その点もご了承ください。主な参照書籍は毎回、文末に記載するようにします。

さて、今回は以下の箇所です。
凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に善く奇を出だす者は、窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河の如し。終わりて復た始まるは、四時是れこれなり。死して更生ずるは日月これなり。声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴くべからず。色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観るべからず。味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗むべからず。戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮むべからず。奇正の相生ずることは、循環の端なきが如し。孰れか能くこれを窮めんや。 (「孫子」勢篇)
孫子の中で最も好きなくだりのひとつです。意訳すると、以下のとおりです。
戦いの基本は、正攻法を押さえた上で、奇策を運用することで勝つことである。奇策を効果的に運用できる者の活動は天地の動きのように終わりがなく、大河の流れのように尽きることがない。正攻法と奇策の組み合わせは無限にある。終わってまた始まるのは太陽と月の動きのようであり、四季のようでもある。音、色や味は5種類ずつしかないが、その組み合わせは無限にある。戦いは奇策と正攻法しかないが、その組み合わせは無限にある。奇策と正攻法は循環の終わりがないように互いがお互いを生み出していく。これを極めることなどできない。
企業経営上も正攻法と奇策の組み合わせ、が重要です。定石は大切ですが、それだけでは他社には勝てません。奇策も大切ですが、それを支える組織の仕組みをつくらないと効果の測定も奇策の継続できません。
(追記:正攻法と奇策という言葉をどういう意味と捉えるかは訳者によって異なるようです。正攻法と、字面どおりの正攻法と捉える方もいらっしゃれば、相手と同じ戦い方と捉える方もいらっしゃるようです。奇策も字面どおりの意味以外では、状況に応じた対応とか、奇襲といった意味で捉える方もいらっしゃるようです。)

私は以前は、孫子の今回の箇所の前半しかよく意味を理解しておらず、正攻法と奇策のどちらが大切か、と考えてしまっていたのですが、少しだけ理解が進み、その組み合わせの大切さが書かれている箇所だと理解できるようになりました。

企業経営の中でも、今やろうとしていることが正攻法なのか奇策なのか、どちらか一方だけになっていないか、を確認して抜け落ちがないようにすることが第一歩かと思います。そして日々の経営の中で、取りうる正攻法と、運用しうる奇策の数を増やしつつ、柔軟に両者を組み合わせていけるようになれることが重要です。

参照書籍:

孫子について

以前私が書いていたブログでは、様々な古典を現代のビジネスに当てはめて解釈するようなこともやっていました。今読み返して見ると恥ずかしくなるような内容も含まれるのですが、結構な量を書き溜めていましたので、それから10年経った今の私の感性で書き直したものを改訂版として順次アップしていきたいと思います。

まずは孫子から行きたいと思います。

孫子とは何か、少しだけWikipediaから引用すると
『孫子』(そんし)は、紀元前500年ごろの中国春秋時代の軍事思想家孫武の作とされる兵法書。武経七書の一つ。古今東西の兵法書のうち最も著名なものの一つである。紀元前5世紀中頃から紀元前4世紀中頃あたりに成立したと推定されている。(引用元:Wikipedia)
といった著名な古典であり、2500年の間、武将や軍人といった軍事の専門家だけではなく、政治家や企業経営者にも読みつがれてきたものです。現在、我々が読むことができる孫子は三国志で有名な曹操が注釈をつけたものだと言われています。確かに軍事に関する古典なのですが、いわゆる間接アプローチと呼ばれる「戦わずして勝つ」ためにどうするかということが考えられているので、企業経営者でも座右の銘としている方が多いのも納得がいきます。

今後、少しずつアップしていきます。

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