NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2021年11月1日月曜日

M&Aバリュエーション基礎5 基本用語解説四回目 DCF法

引き続き、バリュエーションの基本用語の解説です。今回は、DCF法に関連する用語について解説します。

■DCF法

「Discounted Cash Flow」の頭文字をとったもので、未上場企業のバリュエーションの際に利用される最も一般的な方法のひとつです。企業の価値は、その企業が将来生み出すキャッシュフローの現在価値の合計であるという企業ファイナンスの基本的な考え方に則った方法です。

なお、表記ですが実務上は「DCF法」や「ディスカウント・キャッシュフロー法」などが使われます。英語表記をそのまま日本語読みした「ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法」が使われることもありますし、稀に「割引キャッシュフロー法」が使われることもあります。

対象会社の将来キャッシュフロー予測(事業計画等から計算します)や、算定の過程で利用する株式市場の係数(βやリスクプレミアム)などの多くの前提条件の下計算を行う方法であるため、計算結果の利用方法については慎重に検討する必要があります。理論としては綺麗なのですが、前提条件次第で計算結果が大きく異なってしまうからです。

また、専門家に依頼してDCF法でバリュエーションを行ってもらった場合、専門家ごとの癖のようなものがあり、βリスクプレミアムは精緻に計算しているにも関わらず将来キャッシュフローの予測値は結構いい加減、ということもあります。依頼する側の企業オーナーや経営者は逆に将来キャッシュフローの予測の方に重きを置く傾向がありますので、齟齬が生じやすい場面でもあります。

算出の手順を簡単にまとめると、
  1. 対象会社の事業計画(損益計画や予想貸借対照表など)から将来キャッシュフローを計算します。事業計画はすでに策定されているものがそのまま使用されることはあまり多くはなく、経営の実態や、すでに決定されている将来の事項に関することなどを反映し修正されたものを使用します。
  2. 上記将来キャッシュフローと、上場している類似会社のβ(ベータ)及び日本の株式市場のリスクプレミアムの数値等を元に対象会社の将来キャッシュフローの現在価値の合計値(=事業価値)を算出します。
  3. 当該事業価値に投融資(事業に関係のない資産の時価)と現預金額を加算し、有利子負債を差し引くことで株主価値を計算します。
という流れとなります。詳細は計算式を含め後日解説します。

■実効税率

株式会社の実質的な法人税等の税率のことを意味します。地方税が含まれるため、都道府県ごとに異なる可能性があります。また、外形標準課税の対象となる企業かそれ以外か、などの条件により異なる可能性もあります。そのように各種前提で変動するので実務上は40%や35%などの簡素化した数値が採用されることもあります。ある程度正確に知りたい場合は、顧問税理士の先生にご確認ください。

■NOPAT

税引き後営業利益」を指す「Net Operating Profit After Taxes」の頭文字をとったものです。定義が違い用語としてはNOPLATというものもありますが、この連載の前提の下では両者は同じ意味とお考えいただいて問題ありません。
NOPATは後述のフリーキャッシュフロー算定の前提となる指標です。
計算式は
  NOPAT=営業利益×(1-実効税率)
が一般的に利用されます。

■FCF

FCFはフリー・キャッシュ・フローの頭文字をとったものです。先述のNOPATに非資金費用である減価償却費及びのれん償却費をプラス、設備投資額をマイナス、運転資本増減を加算・減算して算出します。企業は自由に使えるお金、という意味の言葉であり、バリュエーションの世界では、企業の目的はこのFCFを稼ぐこと、増やすことを通じて株主価値を向上させること、となっています(あくまでも、バリュエーションの世界では、の話です)。
  FCF=NOPAT+減価償却費+のれん償却額-設備投資額±運転資本増減
運転資本増減はある期の運転資本と、その前の期の運転資本の金額を比較して算出します。運転資本は、「売上債権+棚卸資産-仕入債務」で計算します。運転資本が増加するということは手元資金(つまりはFCF)が減ることを意味し、運転資本が減少するということは手元資金(つまりはFCF)が増えることを意味します。

■割引率

現在の10,000円と、1年後の10,000円が等価ではないことを例に説明されます。低金利の世の中では例として少し実感しにくくなってしまいましたが、現在の10,000円は運用して増やすことができますので、例えば1%の利回りで運用した場合、1年後には10,100円となっています。ですので、ファイナンスの世界では現在の10,000円と等価なのは1年後の10,100円と考えます。逆に1年後の10,000円と等価なのは、10,000円を101%で割った約9,900円と考えます。この1%のことを割引率と呼びます。そして、9,900円のことを10,000円の割引現在価値と呼びます。

教科書的な定義は、「将来の価値を現在の価値で表すために用いる率のことを割引率と言い、その現在の価値のことを割引現在価値と言う」です。

DCF法ではほとんどの場合、「加重平均資本コスト(Weightted Average Cost of Capital)」が採用されます。株主資本の調達コストと負債の調達コストが、それぞれ株主や債権者から期待されている割引率であると考え、それを金額割合で調整した加重平均資本コストが企業全体の割引率である、と考えます。実務上はアルファベットの頭文字をとって「WACC」と表記し、「ワック」と読みます。

計算式は
  WACC₌D/(D+E)×rD×(1-T)+E/(D+E) × rE
が使われます。Dは有利子負債額、Eは株主資本額、Tは実効税率、rDは有利子負債の利子率、rEは株主資本コストを意味します。詳細は具体的計算過程の解説の際にご説明します。

■リスクプレミアム

リスクのある資産(典型的な例は株式です)に期待される収益率と、無リスク資産(日本では一般的には10年物国債です)の収益率の差を意味します。通常、投資家はリスクのある資産にはリスクのない資産よりも大きなリターンを期待しますので、リスクプレミアムは多くの場合、正の数値となります。減る可能性がある資産にはその分増える可能性があることを期待し、減る可能性が低い資産には増える可能性を求めない、ということです。

専門家でな限り、自分でリスクプレミアムを算出することは難しいため、各国のリスクプレミアムを測定し公表しているニューヨーク大学ダモダラン教授による調査結果を利用します。なお、同調査結果によると日本の株式投資のリスクプレミアムは「5.40%」ですので、投資家が日本で株式投資を行う際には、国債利回りに5.4%を加算した数字よりも大きなリターンを期待していると理解できます。

■β(ベータ)

株式市場の平均株価等が1%変化したときに、ある特定の業種の平均株価や、ある特定の企業の株価がどの程度変化するかを表す指標です。たとえば東証株価指数(TOPIX)が1%上昇したときに、ある特定の企業の株価が0.7%上昇した場合はその特定の企業のβは0.7である、と表します。

全ての上場企業にはβが存在するため、DCF法の計算過程で選んだ類似会社のβを利用するのですが、専門家でない限り自分で算出する必要はなく、金融系ニュースサイトや証券会社の投資情報ページから情報を入手して利用します。よく使われるのがReutersのWebサイトです。個別銘柄名で検索した後、「指標」のページを見ると「ベータ値」として掲載されています。

また、各国の業種ごとのβ値を測定し公表しているニューヨーク大学ダモダラン教授による調査結果を利用することもあります。


次回は、その他のバリュエーションの方法の基本用語について解説予定です。

2021年10月25日月曜日

M&Aの基礎知識:FA形式と仲介形式

M&Aについては本日現在、バリュエーションについての記事を連載中ですが、それとは別に単発テーマを取り扱う「M&Aの基礎知識」のコーナーも不定期で掲載します。

今回は、中小M&Aにおける論点として「FA形式と仲介形式」について取り上げます。

なお、NGCパートナーズでは、中小M&Aガイドライン遵守宣言にも記載したとおり「利益相反リスクを完全には排除できないため、原則として仲介契約は締結しない」という方針ですので、仲介形式には若干否定的な立場です。

ですが、仲介形式にはFA形式にはないメリットもあるのも事実ですので、仲介形式に肯定的な解説や、中立な立場の解説など含め、同様の記事にいくつか目を通したり、実際にM&Aアドバイザーを活用したことがある経営者に話を聞いたりすることをお勧めします。

1.M&Aアドバイザーとは?

 ファイナンシャル・アドバイザー(FA)や、M&Aコンサルタントと呼ぶこともあります。
 M&Aに必要な専門知識やネットワークを保有していて、それを活用してM&Aの当事者である買い手や売り手に対し、助言やサポートを行います。「代理」という用語が使用されることもありますが民法上の代理権はない事例が大半です。

 以下、日本M&Aアドバイザー協会のWebサイトからの抜粋です。
「M&Aアドバイザー」とは、M&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担うM&Aのスペシャリスト(専門家)を意味し、「M&Aコンサルタント」や「ファイナンシャルアドバイザー(FA)」等とも呼ばれます。
   (中略)
「M&Aアドバイザーの仕事は財務会計・税務・法律のるつぼ」と表現される様に、その業務範囲は広く、幅広い知識と能力を必要とします。また、M&Aアドバイザーとしてプロフェッショナルになる為には、財務会計・税務・法律の他に、経営を理解し、交渉やファシリテーション等のコミュニケーション能力の高さも必要となります。
   (中略)
顧客の経営戦略という重要課題のサポートを行い、日本経済を支える企業経営における重要な部分のお手伝いをするのがM&Aアドバイザーです。(以下、略)
なお、そもそも「M&Aアドバイザー」は利用した方が良いのか?メリットは?とお悩みの方は、同協会の以下のページをご覧ください。
 買収を検討されている方はこちら
 売却・譲渡を検討されている方はこちら

2.FA形式と仲介形式の概要

 M&Aアドバイザーが買い手や売り手に助言やサポートを行うにあたって、形式が大きく二つに分かれます。日本M&Aアドバイザー協会のWebサイトには以下のように記述されています。
通常、企業がM&Aを実行する場合、M&Aアドバイザーに契約成立までの一連のサポートを依頼しますが、アドバイザーの関わり方には、主に「アドバイザリー形式」と「仲介形式」という二つの着任形式があります。アドバイザリー形式の場合には、売り手と買い手それぞれにM&Aアドバイザーが着任する形となり、売り手と買い手、それぞれの立場で助言を行います。一方、仲介形式の場合には、売り手と買い手の間に、M&Aアドバイザーが着任する形となり、売り手、買い手の間に立って、中立的な立場で助言を行い、媒介とも呼ばれることもあります。
分かりやすく図示すると以下のようになります。

左図のような、買い手側と売り手側それぞれに異なるM&Aアドバイザーが付く形式が「FA形式」(上記協会の引用文は「アドバイザー形式」となっていますが同じ意味)です。FAはファイナンシャル・アドバイザーの頭文字をとったものです。キーワードは「交渉」です。FAは依頼主の利益のために活動する、という形式であるため、依頼主の利益を最大化することができるというメリットがあります。

一方で、右図のように、買い手側と売り手側の間にM&Aアドバイザーが付く形式が「仲介形式」です。キーワードは「調整」です。買い手のことも売り手のことも理解している仲介会社が介在することで、M&Aが円満に進んだり、成約に至りやすいというメリットがあります。

3.FA形式と仲介形式を比較した際の主な論点

(1)FA形式は日本の中小M&A文化に合わないというのは本当か

 先述のとおり、FA形式のキーワードは「交渉」です。買い手・売り手それぞれにM&Aアドバイザーが就任し、買い手のアドバイザーは買い手の利益のために活動する、売り手のアドバイザーは売り手の利益のために活動する、という原則の下、両者間で「交渉」が行われます。依頼主の利益のために交渉するというのは当たり前のことではあるのですが、中小M&Aの場合、「交渉」が行き過ぎると後々災いを呼び込む可能性が高いということが言われます。

M&Aというのは手続きとしては株式譲渡などによる経営権の移転で終了ですが、経営権の移転というのはその後の経営によりシナジーの実現など、M&Aの目的を達成するためのスタートでしかありません。そして、シナジーの実現のためには、当事者間の協力体制を築くことが必要不可欠です。しかし、M&Aの段階で「交渉」が行き過ぎた結果、当事者間にしこりが残り、その後の協力体制構築に悪影響が出る場合があります。キーパーソンが退職するといったこともあります。事業の実務を遂行するにあたって「仕組み」の割合が比較的大きな大企業の場合は影響が少ないかもしれませんが、「人」の割合が大きな中小企業では致命的な影響になりかねません。

といったことがFA形式の懸念点としてよく挙げられるのですが、FA形式→交渉が主→軋轢を産む可能性大、という流れはかなり短絡的であると私は考えます。結局のところ、FAであろうと仲介会社であろうと、依頼主の希望を叶えるために活動する立場ですから、その活動姿勢にも依頼主の考えや想いが反映されます。「徹底的に安く買いたい(高く売りたい)」という考えで且つM&A後の経営を考慮しないタイプの依頼主であれば、FA形式であろうと仲介形式であろうと、軋轢を産む可能性があるでしょう。逆にM&A後の経営も考慮している依頼主の下であればFA形式であってもそうそう軋轢を産むことにはなりません。

以上のことから、「FA形式は日本の中小M&A文化に合わない」可能性はあるものの、より重要なのは依頼主の考えや姿勢である、と言えると考えます。

(2)仲介会社は中立な助言をしてくれるのか

 仲介形式は上図のとおり、買い手と売り手の間にたって、両者の利益や思惑の「調整」を行います。「交渉」がキーワードとなるFA形式よりも、円満な合意に至りやすいとも言われています。一方で、必ず付きまとうのが「利益相反」というキーワードです。

上記のとおり、FAや仲介会社は法律上の代理人ではないのですが、それに近しい立場であるため、民法第108条第2項の趣旨である「利益相反行為の制限」の考えと取り入れ、M&Aでも仲介形式は避けるべきである、と言われることが少なくありません。
民法第108条(自己契約・双方代理)
1 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
具体的な利益相反としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。
  • 買い手と売り手との間で、株式譲渡額が論点となっている際、仲介会社がどちらか一方に有利な株式譲渡額を提案する。
  • 対象会社に何かしらの問題が発見された場合に、仲介会社が買い手側に適切にそのことを伝えない。
といったことが考えられます。また、
  • 多くの場合、「売り手は一度会社を売ってしまえば、仲介会社のリピーター顧客にはなりにくい(売り手が何社も会社を保有しているような事例を除いて)」、一方で「M&Aに積極的な買い手は、また別のM&Aの場面で仲介会社のリピーター顧客となることがありうる」ため、仲介会社は構造的に売り手側よりも買い手側の意向を重視しやすい傾向がある。
といったことも言われます。

仲介形式を採用する以上、「利益相反」のリスクは完全には排除することができません。依頼主側としては、M&A仲介会社やその経営者の実績や姿勢、担当コンサルタントの人柄などを見極める、任せっきりにしないで意思決定をしていくなどの方法でリスクを低減していくべきです。

なお、NGCパートナーズでは、「経営・財務コンサルティング先の事業者の成長戦略や事業承継に必要な場合のみM&Aアドバイザーを引き受ける」という方針であるため、原則としてFA形式のみ対応しており、利益相反を回避できない仲介契約は締結しないこととしています。当事者一方と従前から経営・財務コンサルティングに関する契約を締結している以上、仲介契約を締結しても、中立な立場でM&Aアドバイザー業務を行うことは難しいからです。

(3)仲介形式の方が低コストというのは本当か

 中小M&Aにおいて、FA形式は仲介形式に比べコストが高く、採用しずらいと考えられています。FA形式ではM&Aアドバイザーが2社(者)関与する一方、仲介形式はM&Aアドバイザーが1社(者)しか関与しないため、仲介形式の方が低コストと見られているようです。

多くの場合、そうであるかもしれません。しかし、中には仲介会社が買い手からも売り手からもFA形式と同水準の報酬を受け取る事例も少なくないようです。もちろん、それに見合った活動をしてくれたら問題はないのですが、FA形式=高コスト、仲介形式=低コスト、と短絡的に考えるのではなく、個別具体的に見極めることが重要です。

2021年10月24日日曜日

コンテンツ紹介:NGCパートナーズのWebサイト20211024


NGCパートナーズのWebサイトに少しずつコンテンツを追加しています。

1.TOPページ https://www.ngc-partners.biz/

TOPページには、
  • 新着情報
  • 過去の新着情報(2021年)
  • COVID-19感染拡大防止への取り組み
  • 免責事項
  • プライバシーポリシー
を掲載しています。Webサイトを開設して間もないこともあり、こまめにアップデートを行っていますので、新着情報は多めになっています。Web会議だけでは完結しない業務もあることから、新型コロナ(COVID-19)の感染対策についても紹介しています。

2.事業者の概要  https://www.ngc-partners.biz/about

事業者の概要のページには
  • 事業者の概要
  • 代表者の略歴
  • 代表者メッセージ
  • 中小M&Aガイドライン遵守宣言
を掲載しています。「代表者メッセージ」は、核や軸となる部分は不変としつつも、内容の追加や表現の変更を適宜行っていますので、ときどきご確認いただけると嬉しいです。「中小M&Aガイドライン遵守宣言」は登録M&A支援機関でない以上、掲載の必要はないのですが、中小M&Aガイドラインを遵守していることを示すため掲載しています。

3.事業の概要 https://www.ngc-partners.biz/business

事業の概要のページには、
  • 事業の概要
  • 中小M&Aのセカンドオピニオン
  • 公開可能な買収希望情報
  • 解説記事のピックアップ
を掲載しています。事業項目それぞれについての詳細な説明は今後適宜追加したいと考えていますが、作成済みであった「中小M&Aガイドライン」について先行して掲載しています。「買収希望情報」は公開できる案件がある場合のみ一部情報を掲載する方針です。「解説記事のピックアップ」はNGC Partners Weblogの中で主に連載しているものを分かりやすく列挙したものです。

4.NGC Partners Weblog https://www.ngc-partners.biz/blog

NGC Partners Weblogのモバイルページを埋め込んで表示しているページです。

5.Contact https://www.ngc-partners.biz/contact

コンサルティングやプライバシーポリシーに関するご依頼、ご相談やその他のお問い合わせをお預かりするページです。


今後も随時コンテンツを追加し、充実した段階で本格的なサイトにリニューアルさせたいと考えています。当ブログと合わせてご覧いただければ幸いです。

2021年10月21日木曜日

コンテンツ紹介:公開可能な買収希望情報

NGCパートナーズのWebサイトでは、受託しているM&Aアドバイザリー業務の中から、公開可能な「買収希望」情報の一部を掲載しています(買収希望とは、会社や事業を買収したいという希望、を意味しています)。

注意点としては
  1. 加入している日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)のデータベースのページに詳細を掲載している。
  2. クライアントの意向によりそもそも掲載していない案件や、JMAAの正会員のみに限定して詳細情報を公開している案件も含まれる。
  3. 経営・財務コンサルティングの一環としてM&Aアドバイザリーを行っているので、買い手側FAとして活動している事例が大半である(また、同様の理由で仲介業務は原則として行っていない)。
などがあります。

本日時点の案件は以下のとおりです。会社の譲渡・売却等をお考えの企業オーナーの方、該当するクライアントがいらっしゃるM&Aアドバイザーの方、ぜひこちらからご連絡ください。
1.福岡県内での食品製造業、木材・木製品製造業等の買収希望
 JMAA正会員のみに公開。
 JMAAの案件管理システムからご確認ください(買収希望ID349)。

2.長崎県内での食品製造業、木材・木製品製造業等の買収希望
 JMAA正会員のみに公開。
 JMAAの案件管理システムからご確認ください(買収希望ID348)。

3.福岡県内でのビルメンテナンス業の買収希望
 一般に公開。詳細はこちらからご確認ください。

4.福岡県内での洗濯業の買収希望
一般に公開。詳細はこちらからご確認ください。

5.福岡県内での麺類製造業の買収希望
一般に公開。詳細はこちらからご確認ください。

情報の更新などの可能性ありますので、最新情報はこちらからご確認ください。

2021年10月19日火曜日

M&Aバリュエーション基礎4 基本用語解説三回目 マルチプル法

引き続き、バリュエーションの基本用語の解説です。
今回は、EV/EBITDA倍率法に代表されるマルチプル法(類似会社比較法)に関連する用語について解説します。

■マルチプル法(類似会社比較法)

マルチプル法は、他の方法に比べ比較的簡便であることから、未上場企業のバリュエーションの際に利用される最も一般的な方法のひとつで、類似会社比較法とも呼ばれます。バリュエーションの対象となる会社と類似の事業を行う上場企業を複数選定し、それらの企業の企業価値に関する指標を参考にして、対象となる会社の株主価値を算出しようとする方法です。マルチプル法にも複数の方法があり、M&AのバリュエーションではEV/EBITDA倍率法が最もよく使われます。
算出の手順を簡単にまとめると、
  1. 類似会社(上場企業)の財務数値と株価から、当該類似会社の事業価値がEBITDAの何倍になっているかを算出し、その平均値を計算します(EV/EBITDA倍率)。
  2. 対象会社の修正EBITDAEV/EBITDA倍率を乗ずることでその事業価値を計算します。
  3. 当該事業価値に投融資(もしくは非事業用資産、事業に関係のない資産の時価のこと)と現預金額を加算し、有利子負債を差し引くことで株主価値を計算します。
という流れとなります。詳細は計算式を含め後日解説します。

■類似会社

バリュエーションの対象会社と同様の事業を行っている上場企業のことです。ただし、多くの上場企業は複数の事業を行っているため、対象会社と売上構成が一致している例はあまりありません。そのため、類似セグメントの売上割合や利益の割合なども勘案し選定します。

■EBITDA

「利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益」のことで、「earnings before interest, tax, depreciation, and amortization」の頭文字をとったものです。中小M&Aのバリュエーション上での計算式は「EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額」を使用します。費用発生時点でのキャッシュアウトがない減価償却費とのれん償却額を営業損益に足し戻すことで、簡易な営業キャッシュフロー(つまりは本業で稼ぎ出すキャッシュフロー)として捉えられるという理由や、企業ごとの会計処理に違いがあることが多い減価償却費などの影響を排除することで企業間での数値比較をしやすくする意味などがあり、EBITDAを使用します。多くの解説文では「EBITDA=営業損益+減価償却費」と記載されているのですが、M&Aが一般的になったこともありのれんの償却が発生している企業も増えたので、「EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額」と覚えておく方がより正確です。

■類似会社(上場企業)の株主価値

株式時価総額のことです。上場企業である類似会社は日々株式市場で株価が推移していますので、その株価を利用し、「株主価値=時価総額=株価×発行済株式総数」という計算式で算出します。株価は証券会社のWebサイトやYahoo!ファイナンスなどを利用して調べます。発行済株式総数は当該類似会社の有価証券報告書などで確認します。

■EV/EBITDA倍率

事業価値がEBITDAでの何倍であるかということを表す指標です。倍率のことをマルチプルと呼ぶことからここでの企業価値算定方法は実務上、マルチプル法と呼ばれます。

■非流動性ディスカウント

上場企業の株式は理論上は上場市場を通じていつでも売買ができることになっています。そのことを「流動性がある」と言います。一方で未上場企業の株式は日々取引がされているわけではなく、売買の機会は限られているので「流動性がない」と言います。このように両者の株式の換金のしやすさには差があるため、それを調整するための項目として非流動性ディスカウントが使われます。

■有価証券報告書

主に上場企業が金融商品取引法(以前の証券取引法)で開示を義務付けられている資料で、投資家がその上場企業の株式へ投資を行うか否かの判断に利用します。企業や事業の概要や、決算数値の詳細が載っているため、上場会社である類似会社の詳細な情報を調べる際に使用します。当該類似会社のWebサイトや金融庁のEDINETからダウンロードが可能です。

次回はディスカウントキャッシュフロー法(DCF法)に関連する用語を取り扱う予定です。


2021年10月8日金曜日

M&Aバリュエーション基礎3 基本用語解説二回目 企業財務の基本バランスシート2

前回に引き続き、バリュエーションの基本用語の解説です。
今回は、前回ご紹介した「企業財務の基本バランスシート」に関連する用語について解説します。


■投融資

非事業用資産」と表記することもあります。いずれにせよ、事業に使用していない資産はすべてここに含まれると考えて実務上は差し支えありません。ほとんどの保有有価証券、他社への融資・貸付などが該当します。役職員用の保養施設などは利用実態や事業への貢献度合いに合わせて、ここに含める含めないを判断します。

■現預金

文字どおり現金と預金の合計を意味するのですが、短期売買目的の株式等を保有している場合は、短い時間で確実に現金化できると考え、現預金に含む取り扱いにすることがあります。

■事業価値

M&Aのバリュエーションで最も肝となる用語です。教科書的な定義は「その企業が稼ぎ出す将来のFCFの現在価値の合計」ですが、まずは「その会社が現在から将来にわたって稼ぎ出す(予想・計画の)キャッシュフローや利益を元に、一定の計算方法で算出される、事業そのものの価値」と理解しておいてください。「一定の計算方法」というのが、本連載での説明の中心となる類似会社比較法ディスカウント・キャッシュフロー法(DCF法)などのことを意味しています。
なお、エンタープライズ・バリュー(EV)はこの事業価値のことを指します。EV=企業価値、との誤解がよく見受けられますのでご注意ください。

■企業価値

事業価値に、非事業用資産である投融資及び現預金を足し合わせたものです。貸借対照表の総資産に対応しそうに見えますが、実際には数値が一致しないことがあります。

■有利子負債

文字どおり、利払いが必要な負債、を意味します。金融機関からの借入、リース債務が典型例です。役員借入金はバリュエーション上の有利子負債には含まないことが一般的です。中にはしっかりと金銭消費貸借契約を締結して、利払いもしている例もあり、その場合は一見して有利子負債と考えられなくもないですが、資本金に近い性質を持つものとして、実務上は有利子負債には含まずに計算します。

■純有利子負債(NetDebt)

有利子負債から、現預金を差し引いたものを意味します。現預金の方が多い場合は「NetCash」と呼びます。日本語にすると「純現預金」ですが、実務上は「ネットキャッシュ」ということが一般的です。

■株主価値

企業価値から、有利子負債を差し引いたものを意味します。貸借対照表の純資産・株主資本に対応しそうに見えますが、実際には数値が一致しないことがあります。
なお、株式上場に関わるバリュエーションで採用されるPER倍率法・PBR倍率法・PSR倍率法は、この株主価値に該当する株式時価総額を直接的に計算する方法です。

次回も基本用語の解説を続けます。次回はEV/EBITDA倍率法に代表されるマルチプル法(類似会社比較法)に関連する用語を取り扱う予定です。


2021年9月27日月曜日

M&Aバリュエーション基礎2 基本用語解説一回目 企業財務の基本バランスシート1

今回から数回の間、バリュエーションの基本用語についての解説を行います。実際の計算方法などの中で説明すると文字数が多くなりすぎ分かりにくくなるため、先に解説するものです。まずはザッと読んでいただき、実際の計算方法などの解説回を読む際に適宜用語解説に戻り読み返していただければと思います。

■基本用語解説:「貸借対照表」と「企業財務の基本バランスシート」

前回説明したとおり、バリュエーションとは一般的に「企業価値算定」のことを意味しており、さらに言うと多くの場合、「株主価値(株式価値や時価総額とも言います)を算出すること」を意味します。そして、株主価値はその企業の価値や資産額から負債を差し引いた概念で表すことができるため、一般的な「貸借対照表」と「企業財務の基本バランスシート」を図のかたちで理解しておくことが必要です。

(1)貸借対照表

一般的な貸借対照表は「簿価純資産法」や「時価純資産法」でのバリュエーションを行う際の前提となる図です。


簿価純資産法
は企業の貸借対照表の数値をそのまま使用するもの(つまりは純資産額を株主価値と捉えるもの)で、実際の中小M&Aではほぼ利用されることはありません。ほとんどの中小企業の貸借対照表上の資産の数値はその資産の現在における実際の価値(時価)を反映しておらず、それをそのまま採用して行われたバリュエーションの結果はM&Aなどの場面で利用するには不適切であるからです。

一方で、時価純資産法は中小M&Aでは最もよく利用されるバリュエーションの方法です。貸借対照表上の資産を個別に時価に置き換えことで時価の総資産額を把握し、そこから負債を差し引いて時価純資産を計算し、時価純資産を株主価値と考える方法です。直感的にも納得しやすい方法であると言えます。

(2)企業財務の基本バランスシート

企業財務の基本バランスシートは一般的な貸借対照表を、バリュエーションの考え方にもとづき組み替えたもので、下図のようなかたちをしています。中小M&Aでは簡略化されたものが利用されることが多いようです。バリュエーションの方法として有名な「ディスカウント・キャッシュフロー法(DCF法)」や、EV/EBITDA倍率法などを考える前提として覚えておく必要があります。



今の段階では、上記内容をざっくりと理解しておいていただければと思います。詳細は個別の用語解説や計算方法解説で触れていきます。

次回は企業財務の基本バランスシートの図の中に登場する用語について解説します。


2021年9月24日金曜日

Webサイト開設のお知らせ

NGCパートナーズのWebサイトを開設しましたのでお知らせします。まだ必要最低限の内容で、これからコンテンツを充実させていきます。事業の最新情報などは引き続き当ブログに掲載しますが、Webサイトもよろしくお願い致します。

 NGCパートナーズ https://www.ngc-partners.biz/

なお、上記Webサイト開設のためのドメイン取得に合わせて事業用メールアドレスも変更しました(従来のものも当面の間は使用可能ですので、徐々に移行します)。

2021年9月14日火曜日

「M&A支援機関に係る登録制度」への登録見送りと今後の方針について


昨日2021年9月13日に中間結果が公表された「M&A支援機関に係る登録制度」ですが、検討の結果、NGCパートナーズとしては現時点では登録は行わないことと致しました。
NGCパートナーズは「経営・財務コンサルティング事業者」であり、M&Aに関するファイナンシャルアドバイザリー(以下、「FA業務」)専業ではないことが主な理由です。なお、仲介業務は従前から実施しておりません。

今後は以下の方針で取り組んで参ります。
  1. FA業務は現在受託しているものへの取り組みに集中し、今後の新規受注は原則として行いません。もしご相談を受けた場合は原則として信頼できる他のFA事業者をご紹介します。ご紹介するのは日本M&Aアドバイザー協会所属のFA事業者を主に想定しています。
  2. 経営・財務コンサルティングを行う中で、コンサルティング先事業者様の成長戦略や事業承継対策等としてのM&Aが検討されるなど、当該事業者様からの追加での依頼としてFA業務のご相談を受けた場合は受託する場合があります。
  3. 上記「2」のため、日本M&Aアドバイザー協会への所属は継続し、各種情報収集やネットワーク構築は行います。
  4. NGCパートナーズ事業概要に記載している「事業承継・プレM&A支援」は引き続き実施します。内容としては、経営の現状及び課題の可視化支援、課題解決策の実行支援、コーポレートガバナンス構築支援、内部統制・管理体制構築支援、事業用資産や株式の集約整理支援、セラーズDD、バリュエーション実施、その後の通常のM&Aアドバイザリー業務などです。
  5. M&Aのセカンドオピニオンサービスは引き続き実施します。
  6. FA業務を行う場合は、中小M&Aガイドラインを遵守します。
今後、方針を変更する場合は都度ご案内申し上げます。
以上、よろしくお願い致します。

2021年9月8日水曜日

M&Aバリュエーション基礎1 売り手自身によるバリュエーション実施の必要性

バリュエーションとは一般的に「企業価値算定」のことを意味しており、さらに言うと多くの場合、「株主価値(株式価値や時価総額とも言います)を算出すること」を意味します。

このシリーズでは、中小M&A(未上場株式である前提です)でのバリュエーションを「売り手自身」で(ある程度まで)行えるようになることを目指します。第一回の今回は「売り手自身によるバリュエーション実施の必要性」をご紹介します。ここでの売り手とは、M&Aの対象となる会社の株主等のオーナー(場合によっては経営者も含みます)を意味します。なお、新規上場や、ベンチャーキャピタル(VC)等からの資金調達の際のバリュエーションはこのシリーズでは範囲外としていますのでご注意ください。

多くのM&Aの実務では公認会計士、監査法人やバリュエーションの専門会社が行いますし、中小M&Aの場合ですとファイナンシャルアドバイザー(FA)、仲介会社が行うことも少なくありません。ですので、売り手自身が行う必要性はないのでは?とお考えの方もいらっしゃると思います。確かに精緻なバリュエーションはそれらの専門家に任せた方が良いですが、それでも以下のとおり売り手自身がバリュエーションを実施する必要性や、実施した方が良い理由があります。

1.「自社(対象会社)の実態」を知ることができる

バリュエーションの過程では、
  • 自社(対象会社)の資産や負債を精査してその実態を数値化する
  • 売上や原価・費用を修正してその実態を数値化する
といったことを行います(理由は別記事で解説予定です)。
そして、実態値や修正後の値は売り手が把握・想定していた数値と乖離があることが普通です。売り手はその乖離の理由や金額が見えるようになることを通じて自社(対象会社)の実態を知ることができるのです。
実態を知ることができれば、自社の企業価値を向上させる方法を検討したり、急に経営判断を求められた際により適切に判断ができたりする可能性が高まります。

2.M&Aのプロセスにおいて早い段階から、根拠がある「自社(対象会社)の価額」の目線を持つことができる

多くの中小M&Aの場合、売り手側は、
  1. 自分たちの手元に必要な金額をそのまま売却希望額の根拠にしてしまう
  2. 「できるだけ高く売りたい」といったような曖昧な目線のまま話を進めてしまう
  3. 自社(対象会社)の価値を過大に評価してしまう(そのことによってM&Aプロセスがとん挫してしまう)
  4. 自社(対象会社)の価値を過少に評価してしまう(そのことによってM&Aが成約した場合でも、後日後悔をしてしまう)
といったトラブルや失敗をしてしまうことがあります。しかし、売り手が自分自身でバリュエーションを実施していると、(一定の)根拠がある「自社(対象会社)の価値」の目線を持つことができるため、それらのトラブルや失敗を回避できる可能性が高まります。

3.専門家とバリュエーションのプロセスや結果について議論できるようになる

今後、「M&Aバリュエーション基礎」シリーズで詳細を解説していきますが、未上場株式のバリュエーションの具体的計算方法にはいろいろな方法があり、かつ同じ方法でも計算の前提をどう考えるかによって計算結果が大きく変わってくることがあります。もちろん、信頼できる専門家は詳細を説明してくれたり、分かりやすい報告書を用意してくれたりするでしょう。しかし、当事者自身がバリュエーションを行っていないと、専門家の実施したバリュエーションのプロセスや結果について適切な質問を投げかけたり議論したりすることは難しいと考えられます。売り手自身がバリュエーションを実施していると、そういった議論等の過程を踏むことができ、理解が深まったり、場合によっては専門家がバリュエーションの修正を行ったりすることで、売り手の納得感も高まります。

上記の「1~3」を通じて、より良いM&Aの実現可能性が高まるのです。

次回は、M&Aのバリュエーションを学ぶ前提となる用語の解説を行います。


2021年8月2日月曜日

M&Aの補助金「事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算)」

今年2021年の5月に公募要領が開示され、すでに一次公募が締め切られている「事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算)」ですが、現在二次公募中で利用を検討されている方は申請が間に合う可能性がありますのでご紹介します。

制度の詳細についてはすでに特設サイトも開設されており、丁寧に説明してありますので、そちらをご覧いただくのが良いかと思います。当ブログでは重要ポイントのみ箇条書きでご紹介します。端的にご紹介するために端折ったり簡略化したりしていますので、詳細は必ず特設サイトやそこにアップされている公募要領をご覧いただくか、補助金事務局や専門家にご相談ください。

さて前提として、本補助金は以前の2種類の補助金が一体となったものであり、特設サイトには以下のような内容の記載があります。
  1. 本補助金は、従来の事業承継補助金及び経営資源引継ぎ補助金が一体となった補助金であり、従来の事業承継補助金が本補助金の事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)に該当します。従来の事業承継補助金は、経営者交代型とM&A型の2類型でしたが、本補助金より、創業支援型が追加され、3類型となっています。
  2. 本補助金は、従来の事業承継補助金及び経営資源引継ぎ補助金が一体となった補助金であり、従来の経営資源引継ぎ補助金が本補助金の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)に該当します。従来の経営資源引継ぎ補助金では、買い手支援型、売り手支援型ともに、経営資源の引継ぎを促すための支援と経営資源の引継ぎを実現させるための支援の2種類があり、該当する種類に応じて申請類型が異なっていました。本補助金の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)では、経営資源の引継ぎを促すための支援と実現させるための支援の区分が廃止され、申請類型が統一されました。
(引用元:事業承継・引継ぎ補助金特設サイト)

当ブログは「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」についてのみご紹介しますのでご留意ください。

また、本補助金はjGrants(補助金の電子申請システム)を利用しての電子申請が必要となり、「gBizIDプライム」アカウントが必要となりますが、アカウント発行には2~3週間かかることがあるそうです。アカウントをお持ちでない場合、二次公募の締切日である2021年8月13日に間に合わない可能性がありますので、その点もご留意ください。

以下、本補助金(事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用))の主なポイントです。
  • 本補助金は、中小企業等がM&Aを契機として新規事業等を行うことについて、その経費の一部を補助することでM&A等を促進し、日本の経済活性化を図ることを目的としている。
  • 本補助金には、買い手支援型と売り手支援型とが用意されている。
  • 買い手支援型は、M&Aの後にシナジーを活かした経営革新等を行うこと、地域経済全体を牽引する事業を行うことが要件とされている。
  • 売り手支援型は、地域経済全体を牽引する事業が第三者(つまりは買い手)により継続されることが見込まれることを要件としている。
  • 単なる不動産売買を目的とするM&A等は補助金の対象とならない。
  • 補助対象者は中小企業と個人事業主。但し、売り手支援型の場合、一定の要件を満たせば支配株主も対象となる。また、開業医、会社法上の会社である農業法人、個人農家は対象となるが、医療法人や社会福祉法人などは対象とならない。また、みなし大企業や単なるグループ内再編も対象とはならない。
  • 補助期間は、原則として補助金の交付決定日から最長で2021年12月31日まで。
  • 補助率は2/3で、補助上限額は400万円だが、補助事業期間内にM&A等が完了しなかった場合、補助上限額は200万円となる。売り手支援型で廃業を伴う場合、廃業費用として最大で200万円が上乗せされる。
  • 2次公募申請受付期間は2021年7月13日から8月13日18時まで。
  • 事業の性質上、補助金に採択された場合でも社名などの情報が公開されることはない。
  • 補助される主な経費は、士業等専門家への謝金、トップ面談などで発生する交通費、企業概要書作成などの外注費、M&A専門会社や専門家への委託費(着手金、成功報酬、株価算定費用や不動産鑑定費用など)、システム利用料(M&Aのマッチングプラットフォーム利用料)やセカンドオピニオン取得費用など。廃業を伴う場合は廃業費。
  • 最終的に補助対象期間内にM&A等が成立しなかった場合でも、例えば買い手支援型で申請者の一方的な自己都合によりM&Aが実現しなかった場合などを除き補助の対象となる(例えばDDの結果、M&Aを断念した場合、そのDD費用は補助の対象となる)が、補助上限額が減額される。
もともとM&Aを選択肢として考えていた中小企業等にとっては検討を前進・具体化させるきっかけとして良い制度かと考えます。一方で、そもそもM&Aを検討していなかった中小企業等が、補助金があるからと拙速にM&Aに向けて動き出すのはおすすめできません。

M&A、事業承継や本補助金についてご相談されたい方は、本ブログ上部のContactからお問い合わせください。

2021年1月7日木曜日

新年のご挨拶(2021年)

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。

当ブログ「NGC Partners Weblog」開設から2020年12月末までの記事別のアクセス数順位は以下のとおりとなりました。ご覧くださった皆様、ありがとうございました。

第1位
 事業計画の作り方1 枠組み、全体像、基本的な考え方
 (2020年5月25日投稿)
第2位
 M&Aの補助金「経営資源引継ぎ補助金」
 (2020年7月19日投稿)
第3位
 「事業計画の作り方」シリーズ開始!
 (2020年5月22日投稿)

ありがたいことに「事業計画の作り方シリーズ」へ多くのアクセスをいただきました。「後継者向け」の途中で更新が止まっていますので、記事作成を急ぎたいと思います。

また、「経営資源引継ぎ補助金」は注目度が高かったようです。令和2年度第3次補正予算案の中にも拡充された補助金が盛り込まれています(PR資料のP21)。

それでは本年もよろしくお願い申し上げます。

2020年11月25日水曜日

NGCパートナーズの「セミナー講師業」について


少し先ですが、事業承継に関するセミナー講師を受託することとなりそうですので、この機会にセミナー講師受託についてまとめてみました。

1.過去のセミナー講師担当経験

講義内容・テーマ セミナー開催主体 備考
株式上場準備 地方自治体
起業家の成功要因・失敗要因 大学、VC
多面的な経営 経済団体
自社分析・現状分析 地方自治体 複数回シリーズもの
資金調達 大学
ファンドから投資を受けるために必要なこと 金融機関
起業と資金調達 大学
ビジネスプランと資金計画 地方自治体 複数年担当
ファンドを活用した創業支援 金融機関
ファンドを活用したベンチャー型事業承継支援 支援機関
若手社員向け勉強会(基本動作、知識、考え方等) 民間企業 社内勉強会、毎週定期開催のシリーズもの
管理職向け勉強会(マネジメントスキル) 民間企業 社内勉強会、毎週定期開催のシリーズもの
次期経営幹部向け勉強会(経営全般) 民間企業 社内勉強会、毎月定期開催のシリーズもの
(注)一部、過去の企業勤務時代の経験を含みます。


2.今後の方針

 今度の事業承継セミナー講師についても、メイン講師を担当される他社様への協力という立ち位置ですし、今後も私自身がセミナー講師受託を積極的に提案していくことは予定しておりませんが、ご協力というかたちであれば喜んでお受けしたいと考えています。

特定のテーマを深堀りする内容よりも、全体像を概観したい、本格的に学び始めるきっかけとして要点を知りたい、などといったご要望にお応えする内容の方が得意かと思います。

テーマとしては「創業」、「事業承継」、「株式上場」といったこと、「知識だけではなく考え方」といったことであればいろいろなかたちでお話しすることができます。また、社内の特定階層向けの研修講師も対応可能です。

セミナー講師をお探しの方がいらっしゃれば、より相応しい講師候補のご紹介を含めてご相談に乗ることができるかと思いますので、本ブログの上部の「Contact」よりお問い合わせいただければ幸いです。

2020年11月20日金曜日

菅政権の中小企業政策と中小M&A

新政権になってからすでに三ヶ月目に入っていますが、新しく立ち上げられた成長戦略会議での議論や、同会議の民間委員の見解が菅内閣の中小企業政策に反映された場合、中小企業のM&A(中小M&A)がより活発化するきっかけになるのではないかと注目が集まっています。

中小M&Aに関係する政策を少し振り返ってみますと、前の安倍政権では中小企業の「事業承継」促進が大きなテーマとなっており、まずは「法人版事業承継税制」の強化、「個人版事業承継税制」の創設など、主に親族内承継を促進する制度の整備が進み、2020年に入ってからは第三者承継支援総合パッケージとして経済産業省による「中小M&Aガイドライン」の策定、中小企業基盤整備機構による「経営力強化支援ファンド出資制度」など親族外(第三者)承継を促進する制度の整備も進みました。

第三者承継のための中小M&Aは引き続き活発な状況が継続すると予想されます。強いニーズがあることに加え、政策的な後押しもしばらく続きそうだからです。国も上記第三者承継支援総合パッケージの中で「10年間で60万者の第三者承継を目指」す、と明言しています。

ところで、菅政権では中小M&Aに新たなキーワードが加わりそうです。そのキーワードは「生産性向上」です。日本は主要国の中でも企業活動の生産性が低いということが長らく指摘され続けています。日本企業の生産性の低さの要因については様々な事項が挙げられていますが、菅政権になってから特に注目度が上昇している事項として、「企業の生産性は企業規模が大きくなるほど高くなる傾向があるが、日本は企業規模が小さい中小企業の割合が他国と比べても大きい。よって日本企業全体の生産性は低い。」ということが挙げられます。

これは、特に成長戦略会議の民間議員でもあるデービット・アトキンソン氏が唱えているもので、同氏の提言は菅首相の政策にも大きな影響があると言われています。同氏は中小企業基本法の改正を行ったり、最低賃金の見直しを行ったりすることにより、中小企業に企業規模拡大を促すことを提唱しています。

企業規模と生産性の相関関係は直感的に理解しやすいものの、因果関係はあるのか、因果関係があるとしても企業規模が拡大すると生産性が向上するのか、生産性が高い企業が企業規模拡大に成功しやすい傾向があるのかなど、どちらが原因でどちらが結果なのかなどは議論の余地があるかもしれません。また、そもそも日本の大企業の生産性が中小企業より高いのは、付加価値額が向上しているのではなく、労働者削減の結果にすぎないという意見もあるようです。

しかし、当面は解消されない後継者不足の問題、とも相俟って、中小企業への再編期待が高まっていくことは間違いなさそうです。そこでやはり引き続き注目されるのが手段としての「中小M&A」です。アトキンソン氏の提言でも中小企業の規模拡大の手段として挙げられているのは「統廃合」であり、つまりはM&Aです。今までの中小M&Aは事業承継のための手段という位置づけが中心で、一部に事業再生のための手段という位置づけがあったくらいでした(ただし、それは売り手にとって、という意味合いです。買い手にとっては成長戦略のひとつであったり、代替できない技術などを持った取引先の事業継続など、様々な意味合いがあります)。今後は売り手買い手双方の生産性向上の手段としてのM&Aが活発化し、中小M&A市場が盛り上がっていくことが期待されます。


2020年11月4日水曜日

NGCパートナーズの事業概要について(2020年11月版)


NGCパートナーズ事業概要」のページに掲載させていただいていますが、NGCパートナーズの事業概要について、どういったお客様向けに、どういったことを行っていきたいか、ということをまとめ直しました。今までも当ブログの記事に個別のコンサルティング事業の紹介などを行っておりましたが、それらを行わなくなるのではなく、それらも行いつつ、今後はこういったことに力を入れていく、という意味合いです。

NGCパートナーズ事業概要」のページでは端的な記載に留めているので、本記事で補足致します。

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一、顧客セグメント

1.ベンチャー企業・スタートアップ企業
2.後継者育成中の中小企業
3.事業承継を検討中、M&Aでの事業売却を検討中の中小企業

二、主要活動

1.経営・財務コンサルティング事業

 (1)ベンチャー・スタートアップ支援
事業計画・資本政策策定支援、コーポレートガバナンス構築支援、内部統制・管理体制構築支援、営業体制構築支援、社外取締役就任
 (2)アトツギ支援
現状認識・分析~計画立案~実行体制構築~マネジメントサイクル構築支援、コーポレートガバナンス構築支援、内部統制・管理体制構築支援 、営業体制構築支援、アトツギ教育・壁打ち
 (3)事業承継・プレM&A支援
経営の現状及び課題の可視化支援、課題解決策の実行支援、コーポレートガバナンス構築支援、内部統制・管理体制構築支援、事業用資産や株式の集約整理支援、セラーズDD、バリュエーション実施、その後の通常のM&Aアドバイザリー業務

2.投資事業

 未上場企業等への投資

三、リソース(専門領域・スキル)

1.ファイナンス

 資金調達側として5年、資金供給側として6年、コンサル・アドバザリーとして3年~
 数値計画策定、資金調達・運用、投資家・債権者とのコミュニケーション、M&A、管理会計

2.マネジメントサイクル構築運用

 経営陣の一員として5年~、コンサルとして3年~
 事業・行動計画策定、実行体制構築、計画実行、進捗評価

3.起業、事業承継及び経営全般の相談対応

 コンサルや社外取締役として7年~

四、費用その他

 月額報酬型を基本としています。報酬額水準はご相談ください。
 業務内容やクライアント企業の給与水準等を考慮させていただいています。
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「顧客セグメント」について、従来と変わっていないと言えば変わっていないのですが、主にどういった方々とご一緒に仕事をしていきたいと考えているか、改めてまとめました。かなり幅広めにも読めるのですが、上記の方々には共通して「変化の入り口または途上にある」ということがあると思います。そういった方々にお役に立ちたいですし、一緒に変化を起こしていきたいという想いがあります。

「主要活動」について、顧客セグメントごとに記載しています。上記のような記載の仕方になってしまってはいますが、本当は上記のような特定の問題の解決や課題の推進をお手伝いして終了、というのではなく、少しでも長い期間、伴走していくスタイルで仕事をしていきたいと考えています。幸い、今までご一緒してきた大半のお客様との間でもそういった関係を築くことができました。とはいっても、入り口はやはり特定の問題や課題への対応ということも多いですので、上記のように記載しました。

「事業承継・プレM&A支援」について若干補足します。今までいろいろな企業を見てきて、事業承継の方法を早い段階でひとつに絞り込むのではなく、選択肢を残しつつ準備を進めていきたいという企業も一定数あることを感じています。たとえば親族内承継に向けて準備するものの、それが頓挫した場合はM&Aに切り替える、などです。また、いきなりM&Aでのお相手探しに入るのではなく、時間的猶予もあるので先に自社の体質を強くしておきたいという企業も一定数あります。そういった企業に対する、どの選択肢も取りうるような体制を築いておくための支援、M&A前の企業価値向上のための支援を行うことを「事業承継・プレM&A支援」としています。

NGCパートナーズのリソース≒私の経験ですので、私の経験業務を端的にまとめさせていただいたのが「リソース(専門領域・スキル)」です。いろいろなかたちで新たに学び続ける姿勢は失っていませんので、これからも増えてくると思います。

以上、事業概要の補足です。
ご連絡は当ブログの上部にある「Contact」からいただければ幸いです。