起業前の方であれば、まだそういった存在がいないことがほとんどでしょうし、起業後もそういう状況が続くかもしれません(起業家の最も重要な役割としてチームづくりがありますので、きっとそういった存在が増えていくことでしょう)。一方で、後継者・アトツギの方であれば、先代を支えた部門責任者や事業責任者がいることが多いでしょう。肩書がどうかではなく、実質的にそういう役割を担っているか否かで考える必要があります。キーパーソンという呼び方でも良いかもしれません。事業承継においては、先代を支えた幹部役職員をどう遇するか、ということが大きな論点になることも少なくありませんが、ここではそれについてあまり触れないことにします。
後継者・アトツギの方が自分の中でアイデアを練っているだけ、というのであれば別として、実際の経営や事業運営ではそれら各責任者の協力を得ていく必要があります。「事業計画の作り方1 枠組み、全体像、基本的な考え方」でも説明したとおり、事業計画には「特定の人に事業を説明して、何らかの協力を引き出すなどの目的を達成する」という機能もあります。「特定の人」の具体例としては金融機関や投資家などを想定しがちですが、当然ながら社内の役職員もそれに該当します。さらには、事業計画の検討・策定の段階から(もっと言えば現状分析の段階から)社内の責任者やキーパーソンに加わってもらうことで、「自分たちが作った事業計画」とすることにより、経営や事業がより一層自分事となって計画実現・達成の可能性が高まります。さらには、事業計画検討・策定の過程で責任者やキーパーソンの資質ややる気を深く知ることができ、今後、経営を共に担い得る存在なのかを考えることができます。
それらの理由で、後継者やアトツギは「巻き込み型の事業計画検討・策定」について知っておくべきと考えます。そこで参考になるのが、株式上場準備の中で作り上げていく中期経営計画検討の手順や体制です。それを基礎として自社なりの手順や体制を見出していくと良いと考えます。
次回は「株式上場準備の中で作り上げていく中期経営計画検討の手順や体制」について解説します。
石井優 / NGCパートナーズ|note
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