NGCパートナーズ 代表 石井優のブログ
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2020年7月19日日曜日

M&Aの補助金「経営資源引継ぎ補助金」

すでにかなり注目されていますが、中小企業庁が新たに中小企業等のM&Aを支援する補助金の制度を設けました。「経営資源引継ぎ補助金」という名称です。

ここ数年は「法人版事業承継税制」の強化、「個人版事業承継税制」の創設など、主に親族内承継を促進する制度の整備が進んでいましたが、2020年に入ってからは経済産業省による「中小M&Aガイドライン」の策定、中小企業基盤整備機構による「経営力強化支援ファンド出資制度」など親族外承継を促進する制度の整備も進んできました。今回の補助金も親族外承継促進の一環で、M&Aに伴って発生する費用を補助する内容となっています。

制度の詳細についてはすでに特設サイトも開設されており、とても細かく説明してありますので、そちらをご覧いただくのが良いかと思いますが、まずは制度の概要を知りたいという方向けに以下、重要ポイントのみ箇条書きでご紹介します。端的にご紹介するために端折ったり簡略化したりしていますので、詳細は必ず特設サイトやそこにアップされている公募要領(PDF)をご覧いただくか、補助金事務局や専門家にご相談ください。

以下、本補助金の主なポイントです。

  1. 本補助金は、中小企業等の経営資源の引継ぎに際して必要となる経費の一部を補助するもの。つまりは中小企業等のM&Aに要する費用の一部が補助されるというもの。
  2. 本補助金の目的は、中小企業等に対してM&Aに着手することを促す支援と、M&Aを成約させることを促す支援とを行うことを通じて、新陳代謝を加速し経済活性化を実現すること。
  3. 本補助金には、その目的を達成するために買い手支援型と売り手支援型とが用意されている。
  4. 買い手支援型は、M&Aの後にシナジーを活かした経営革新等を行うこと、地域経済全体を牽引する事業を行うことが要件とされている。
  5. 売り手支援型は、地域経済全体を牽引する事業が第三者(つまりは買い手)により継続されることが見込まれることを要件としている。
  6. 補助対象者は中小企業と個人事業主。開業医、会社法上の会社である農業法人、個人農家は対象となるが、医療法人や社会福祉法人などは対象とならない。また、みなし大企業や単なるグループ内再編も対象とはならない。
  7. 補助期間は、原則として補助金の交付決定日から最長で2021年1月15日まで。
  8. 補助率は2/3で、補助上限額はM&Aに着手することを促す支援においては100万円、M&Aを成約させることを促す支援においては650万円(但し、廃業を伴わない場合は200万円)。
  9. 事業の性質上、補助金に採択された場合でも社名などの情報が公開されることはない。
  10. M&Aを成約させることを促す支援については、申請時に相手方が具体化している方が採択率が高い。
  11. 補助される主な経費は、士業等専門家への謝金、トップ面談などで発生する交通費、企業概要書作成などの外注費、M&A専門会社や専門家への委託費(着手金、成功報酬、株価算定費用や不動産鑑定費用など)やシステム利用料(M&Aのマッチングプラットフォーム利用料)。廃業を伴う場合は廃業費。
  12. 最終的にM&Aが成立しない場合でも補助の対象となる(例えばDDの結果、M&Aを断念した場合、そのDD費用は補助の対象となる)。

もともとM&Aを選択肢として考えていた中小企業等にとっては検討を前進・具体化させるきっかけとして良い制度かと考えます。一方で、そもそもM&Aを検討していなかった中小企業等が、補助金があるからと拙速にM&Aに向けて動き出すのはおすすめできません。

M&A、事業承継や本補助金についてご相談されたい方は、本ブログ上部のContactからお問い合わせください。